ドル円見通し ドル高・米長期債利回り上昇背景に7連騰(21/2/5)

4日午後には2日深夜高値を超えて一段高に入り、5日朝には105.64円まで高値を切り上げた。

ドル円見通し ドル高・米長期債利回り上昇背景に7連騰(21/2/5)

ドル円見通し ドル高・米長期債利回り上昇背景に7連騰

〇ドル円、2/4午後に一段高に入り、2/5朝105.64まで高値を切り上げる
〇2/4、ポンド以外の通貨は対ドルで下落、概ねドル高の流れとなる
〇株高債券安と米長期債利回り上昇によるドル高が、ドル円7連騰の背景か
〇2/4発表の米経済指標、概ね良好な結果、株高債券安に寄与
〇英中銀、政策金利を現状維持、マイナス金利導入はまだ先とみられる
〇105.25以上での推移中は上昇余地あり、106円を目指すとみる、105.85以上は反落注意
〇105.25割れからはいったん調整安に入るとみる、105円前後への下落を想定

【概況】

ドル円は1月27日からの5連騰で2月2日深夜に105.16円まで高値を伸ばした後は上げ渋りに入り105円を挟んでの横ばい推移だったが、4日午後には2日深夜高値を超えて一段高に入り、5日朝には105.64円まで高値を切り上げた。日足は7連騰、7日連続の陽線となった。
2月4日の日中は米長期債利回りの上昇が続いてドル全面高の様相となり、ユーロドルは夕刻に1.20ドルを割り込んで5日未明には1.1950ドル台まで続落して1月6日高値以降の安値を更新した。ポンドドルは英中銀によるマイナス金利導入はまだ先との方針を見て直前までの下落から急反騰したが、豪ドルやNZドルの下落、新興国通貨ではメキシコペソ等が下落、人民元も1月29日高値からは対ドルでの下落が続いており、概ねドル高の流れとなりドル円も押し上げが続いている。

1月6日安値102.59円から二段上げ型での上昇を継続しているところだが、2月5日午前時点で1月6日安値からの上昇幅は3円を超えてきた。今回の反騰と類似性がある昨年5月7日安値105.98円から6月5日高値109.84円までは3.86円の上昇幅であり、今晩の米雇用統計を強気で通過する場合は当時並みの上昇幅まで進む可能性もあるところと思われる。

【株高債券安・米長期債利回り上昇によるドル高】

NYダウは2月4日に前日比332.269ドル高と上昇した。先週末までは大幅下落していたものの2月1日から4日までは4連騰となった。ナスダック総合指数も前日比167.20ポイント高の大幅上昇で8日ぶりに史上最高値を更新した。米経済指標の持ち直し感、バイデン政権による1.9兆ドルの追加経済対策についても極端な減額とはならずに決定するのではないかとの思惑が背景と思われる。
株高債券安の流れと来週の米国債大量入札を控えて米10年債利回りは一時1.16%まで上昇した。1月28日に1.0%をいったん割り込んだところからの連騰であり、1月6日の0.90%から1月12日の1.19%まで急上昇した時に近い勢いとなっており、為替市場にとっては株高によるリスク選好的な投機通貨買いよりも米長期債利回り上昇によるドル買いが勝る展開となっている。

2月4日の米経済指標は概ね良好で株高債券安に寄与した。米労働省が発表した1月30日までの週間新規失業保険申請は前週比3万3000件減少の77万9000件で市場予想の83万件を下回った。3週連続ので改善。失業保険受給者総数は1月23日まで週間で459万2000人で前週から19万3000人減少して市場予想の470万人を下回った。米労働省が発表した2020年10-12月期の非農業部門労働生産性速報値は年換算で前期比4.8%低下して市場予想の2.8%低下を下回ったものの前年同期比は2.5%の上昇となった。インフレ指標である単位労働コストは前期比6.8%上昇となり市場予想の4.0%を大幅に上回った。また前年同期比も5.22%の上昇だった。米商務省が発表した12月の米製造業受注は前月比1.1%増となり市場予想の0.7%増を上回った。8か月連続のプラスで好調さを示した。変動の激しい輸送関連を除くと1.4%増、国防関連を除くと1.3%増だった。

【英中銀、マイナス金利導入はまだ先】

英中銀(イングランド銀行、BOE)は政策金利と量的緩和の債券購入枠を現状維持とした。中銀内で議論が続いているとされてきたマイナス金利の導入については、その準備を開始するよう市中銀行に呼び掛けたが、同時にマイナス金利の導入が近いと受け止められるべきではないと強調した。中銀による市中銀行から意見聴取では6か月以内の導入は運営上のリスクを増すことが明らかになったと表明したため、市場は少なくとも半年はマイナス金利導入は始まらないとして安心感が広がった。
ポンドドルは1月27日に1.3758ドルの高値を付けて昨年3月以降の最高値を更新したところからは伸び悩み、2月4日夜にかけては全般的なドル高に圧されて下落に転じて1月27日以降の最安値を更新していたが、中銀政策発表から1.3700ドルに迫るところまで急反発した。ポンドの急騰を除けば全般的にはドル高基調は継続しており、ユーロドルはポンド買いユーロ売りの圧力もかかって5日早朝へと続落、ドル円も上昇基調を維持した。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、1月26日深夜安値を直近のサイクルボトムとした強気サイクル入りとして1月28日夜から2月1日深夜にかけての間への上昇を想定してきたが、1月29日夕高値から上げ渋った後に一段高へ進んだため、2月2日朝時点では1月29日夕高値を直近のサイクルトップ、上げ渋り持ち合い中の安値である2月1日午前安値104.60円を同サイクルボトムとした新たな強気サイクル入りとして2月3日夕から5日夜にかけての間への上昇を想定した。5日早朝へ続伸しているので引き続きトップ形成中とみる。また2月2日深夜高値から上げ渋りの持ち合いを入れてから一段高しているため、2月4日午前安値を直近のサイクルボトムとした連続的な強気サイクル入りによりトップ形成期が週明け以降へ延びる可能性もあると思われる。弱気転換には105.25円を割り込む反落が必要と思われる。

60分足の一目均衡表では4日午前からの上昇で遅行スパンが再び好転、先行スパンを上回る状況も継続しているので遅行スパン好転中は高値試し優先とし、弱気転換は遅行スパン悪化からとする。中勢としては先行スパンを上回るうちは一時的に遅行スパンが悪化してもその後の好転からは上昇再開へ進みやすい状況と思われる。

60分足の相対力指数は1月29日以降は相場の高値切り上げに対して指数のピークが切り下がる弱気逆行が続いていたが、4日の一段高により指数のピークを結ぶ抵抗線を突破して70ポイント台後半へ上昇した。4日夜から5日朝への高値更新に際しては指数のピークが切り上がっているのでまだ一段高余地があると思われるが、買われ過ぎ警戒感も出始めるところのため65ポイント割れから続落の場合は下げ再開注意とみる。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、105.25円を下値支持線、106.00円を上値抵抗線とする。
(2)105.25円以上での推移中は上昇余地ありとして106円を目指すとみる。105.85円以上は反落注意とするが、米雇用統計を強気で通過する場合は106円台序盤へ上値目途を引き上げる。
(3)105.25円割れからはいったん調整安に入るとみて105円前後への下落を想定する。105円割れは押し目買いされやすいとみるが、米雇用統計反応などで急落商状の場合は104.75円前後まで下値目途を引き下げる。

【当面の主な予定】

2/5(金)
08:30 (日) 12月 全世帯消費支出 前年同月比 (11月 1.1%、予想 -2.4%)
14:00 (日) 12月 景気先行指数(CI)速報値 (11月 96.4、予想 95.2)
14:00 (日) 12月 景気一致指数(CI)速報値 (11月 89.0、予想 87.8)
16:00 (独) 12月 製造業新規受注 前月比 (11月 2.3%、予想 -1.0%)
16:00 (独) 12月 製造業新規受注 前年同月比 (11月 6.3%、予想 6.7%)

22:30 (米) 12月 貿易収支 (11月 -681億ドル、予想 -657億ドル)
22:30 (米) 1月 雇用統計・非農業部門就業者数 前月比 (12月 -14.0万人、予想 5.0万人)
22:30 (米) 1月 雇用統計・失業率 (12月 6.7%、予想 6.7%)
22:30 (米) 1月 雇用統計・平均時給 前月比 (12月 0.8%、予想 0.3%)
22:30 (米) 1月 雇用統計・平均時給 前年同月比 (12月 5.1%、予想 5.1%)
29:00 (米) 12月 消費者信用残高 前月比 (11月 152.7億ドル、予想 120.0億ドル)


注:ポイント要約は編集部

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