ドルが年初来高値更新、さらなる続伸期待も
〇ドル円、年初来高値更新、一時104.60近くまで上値を伸ばすドルが堅調裡な展開
〇2020年の米GDP、74年ぶりのマイナス幅となる、経済のテコ入れを急ぐ旨の発言も
〇新型コロナ、ワクチン供給や変異種について報じられる
〇1月のドル/円相場、月間で2円程度動く、105円に向けたドルのさらなる続伸あるか
〇NYダウ先物、本日東京時間かなりの乱高下、米株の動きに要注意
〇本日発表の米経済指標、要人による発言にも注意
〇本日欧米時間のドル/円予想レンジ104.10-105.00
<< 東京市場の動き >>
29日の東京市場はドルが堅調裡。年初来高値を更新し、一時104.60円近くまで上値を伸ばす局面も観測されていた。
ドル/円は、寄り付いた104.15-20円を底値に小高い。月末最終営業日ということでの需給要因なども取り沙汰されると、当初からドル買い・円売りが先行し、そのまま一気に日中高値の104.55-60円へ。年初来高値を更新したこともあってか、その後はやや上げ渋りの様相を呈するもすでに底堅い。上抜けてきた移動平均の90日線などをサポートに、16時現在でも104.50円前後の高値圏で推移し、欧米時間を迎えている。
一方、材料的に注視されていたものは、「米経済情勢」と「新型コロナ」について。
前者は、発表された昨年10-12月期の米GDP速報値が前年比年率4.0%となり、予想を下回っただけでなく、2020年という年間ベースで「74年ぶりのマイナス幅」になったことが思惑を呼んでいた。後者部分については、事前にある程度予想されていたものだが、通信社のヘッドラインなどで改めて伝えられたことに、驚いた向きが多かった感も否めない。そうしたなか、ペロシ米下院議長から「コロナ対策法案の議事運営を来週中に進める」とし、経済のテコ入れを急ぐ旨の発言も聞かれていた。
対して後者は、デンマークやポルトガルがロックダウン措置の延長を発表し話題となるなか、同じ欧州でワクチン供給に関するイザコザがさらに広がると話題を呼ぶ。たとえば、ロイターは「欧州委、供給大幅減少の英アストラゼネカのワクチン工場視察を要請した」と報じたほか、別に「EU大統領がワクチン供給遅延について、法的措置検討の考えを示した」とも指摘していた。なお、そうしたなか、米国において「渡航歴ない成人2人が南ア変異種に感染、米国内で初確認」されたことが明らかになり、警戒感がさらに高まっている。
<< 欧米市場の見通し >>
1月のドル/円月間変動幅は、先日までわずかに1.80円。昨年一番変動が乏しかった12月の1.87円を下回る小動きにとどまっていたが、昨日そして本日とドル高方向に動いたことで、最悪の事態は免れた。本日が仮にこのまま終わっても、1月相場は月間で2円程度は動いた計算になる。とは言え、せっかくレンジを上放れてきたのだから、ドルのさらなる続伸を期待したいところ。105円に向けたドルの一段高もあるか。
材料的には、「新型コロナ」をはじめ注意すべき事象が幾つかあるが、とくにとなると、不安定推移をたどるNYダウを中心とした米株の動きに要注意。ちなみに、NYダウ先物は本日東京時間もかなりの乱高下を経たうえ、本稿執筆段階では300ドル近い下落をたどっている。また、先物は主要3指数ともマイナス圏で推移するなど、このあとのNY時間、現物がそれぞれどういった値動きをたどるのか注目だ。
テクニカルに見た場合、ドル/円は104.35円前後の重要ポイントを「しっかり」上回っての推移。ちなみに104.35円前後は、一目均衡表において先行帯の雲の上限にあたるほか、移動平均では90日線が位置している。もう少し情勢を見極める必要があるものの、ともに過去半年程度のあいだクリアに上抜けたことがないため、「しっかりした上抜け」が再確認されれば、今度はそれらをサポートに、ドルはさらなる高値を試す可能性を否定できなくなりそうだ。
材料的に見た場合、中長期的には再び激化の兆しのうかがえる「米中の対立」やそれだけにとどまらない「様々な中国情勢」、「北朝鮮情勢」、「英国情勢」、「イラン情勢」、「トルコ情勢」、「新型コロナウイルス再拡大と変異種の発生、ワクチン開発・接種など」、「バイデン次期米大統領による政権運営」−−などが注視されている。
一方、本日の新規材料としては、12月のPCEデフレーターや1月のシカゴ購買部協会景気指数といった米経済指標が発表される予定となっている。またダラス連銀総裁やサンフランシスコ連銀総裁による講演や、同じ発言ということでは最終日となる「ダボスアジェンダ」にも一応の注意を払いたい。
そんな本日欧米時間のドル/円予想レンジは104.10-105.00円。本日東京高値にあたる104.55-60円が最初の抵抗。超えれば昨年11月と12月に一度ずつドルの上値を阻んだ104.75-80円、そして心理的なポイントでもある105円がターゲットに。
対するドル安・円高方向は、短期的に底堅くなってきた感のある104.15-20円や104円前後などにまずは注目。下回っても、103.70円台へとレベルを切り上げてきた移動平均の21日線が強いサポートとなりそうだ。
ドル円日足
注:ポイント要約は編集部
オーダー/ポジション状況
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