ドル円見通し クロス円での円安と米長期債利回り上昇でドル円は上昇
〇ドル円、1/28夜104.45まで上昇、1/21夜安値103.32以降の高値を更新
〇米週間新規失業保険申請件数が2週連続の改善、米GDPも概ね予想通り、改善傾向が株高材料視される
〇NYダウ、1/28前日比300.19ドル高となり6日ぶりに大幅反騰、ナスダックも66.56ポイント高と上昇
〇株高債券売りから長期金利上昇、10年債利回り夕刻に1%を若干割り込んだが一時は1.067%まで急上昇
〇週末にダウが続伸してドル全面安進むか、ダウ反落によりリスク回避でのドル高ぶり返しとなるか
〇米長期債利回りの再上昇気配も踏まえ、来週の方向性を探る展開か
〇104.00以上での推移中は上向きとする、104.45を超える場合は104.75前後を目指す上昇を想定
〇104.00割れからはいったん下落期に入るとみて103.80前後、次いで103.55前後を目指す下落を想定
【概況】
ドル円は1月28日夜に104.45円まで上昇、1月21日夜安値103.32円以降の高値を更新した。
1月21日から27日にかけてはNYダウが5日続落となり27日には前日比633.87ドル安と大幅下落したためにドル高が進行、ドル円も21日から27日へと上昇を続けた。しかし28日はNYダウが6日ぶりに大幅反騰したことで為替市場がリスク選好感を回復してドル安となり、ユーロドルは深夜にかけて急伸してから上げ渋ったものの、豪ドルやポンド等は29日早朝へ続伸、夜まで下落基調が続いていた南アランドやメキシコペソも深夜へ急反発するなどドル安が継続したため、ドル円も夜高値の後は上げ渋ったものの104円台前半を維持して確りしている。
米商務省が発表した2020年10-12月のGDP速報値は年率換算で前期比4.0%増となり市場予想と一致した。四半期個人消費は2.5%増で市場予想の3.1%を下回り、四半期コアPCE伸び率も1.4%上昇で市場予想の1.5%上昇を下回ったが、概ね予想に近いものとして市場は強気反応を見せた。2020年通年のGDPは4−6月期の大幅悪化の影響で前年比3.5%減となり、リーマンショックの2009年に2.5%減となって以来11年ぶりのマイナス成長、1946年のマイナス11.6%以来との悪化だったが、市場もこれは織り込み済として10-12月期の改善への強気を優先した。
米労働省が発表した1月23日までの週間新規失業保険申請は前週比6万7000件減の84万7000件で市場予想の87万5000件を下回り2週連続の改善となった。失業保険受給者総数は1月16日までの週間で477万1000人で前週から20万3000人減少して市場予想の505万4000人も下回った。依然として高水準ではあるが改善傾向が株高材料視された。
米コンファレンス・ボードが発表した12月の景気先行指数は前月比0.3%上昇で市場予想と一致したが11月の0.7%上昇からは伸びが鈍化した。12月の新築住宅販売件数は年率換算で84.2万件で市場予想の86.5万件を下回ったが11月の82.9万件は上回り前月比1.6%増だった。
【NYダウが6日ぶりに反騰するも上げ幅の半分を解消、米長期債利回りは上昇気配】
1月28日のNYダウは前日比300.19ドル高、ナスダック総合指数は66.56ポイント高と上昇した。NYダウは前日比までの5日間の下落による売られ過ぎ警戒感と値頃感から買われた。週間新規失業保険申請件数が2週連続の改善となり、米GDPも概ね予想通りだったことで反騰。株高債券売りから長期金利は上昇となり、10年債利回りは28日夕刻に1%を若干割り込む水準まで低下していたところから一時は1.067%まで急上昇した。株高によるリスク選好的な投機通貨買いでクロス円は上昇、米長期債利回りの上昇による押し上げも加わってドル円においてもドル高円安反応が継続した格好だ。
NYダウが6日ぶりに反騰したことで為替市場はリスク選好感を取り戻しつつある。全般的にドル安気味の反応となったがユーロの戻りはやや鈍く、ポンドは前夜の下げでも高値圏を維持、豪ドルは前夜にかけて大幅下落した後に急反騰するなど、通貨によっては反応に差が出ている。新興国通貨の反発も比較的鈍い印象だ。ダウも600ドルを超える上昇から300ドル程度の上げ幅を削る反落も入っており、まだ乱調な展開の範囲ともいえる。週末にダウが続伸してドル全面安が進むのか、ダウ反落によりリスク回避でのドル高ぶり返しとなるのか、米長期債利回りの再上昇気配も踏まえて来週の方向性を探る週末となりそうだ。
【60分足一目均衡表・サイクル分析】
概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、1月25日深夜高値を直近のサイクルトップとした弱気サイクル入りとして26日夕から28日夜にかけての間への下落を想定した。103.80円超えからは強気転換注意としていたが、27日深夜への急伸で103.80円及び25日深夜高値を超えたため、28日朝時点では26日深夜安値を直近のサイクルボトムとした強気サイクル入りとして28日夜から2月1日深夜にかけての間への上昇を想定した。28日夜へ一段高した後は上げ渋っているものの104円台を維持しているのでまだ上昇余地ありとするが、104円割れからは弱気サイクル入りとして29日夜から2月2日深夜にかけての間への下落を想定する。
60分足の一目均衡表では27日夜の急騰で遅行スパンが好転、先行スパンも突破し、その後も両スパン揃っての好転を続けてきたが、28日夜高値からの上げ渋りにより遅行スパンは悪化しやすくなっている。先行スパンからの転落を回避するうちは一時的に遅行スパンが悪化してもその後の好転から上昇再開とするが、遅行スパン悪化中は下向きとし、先行スパン転落からは下げ再開とみて遅行スパン悪化中の安値試し優先とする。
60分足の相対力指数は27日深夜から28日夜への高値切り上げに対して指数のピークが切り下がる弱気逆行が発生しているため上昇一巡から下落期に入りつつあると思われる。50ポイント台を維持して60ポイントを超えてくれば上昇再開とみるが、相場の高値更新に際して指数のピークが再び切り下がる場合はその後の反動安入りを警戒する。50ポイント割れから続落に入る場合は30ポイント前後を目指す下落を想定する。
以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、104.00円を下値支持線、1月28日夜高値104.45円を上値抵抗線とする。
(2)104.00円以上での推移中は上向きとして1月28日夜高値を超える場合は104.75円前後を目指す上昇を想定する。104.75円以上は反落注意とみるが、104円台を維持しての推移なら週明けも高値試しへ向かいやすいとみる。またドル全面高で勢いつく場合は105円試しへ上値目途を引き上げる。
(3)104.00円割れからはいったん下落期に入るとみて103.80円前後、次いで1月26日深夜安値103.55円前後を目指す下落を想定する。103.70円以下は反発注意とするが、104円以下での推移なら週明けも安値試しへ向かいやすくなるとみる。
【当面の主な予定】
1/29(金)
09:30 (豪) 10-12月期 生産者物価指数 前期比 (7−9月 0.4%)
09:30 (豪) 10-12月期 生産者物価指数 前年同期比 (7−9月 -0.4%)
14:00 (日) 12月 新設住宅着工戸数 前年同月比 (11月 -3.7%、予想 -3.9%)
14:00 (日) 1月 消費者態度指数・一般世帯 (12月 31.8、予想 29.0)
16:00 (独) 10-12月期 GDP速報値 前期比 (7−9月 8.5%、予想 0.0%)
16:00 (独) 10-12月期 GDP速報値・季調済 前年同期比 (7−9月 -4.0%、予想 -4.0%)
16:00 (独) 10-12月期 GDP速報値・季調前 前年同期比 (7−9月 -3.9%、予想 -3.2%)
17:55 (独) 1月 失業者数 前月比 (12月 -3.70万人、予想 0.60万人)
17:55 (独) 1月 失業率 (12月 6.1%、予想 6.1%)
21:00 (メ) 10-12月期 GDP速報値 前期比 (7−9月 12.1%、予想 2.8%)
21:00 (メ) 10-12月期 GDP速報値 前年同期比 (7−9月 -8.6%、予想 -5.5%)
22:30 (米) 12月 個人所得 前月比 (11月 -1.1%、予想 0.1%)
22:30 (米) 12月 個人消費支出(PCE) 前月比 (11月 -0.4%、予想 -0.4%)
22:30 (米) 12月 PCEデフレーター 前年同月比 (11月 1.1%、予想 1.2%)
22:30 (米) 12月 PCEコアデフレーター 前月比 (11月 0.0%、予想 0.1%)
22:30 (米) 12月 PCEコアデフレーター 前年同月比 (11月 1.4%、予想 1.3%)
22:30 (米) 10-12月期 雇用コスト指数 前期比 (7−9月 0.5%、予想 0.5%)
23:45 (米) 1月 シカゴ購買部景況指数 (12月 59.5、予想 58.5)
24:00 (米) 12月 住宅販売保留指数 前月比 (11月 -2.6%、予想 -0.1%)
24:00 (米) 12月 住宅販売保留指数 前年同月比 (11月 16.0%、予想 20.3%)
24:00 (米) 1月 ミシガン大学消費者信頼感指数確報値 (12月 79.2、予想 79.2)
注:ポイント要約は編集部
オーダー/ポジション状況
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