『ドル売り再開に警戒。FOMCがメインイベント』
〇ドル円週初はイエレン次期財務長官ドル安を志向せずとの観測や株式市場の堅調に104.10まで上昇
〇その後公聴会でのイエレン氏のハト派姿勢、リスク選好のドル全面安に103.33まで下落
〇週末には米指標の好結果、欧米株の下落で103.80まで持ち直して越週
〇ユーロドル欧州政局不安と欧州コロナ感染拡大に週明け1.2054まで下落
〇その後は欧州指標好調とリスク選好に一時1.2190まで上昇、1.2170で越週
〇ドル円一目均衡表の「雲」に阻まれ続伸余地に乏しいか
〇米当局のハト派姿勢の徹底、コロナ拡大、バイデン政権誕生による材料出尽くし感等ドル売り材料多い
〇来週の予想レンジ(USDJPY):102.25ー104.75、(EURUSD):1.2025−1.2275
今週のレビュー(1/18−1/22)
<ドル円相場>
今週のドル円相場(USDJPY)は、週初103.76で寄り付いた後、@米紙による「イエレン次期米財務長官候補は1/19の指名承認公聴会でドル安を志向しない方針を明確化」との観測記事や、A株式市場の堅調推移を背景としたリスク選好の円売り圧力(クロス円上昇→ドル円連れ高)を背景に、翌1/19に週間高値104.10まで上昇しました。しかし、一目均衡表雲下限をバックに伸び悩むと、Bイエレン財務長官候補によるややハト派寄りの指名承認公聴会や、C欧米株の上昇を背景としたリスク選好のドル売り圧力(バイデン大統領就任→米主要株価3指数が揃って史上最高値更新)、D日銀金融政策決定会合で追加緩和が見送られたことに伴う失望感(日銀は金融政策の現状維持を決定。黒田総裁会見にもサプライズは見られず)が重石となり、週後半(1/21)にかけて、週間安値103.33まで下落しました(1/7以来、2週間ぶり安値圏)。
もっとも、その後は、E米経済指標(米12月住宅着工件数や、米12月建設許可件数、米1月フィラデルフィア連銀製造業景気指数、米新規失業保険申請件数、米1月製造業及びサービス業PMI速報値、米12月中古住宅販売件数など)が軒並み良好な結果となったことや、F欧米株の下落を背景としたリスク回避のドル買い圧力が支援材料となり、結局103.80付近まで持ち直しての越週となっております。
<ユーロドル相場>
今週のユーロドル相場(EURUSD)は、週初1.2085で寄り付いた後、@米紙による「イエレン次期米財務長官候補は1/19の指名承認公聴会でドル安を志向しない方針を明確化」との観測記事や、A欧州各国で広がる政局不安(イタリア、オランダ、エストニアなど)、B欧州圏で広がる新型コロナウイルスの感染拡大が重石となり、週明け早々に、週間安値1.2054(12/2以来、約1ヶ月半ぶり)まで下落しました。
しかし、一目均衡表「雲上限」にサポートされると、Cドイツ1月ZEW景況感指数(結果61.8、予想60.0、前回55.0)の良好な結果や、Dイタリアの解散総選挙が回避されたことに伴う安堵感(独伊スプレッドは拡大に至らず)、Eドイツ12月生産者物価指数(結果0.8%、予想0.3%、前回0.2%)の伸び率加速、F欧米株の上昇を背景としたリスク選好のドル売り圧力(米主要株価3指数が揃って史上最高値更新)、GECB理事会での金融政策の現状維持(追加緩和の見送り)、Hユーロ圏1月製造業及びサービス業PMI速報値の市場予想を上回る結果が支援材料となり、週末にかけて、高値1.2190まで上昇しました。引けにかけて小反落するも下値は堅く、結局1.2170近辺での越週となっております。
来週の見通し(1/25−1/29)
<ドル円相場>
ドル円は週末にかけて持ち直すも、上方より垂れ下がってくる一目均衡表の分厚い雲を考慮すれば、ここからの続伸余地は乏しいと判断できます(事実、先週来、一目均衡表の雲下限がレジスタンスとして確り機能→104円をバックに戻り売りが強まる公算大)。日足ベースで移動平均線のパーフェクトオーダーも点灯する中、テクニカル的に見て、下落トレンドの継続が意識されます。
ファンダメンタルズ的に見ても、@パウエルFRB議長やイエレン米財務長官がハト派的なスタンスに徹していること(トリプルブルー確定後に広がった早期テーパリング観測が後退)や、A新型コロナウイルスの感染拡大を背景にリスク回避の円買いが意識されている点(世界経済の一段の悪化→株式市場や商品市況の急落→リスク回避のドル買い→クロス円下落→ドル円連れ安の波及経路。リスク回避再燃時はドル買い主導で当初はドル円が上昇するも、クロス円の下落を通じて時間差でドル円を下押す傾向あり)、Bバイデン新政権誕生を受けた材料出尽くし感(sell the fact)など、ドル売り・円買いを想起させる材料が増えつつあります。
以上を踏まえ、当方では、ドル円相場の下落をメインシナリオとして予想いたします。尚、来週は1/27に開催される米FOMCに注目が集まります(金融緩和の現状維持が見込まれている為、パウエルFRB議長の記者会見に注目)。パウエルFRB議長は、財政出動の必要性を訴えると共に、緩和政策の継続を強調し、市場で燻る早期テーパリング観測の抑え込みを図ると考えられる為、来週はFOMCを経て、米長期金利低下→ドル売りの流れが加速する可能性があります(一方、市場が催促相場に転じた場合、米長期金利上昇→株安→リスク回避のクロス円売り→ドル円連れ安の展開が想定される為、いずれのケースにおいてもドル円には下押し圧力が加わり易いと予想)。
来週の予想レンジ(USDJPY):102.25ー104.75
<ユーロドル相場>
ユーロドルは、週明け早々に安値1.2054まで下げ幅を広げるも、週末にかけて持ち直す動きとなりました(心理的節目1.20トライはひとまず阻まれた格好)。とは言え、上方(1.22台)には、一目均衡表基準線やボリンジャーミッドバンドが控えている他、1/11−1/13にかけて続伸を阻んだ強力なレジスタンス(1.2210−1.2230)も意識されることから、ここからの続伸は容易では無いと判断できます(テクニカル的に上値余地は乏しい→1.22をバックに戻り売りが強まる公算大)。
ファンダメンタルズ的に見ても、@欧州圏における新型コロナウイルスの感染拡大や、Aそれに伴うロックダウンの長期化リスク(欧州経済の先行き不安。メルケル独首相は2/14までのロックダウン延長に合意。ドイツ連邦銀行は「制限措置が再び延長された場合、ドイツ経済は大きく後退する恐れがある」との見解を発表)、B欧州当局者によるユーロ高牽制姿勢(ラガルド総裁はECB理事会後の記者会見で「ユーロ高がインフレを抑制している」と改めて発言、CECBによる根強い追加緩和観測など、ユーロドルの下落を想起させる材料は引き続き沢山残っております。
以上の通り、ユーロドル相場は、ドル売り主導で反発するも、テクニカル面、ファンダメンタルズ面双方の影響で、続伸余地は乏しいと判断できます。新型コロナウイルスの感染拡大状況や、それに伴う株式市場の動向、1/25に発表されるドイツ1月IFO景況指数や、1/28のドイツ1月消費者物価指数の結果を睨みながらも、当方では引き続き、ユーロドル相場の反落をメインシナリオとして予想いたします。尚、来週は1/25のパネッタECB専務理事講演を皮切りに、レーンECB専務理事、ラガルドECB総裁、ポルトガル中銀センテノ総裁、フランス中銀ビルロワドガロー総裁、シュナーベルECB専務理事など、ECB当局者の講演が相次ぐことから、ユーロ高牽制→ユーロ売りの波及経路に注意が必要でしょう。
来週の予想レンジ(EURUSD):1.2025−1.2275
注:ポイント要約は編集部
ドル円日足
オーダー/ポジション状況
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