ドル円見通し 米長期債利回り急上昇継続で年末高値を上抜く(21/1/8)

ドル円は1月7日深夜に103.95円まで大幅上昇した。

ドル円見通し 米長期債利回り急上昇継続で年末高値を上抜く(21/1/8)

ドル円見通し 米長期債利回り急上昇継続で年末高値を上抜く

〇ドル円、1/7深夜103.95まで大幅上昇、1/6深夜高値103.44を上抜く一段高
〇1/8夜の米雇用統計からさらにドル高基調続くか、昨年来のドル安基調続くのか試される
〇NYダウ続伸、ナスダックは前日下落したものの1/7は前日比326.69ポイント高と反騰、史上最高値更新
〇米10年債利回り急上昇続く、米30年債利回りは昨年2月後半以来の高水準
〇ユーロドル、1/7夜は一段安となる、1/8夜の米雇用統計後の動きに注目
〇103.50を上回るうちは一段高余地あり、103.95超えからは104円台中盤を目指す上昇を想定
〇103.50割れからはいったん下落期に入るとみて、103.25から103.00を試すとみる

【概況】

ドル円は1月7日深夜に103.95円まで大幅上昇した。12月28日深夜高値103.90円から下落基調に入り、1月6日午前には102.59円まで下落して1月4日夜安値102.71円を割り込む一段安に入っていたが、米長期債利回りが急上昇したことによるドル買いで6日深夜に103.44円まで戻した。ドル買い一服で7日午前にかけては103円を割り込む場面もあったが、米長期債利回りの上昇は7日も継続、夕刻から夜にかけてはユーロやポンド、豪ドルが下落、新興国通貨も売られてドル全面高の様相となりドル円は6日深夜高値を上抜く一段高へ進み、さらに年末高値も超えるところまで急伸した。104円には届かずに8日午前はやや上昇一服感も出ているが、8日夜の米雇用統計からさらにドル高基調が続くのか、昨年来のドル安基調が続くのか試されるところとなった。

1月6日にはトランプ米大統領支持者が米議会を一時占拠して死者も出る騒動が発生したために大統領選確定手続きが一時中断していたが、手続き再開により選挙結果は確定し、トランプ大統領も「秩序だった政権移行」を表明したことで落ち着いた。
米サプライ管理協会が7日夜に発表した12月の米ISMサービス業景況指数は57.2となり11月の55.9から上昇して市場予想の54.6を上回った。
米労働省が発表した1月2日までの週間新規失業保険申請は78万7000件で前週比3000件減少して3週連続の改善、市場予想の80万件も下回った。失業保険受給者総数は12月26日までの週間で507万2000人となり前週比12万6000人減少で市場予想の520万人を下回った。
米商務省が発表した11月の米貿易統計では物品の貿易赤字が前月比6.1%増の863億5600万ドルとなり単月の赤字幅としては集計開始以来最大となった。昨年1〜11月の物品の貿易赤字累計も8246億ドルで通年の赤字としては過去最大だった2018年同期を上回った。

【株高債券安・米10年債利回り急上昇続く】

NYダウは1月6日に前日値比437.80ドル高と大幅上昇して3営業日ぶりに史上最高値を更新し、7日も前日比211.73ドル高と続伸した。ジョージア州での米上院選決選投票において民主党が2議席を獲得したために米上下院のねじれは解消となりバイデン政権による財政出動拡大・経済対策が進むとの見方が強まったことでNYダウが押し上げられている。その一方でナスダック総合指数は6日に前日比78.17ポイント安と下落したのはバイデン政権による巨大IT企業への規制強化を懸念してのものだったが、7日は前日比326.69ポイント高と反騰して史上最高値を更新した。規制強化への懸念よりも経済対策期待を優先させた印象だ。

米10年債利回りは1月5日の0.95%から6日に一時1.05%まで急上昇したが、7日も1.08%までさらに上昇した。株高続行によるリスク選好感の強まりで債券への安全資産買いが後退したこととバイデン政権による財政出動拡大が債券需給緩和を招くとの思惑での債券売りが反映されていると思われる。米30年債利回りは1月7日に1.86%へ上昇、昨年3月のコロナショック時に付けた1.03%以降の高値を更新、また3月19日へのリバウンドでつけた1.78%も超えて昨年2月後半以来の高水準となった。
ユーロドルは1月6日夜にかけての米長期債利回り上昇で反落した後はいったん戻して下落前の高値に迫っていたが7日夜は6日深夜安値を割り込む一段安となった。年末の調整安と今のところは同レベルだが、8日夜の米雇用統計後に一段安するようだとドル安ユーロ高基調にも大きなヒビが入りかねないところとなっている。ただ、豪ドル米ドルを見れば7日深夜への下落規模はまだ限定的であり、米長期債利回り上昇によるドル高圧力と共に株高によるリスク選好的な豪ドル高基調も維持されている印象だ。

【2か月から3か月周期のサイクルで底打ち】

ドル円は1月6日安値からの反騰で年末高値を上抜いたが、概ね2か月ないし3か月の周期で底打ちしており、11月6日安値から2か月目となる1月6日安値でこの周期の底を付けて戻している印象だ。この周期の底打ちは昨年1月8日底から2か月目の3月9日底、2か月目の5月6日安値、3か月目の7月31日安値、3か月目の11月6日安値で底打ちしてきた。
ひとまず戻り高値を試しに入った状況と思われるが、11月6日の底打ちでは11月11日までの短期的な反発に終わってその後の一段安へと進んでいるため、今回も戻りは短命の可能性があると思われる。1月8日夜の米雇用統計を上昇基調で通過する場合は1月中盤への上昇継続感と105円に迫る流れへ進みやすくなると思われるが、雇用統計を前後して失速する場合は早々に戻りが一巡して次の下落期に入る可能性もあると注意したい。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、1月4日深夜高値をサイクルトップとした弱気サイクル入りとしていたが、6日深夜の反騰で4日深夜高値を上抜いたため、7日午前時点では6日午前安値を直近のサイクルボトムとした強気サイクル入りとした。また102.75円以上での推移中は上昇余地ありとし、6日深夜高値超えからは7日の日中から11日朝にかけての間への上昇を想定するとした。
7日深夜へ一段高した後も103円台後半を維持しているのでまだ上昇余地ありとみるが、103.50円を割り込むところからは下落期入りとみて11日午前から13日午前にかけての間への下落を想定する。

60分足の一目均衡表では6日深夜の反騰で遅行スパンが好転、先行スパンも上抜いたがその後も両スパン揃っての好転を維持している。このため遅行スパン好転中は高値試し優先とするが、遅行スパン悪化からは調整安に入るとみて安値試し優先とする。
60分足の相対力指数は7日深夜の上昇で80ポイントに到達した後はやや下げているが、6日深夜高値からの一段高に際して指数のピークも切り上がっているのでまだ上昇余地が残る印象だ。このため50ポイント以上で推移中は高値更新余地ありとするが、相場がさらに高値を更新する際に指数のピークが切り下がる弱気逆行がみられる場合及び250ポイント割れへ低下する場合は下落期入りとみる。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、103.50円を下値支持線、1月7日深夜高値103.95円を上値抵抗線とする。
(2)103.50円を上回るうちは一段高余地ありとし、7日深夜高値超えからは104円台中盤を目指す上昇を想定する。104.50円以上は反落警戒とするが、103.75円以上での推移なら週明けも高値試しへ向かいやすいとみる。
(3)103.50円割れからはいったん下落期に入るとみて103円台序盤(103.25円から103.00円)を試すとみる。103円台序盤は買われやすいとみるが、103.50円以下での推移なら週明けも安値試しへ向かいやすいとみる。

【当面の主な予定】

1/8(金)
14:00 (日) 11月 景気先行指数(CI)速報値 (10月 94.3、予想 96.6)
14:00 (日) 11月 景気一致指数(CI)速報値 (10月 89.4、予想 89.4)
16:00 (独) 11月 貿易収支 (10月 194億ユーロ、予想 192億ユーロ)
16:00 (独) 11月 経常収支 (10月 225億ユーロ、予想 240億ユーロ)
16:00 (独) 11月 鉱工業生産 前月比 (10月 3.2%、予想 0.7%)
16:00 (独) 11月 鉱工業生産 前年同月比 (10月 -3.0%、予想 -2.3%)
19:00 (欧) 11月 失業率 (10月 8.4%、予想 8.5%)

22:30 (米) 12月 雇用統計・非農業部門就業者数 前月比 (11月 24.5万人、予想 7.1万人)
22:30 (米) 12月 雇用統計・失業率 (11月 6.7%、予想 6.8%)
22:30 (米) 12月 雇用統計・平均時給 前月比 (10月 0.3%、予想 0.2%)
22:30 (米) 12月 雇用統計・平均時給 前年同月比 (10月 4.4%、予想 4.4%)
24:00 (米) 11月 卸売在庫 前月比 (10月 1.1%、予想 -0.1%)
24:00 (米) 11月 卸売売上高 前月比 (10月 1.8%)
29:00 (米) 11月 消費者信用残高 前月比 (10月 72.3億ドル、予想 90.0億ドル)


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