12月21日夜高値をわずかに上抜くが17日未明高値及び104円には届かず
〇ドル円28日夜にダウ史上最高値更新で103.90まで上昇
〇104円には到達せず為替は方向感定まらず
〇株高に市場の目が行く中で年内主要材料消化でポジション調整的な動きか
〇103.40を割り込まないうちは上昇余地あり、103.90越えからは104円台試し
〇103.40割れからは下げ再開102.86を目指す下落想定
【概況】
ドル円は12月24日深夜高値103.76円からややジリ安で先週を終えていたが、28日午前に103.40円まで下落した後は底固さを見せ、28日夜はNYダウが史上最高値を更新する中で株高同調での円安で103.90円まで上昇、21日夜高値103.88円をわずかに上抜いたが12月17日未明の米FOMC声明発表直後の高値103.91円には届かず、104円乗せへ進めずに29日早朝にかけてはやや失速している。
12月17日夜に102.86円まで下げて11月6日安値103.17円を割り込み3月コロナショック第一波時の急落以降の安値水準となったが、底割れからさらに安値追いへは進まずに下げ渋りに入り、104円手前を抵抗としつつ安値は徐々に切り上げる動きで緩やかな三角持ち合いの様相となっている。三角持ち合いの上限に到達したが上放れには推進力不足として29日午前はやや押され気味の展開というところか。
【NYダウは史上最高値更新だが為替市場は方向感定まらず】
トランプ米大統領が12月27日に米与野党が合意して議会で可決された9000億ドル規模の追加経済対策法案に対して先週末までは難癖をつけて署名拒否姿勢を示していたのだが、27日に一転して署名した。署名拒否による混乱や批判を踏まえて態度を改めたと思われるが、この署名により世帯への現金給付等で総額9000億ドル規模の追加経済対策が実施に入り、2021会計年度の連邦政府予算も成立となったために予算切れによる一部政府機関の閉鎖も回避された。これを好感して NYダウは前日比204.10ドル高と上昇、ナスダック総合指数も94.69ポイント高と上昇して共に史上最高値を更新した。
米国株高の一方でユーロドルは28日夜に1.2249ドルまで上昇したのだが、いったん1.2191ドルまで急落し、深夜に1.2239ドルまで反騰、29日未明にかけて再び反落するなど、安値を切り上げてきているものの乱調な展開となった。
ポンド/ドルは英国とEUのFTAが首脳合意に至ったことで年明けからのハードブレグジットによる大混乱が回避されたとして24日夜へ上昇していたが、その後は材料消化により失速した。また豪ドル米ドルも28日夕刻まではリスク選好的な買いで上昇していたが深夜にかけて失速。新興国通貨でもメキシコペソが深夜にかけて下落、南アランドも25日高値の後は上昇一巡でやや軟調となるなど、全般的には方向感が定まらない展開となった。株高へ市場の目が向く中、年内の主要材料をひとまず消化したところでポジション調整的な動きも出ているためと思われる。
ドル円は夜にかけては株高債券安による米長期債利回りの上昇局面で買われたが、その後は米長期債利回りが低下に向かったことで上値が抑えられた印象だ。米10年債利回りは28日夜に0.96%まで上昇したところから29日早朝には0.92%まで低下している。株高継続感が強いものの、年明けへのリスクも抱えて米長期国債への売り圧力もやや限定的ということで逆に買われた印象もある。
【104円手前を抵抗とした三角持ち合い】
12月28日深夜への上昇では104円に届かなかったため、12月17日以降は安値ラインがやや切り上がり、104円手前をほぼフラットな抵抗線とした三角持ち合いの様相といえる。リスク選好的な株高によるクロス円上昇での円安圧力、株高債券安の場合の米長期債利回り上昇での円安圧力がドル円の上昇要因といえるが、一方ではドルストレートでのドル安の長期化が上値を抑えており、3月24日の戻り天井以降の右肩下がりな下降トレンドが継続している状況にあると思われる。
持ち合いも9日目に入るが、10日前後を経過すると持ち合いから放れやすくなる。28日夜の上昇で上放れに至らなかったため、逆に持ち合い下放れを試しやすい時間帯として注意がいるところかもしれない。このため12月28日午後安値103.40円を割り込む場合は12月17日以降の安値切り上げラインからの転落となって持ち合い下放れに入り、12月17日安値を試しに向かいやすくなると思われる。
【60分足一目均衡表・サイクル分析】
概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、12月28日深夜の上昇で24日深夜高値を超えたため、28日午後安値を起点として上昇期に入った可能性がある。しかし深夜高値からは失速しているので28日午後安値を割り込む場合は新たな下落期に入る可能性も警戒されるところだ。値動きが小さいために騰落リズムもやや短い。このため28日午後安値割れ回避のうちは29日夜から31日夜にかけての間への上昇余地ありとし、28日深夜高値を超える場合は104円台乗せへ挑戦する流れとみるが、28日午後安値を割り込む場合は新たな下落期入りとみて30日から年明けにかけての下落で12月17日安値試しへ向かう流れとみる。
60分足の一目均衡表では28日夜の上昇で遅行スパンが好転して先行スパンも上抜いたが、その後の失速により両スパンとも揃って悪化しやすい位置にある。また三角持ち合いにより値動き幅も小さいため両スパンとも好転と悪化を繰り返している。このため28日夜高値超えからはもう一段高へ進むとみて遅行スパン好転中の高値試し優先とするが、28日午後安値割れからは下落期入りとみて遅行スパン悪化中の安値試し優先とする。
60分足の相対力指数は28日深夜に70ポイント手前まで上昇してから反落している。50ポイントを割り込んでも切り返すうちは上昇余地ありとみるが、28日深夜高値を上抜く際に指数のピークが切り下がる弱気逆行となればその後の反落警戒とする。45ポイント割れからは下げ再開を警戒、40ポイント割れからは30ポイント割れを目指す下落を想定する。
以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、12月28日午後安値103.40円を下値支持線、12月28日深夜高値103.90円を上値抵抗線とする。
(2)28日午後安値を割り込まないうちは上昇余地ありとし、28日深夜高値超えからは104円台序盤試しを想定する。104円到達では売られやすいとみるが、103.65円以上での推移なら30日も高値試しへ向かいやすいとみる。
(3)28日午後安値割れからは下げ再開とみて12月17日深夜安値102.86円を目指す下落を想定する。103円台序盤(103.25円から103.00円)では押し目買いも入りやすいとみるが、28日午後安値を割り込んだ後も103.50円以下での推移なら30日も安値試しへ向かいやすいとみる。(了)<9:10執筆>
【当面の主な予定】
12/29(火)
23:00 (米) 10月 ケース・シラー米住宅価格指数 (9月 2532.53)
23:00 (米) 10月 ケース・シラー米住宅価格指数 前年同月比 (9月 6.6%、予想 7.0%)
12/30(水)
休場(リサール記念日) フィリピン
16:00 (英) 12月 ネーションワイド住宅価格 前月比 (11月 0.9%、予想 0.4%)
23:45 (米) 12月 シカゴ購買部協会景況指数 (11月 58.2、予想 56.)
24:00 (米) 11月 住宅販売保留指数 前月比 (10月 -1.1%、予想 0.1%)
24:00 (米) 11月 住宅販売保留指数 前年同月比 (10月 19.5%、予想 21.0%)
24:30 (米) エネルギー省週間石油在庫統計
12/31(木)
休場(大晦日) 日本、ドイツ、スイス、イタリア、ノルウェー、ポーランド、韓国、タイ、 フィリピン、インドネシア、ロシア (バンクホリデー) ブラジル
英EU離脱移行期間終了
10:00 (中) 12月 国家統計局製造業PMI (11月 52.1、予想 51.9)
16:00 (ト) 11月 貿易収支 (10月 -23.7億ドル、予想 -5.1億ドル)
22:30 (米) 週間新規失業保険申請件数 (前週 80.3万件、予想 83.0万件)
22:30 (米) 週間失業保険継続受給者数 (前週 533.7万人)
注:ポイント要約は編集部
オーダー/ポジション状況
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