トルコリラ円見通し 14円台到達、11月19日の前回利上げ時の高値13.82円を上抜く(12/29)

28日夕刻には24日夜高値を上抜いて一段高に入り、28日深夜には14.00円まで高値を切り上げた。

トルコリラ円見通し 14円台到達、11月19日の前回利上げ時の高値13.82円を上抜く(12/29)

14円台到達、11月19日の前回利上げ時の高値13.82円を上抜く

〇トルコリラ28日深夜に14.00に到達
〇新中銀総裁の二度の利上げと継続的インフレ抑制姿勢を市場が好感
〇13.85以上での推移中は上昇余地あり14.00越えからは14.20を目指す
〇13.85割れから弱気転換注意、13.77割れからは13.60台後半への下落を想定

【概況】

トルコリラ円は12月24日のトルコ中銀による市場予想を上回る連続利上げにより24日夜に13.70円まで上昇、初期的な買い一巡で25日朝には13.52円へ反落したが13.60円割れを買い戻されて足場を固め、28日夕刻には24日夜高値を上抜いて一段高に入り、28日深夜には14.00円まで高値を切り上げた。14円到達でいったん29日朝には13.77円まで下げたものの再び13.90円台へ切り返している。
対ドルでのトルコリラも28日深夜に7.40リラまで上昇、11月19日の7.48リラを超えて11月6日の史上最安値8.57リラ以降の最高値を更新した。

【中銀新総裁による連続利上げとインフレファイターとして市場の信頼を回復】

11月7日の前総裁の突然の更迭後に就任したアーバル中銀総裁は11月19日に政策金利を10.25%から15.0%へ引き上げ、12月24日には17.0%へと連続利上げを断行した。市場予想は16.5%への利上げだったが予想を超えたことと、12月16日にインフレ抑制への金融引き締め姿勢を継続するとした方針発言で市場の期待も強まっていたことに応えた。
11月19日の利上げ時には発表直後の上昇が短時間にとどまってその後は利上げ前水準を割り込む下落に見舞われたが、今回は24日の一段高からいったん小規模な調整を入れたものの押し目買いされてさらに一段高へ進んでおり、11月6日の史上最安値以降の高値を更新したことで先高感もさらに強まっている。一時的でカンフル剤的な単発利上げではなく、確りとしたインフレ抑制姿勢を示していることで連続利上げの効果も継続性を持った印象だ。

11月13日と11月19日に同値で付けた13.82円を超えて14円台に到達したことで、11月6日安値からの上昇は二段目に入った。
11月24日への反落幅の倍返しなら14.72円、一段目の上昇と同レベルの二段目上昇とすれば14.75円という上値計算となるが、14円台に定着してくる場合はそれら上値計算値を目指す可能性も現実味が出てくるのではないかと思われる。
1月4日に12月の物価上昇率の発表がある。その際に物価上昇率が予想を超えて政策金利水準に迫るようだと中銀もさらなる利上げを強いられる可能性もある点には注意がいるが、物価上昇率が落ち着いてくれば中銀の利上げ効果としてアーバル総裁への信頼感もより強まる可能性もあるだろう。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、12月19日未明高値を前回のサイクルトップ、21日夕安値を同サイクルボトムとした強気サイクル入りとして24日未明から28日朝にかけての間への上昇を想定してきた。24日夜の利上げを反映した上昇後に25日朝へ小反落してから一段高へ進んでいるため、24日夜高値を前回のサイクルトップ、25日朝安値を同サイクルボトムとして新たな強気サイクルに入ったと思われる。高値形成期は29日夜から31日夜にかけての間と想定されるので、29日朝の反落時安値を割り込まないうちは上昇余地ありとするが、急騰後の反動安も警戒されるので29日朝安値を割り込む場合はいったん弱気サイクル入りすると仮定して30日から年明けへの下落を想定する。

60分足の一目均衡表では12月14日以降、先行スパンを上回る状況を維持している。このため遅行スパン好転中は高値試し優先とするが、遅行スパン悪化からはいったん調整に入るとみて安値試し優先とする。その際は先行スパンが下値支持帯となりやすいとみる。
60分足の相対力指数は28日夕刻高値から深夜への一段高に際して指数のピークが切り下がる小規模の弱気逆行がみられる。50ポイント以上での推移中は70ポイント超えからさらに一段高へ進むとみるが、50ポイント割れからは下げ再開を疑う。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、12月29日朝安値13.77円を下値支持線、28日深夜高値14.00円を上値抵抗線とする。
(2)13.85円以上での推移中は上昇余地ありとし、14円超えからは14.20円を目指す上昇を想定する。14.20円以上は反落注意とするが、13.85円以上での推移なら30日も高値試しへ向かいやすいとみる。
(3)13.85円割れを弱気転換注意とし、13.77円割れからはいったん反動安に入るとみて13.60円台後半への下落を想定する。13.67円以下は反騰注意とするが、29日朝安値を割り込んだ後も13.80円以下での推移なら30日は安値試しへ向かいやすいとみる。

【当面の主な経済指標等の予定】

12月29日
 17:00 12月経済信頼感指数 (11月 89.5、予想 86.2)
12月31日
 16:00 11月貿易収支 (10月 -23.7億ドル、予想 −18.0億ドル)
 20:00 トルコ中銀金融政策決定会合議事要旨公開
 20:30 週次外貨準備高 12/25時点(12/18時点 498.0億ドル)
1月4日
 16:00 12月消費者物価 前年同月比 (11月 14.0%)
 16:00 12月消費者物価 前月比 (11月 2.3%)
 16:00 12月生産者物価 前年同月比 (11月 23.11%)

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