0.25%利下げ実施の公算大、次期大統領に配慮した声明及び記者会見に
【今回のポイント】
〇 政策金利は0.25%引き下げ
〇 年内追加利下げ実施を示唆
〇 直前に実施された米大統領投開票の結果も重要
【市場コンセンサスは何?】
連邦準備制度理事会(FRB)による連邦公開市場委員会(FOMC)が、11月6日‐7日に開催され、東京時間11月8日未明に結果が伝わる。東京時間11月3日17時時点のFOMCコンセンサスは下記の通りである。
・0.25%の利下げを実施
・12月も0.25%の利下げ実施を示唆
【何がサプライズになる?】
CMEが提供するFed Watchでは、11月に0.25%ずつ利下げをすると予想している割合が9割超、12月も0.25%利下げすると予想している割合は8割超となっている。市場コンセンサスはほぼ鉄板といった状況にあり、パウエルFRB議長の記者会見を含めても無風通過を予想する関係者が多い。そもそも、5日の米大統領選挙の投開票直後のFOMCであるため、アグレッシブな声明や発言は行わないとの見方が強く、FRBはノーサプライズを選択せざるを得ないと考える。
【では、ドルはどう動く?】
次期大統領は東京時間6日午後辺りに判明する可能性が高いが、市場がやや織り込みを強めているトランプ氏が勝利した場合は、財政拡大への思惑が強まり、もう一段ドル高の動きが強まるだろう。一方、ハリス氏の場合は、トランプトレードの逆回転が発生することから、ドル売りの流れが強まると考える。
ドルインデックスは9月末の100割れ水準から104.2水準まで上昇した。米経済のソフトランディング期待が大きいが、米金利上昇の背景にはトランプトレードも影響しており米10年債利回りは4.38%水準まで拡大している。10年物国債の日米金利差は3.3%近くまで拡大しているほか、CFTCが公表している10月29日時点の投機筋の円ポジションも8月6日以来、約3カ月ぶりに円売りポジションに傾いた。大統領選挙の結果次第では、日米金利差に着目した円キャリートレードが再燃する可能性も意識しておきたい。
ドルは、米大統領選挙の結果次第では、上下に大きく振れる公算が大きいことから、足元動きが強かった対円、対ユーロは要注意となろう。トランプ氏勝利の場合、日米金利差拡大に伴う思惑が強まり、ドルは150円台半ばから後半まで上昇すると予想。ユーロ・ドルは昨年10月以来の1.05ドル割れも視野に入り、長期的にはパリティが意識されそうだ。
一方、ハリス氏勝利の場合、トランプトレードの逆回転が発生するため、対円では140円台後半まで一気にドル売り円高が進むと考える。ユーロ・ドルは、1.10ドル台までは瞬間的に値を戻しそうだ。
【最近のFOMC関係者の発言は?】
10月中旬から10月下旬にかけてのFOMC関係者などの発言を拾ってみたが、年内2回程度(0.5%の利下げ)を見込んでいる関係者が多く、足元の経済に対しては強気見通しのタカ派が多い印象だ。
※ブラックアウト期間とは、主に中央銀行会合の前々週の土曜日から開始される。例えば FOMCが火曜日と水曜日に開催される場合は、会合翌日の木曜日まで計13日間続くこととなる 。
10月24日、ベージュブック
「全体として、雇用はわずかに増加し、半数以上の地区がわずかまたは緩やかな拡大を報告し、残りの地区はほとんど変化がないと報告」
「多くの地区が労働者の離職率が低く、解雇は限定的であると報告」
「賃金は一般に、わずかまたは緩やかなペースで上昇が継続」
「複数の地区で賃金上昇のペースが鈍化」
「一部では通常よりも大きな賃金上昇が報告された」
「インフレは引き続き緩和し、ほとんどの地区でわずかにまたは緩やかに上昇したと報告」
「住宅価格は多くの地区でわずかに上昇したが、家賃は横ばいまたはわずかに下落した」
10月22日、デイリー・サンフランシスコ連銀総裁
「今後も追加利下げが行われると予想」
「経済に合わせて政策を調整し続ける」
「利下げを停止する理由は目にしていない」
10月22日、カシュカリ・ミネアポリス連銀総裁
「財政赤字の拡大は金利上昇を意味する」
「インフレを引き起こしたのは労働市場ではない」
10月21日、ローガン・ダラス連銀総裁
「経済が予想通りなら、段階的な利下げを予想」
「FRBは政策選択において機敏に動く必要がある」
「経済は力強く安定している」
「雇用市場の下振れリスク、インフレ目標への継続的なリスクを認識」
「バランスシート縮小と利下げは同じ方向」
10月19日、ボスティック・アトランタ連銀総裁
「リセッションは私の見通しにはなかった」
「0.50%の利下げでFRBはいかなる事態にも備えられる」
「インフレが上昇すればFRBは積極的に行動する」
10月16日、ボスティック・アトランタ連銀総裁
「米経済の力強い継続を予想」
「インフレが2%に戻ることをかなり確信」
10月16日、デイリー・サンフランシスコ連銀総裁
「予測通りなら、年内に1回か2回の利下げが実施される可能性が高い」
「成長については慎重ながらも楽観的」
「FRBは大きな混乱なくインフレを抑制することができた」
「中立金利はかつてよりも高い」
10月15日、ウォラーFRB理事
「基本シナリオでは、今後1年間で政策金利を徐々に引き下げる必要」
「政策金利は現在、抑制的」
「可能性は低いが、インフレが2%を下回るか労働市場が悪化した場合、FRBは前倒しで利下げできる」
「インフレが予想外に上昇した場合、FRBは利下げを一時停止する可能性がある」
「最新のインフレデータは期待外れ」
10月14日、カシュカリ・ミネアポリス連銀総裁
「経済はインフレ率を2%に戻す最終段階にある」
「金融政策がどの程度制限的であるかは不明」
「雇用市場は依然として堅調」
「最近の雇用データは労働市場が急速に弱体化していないことを示唆」
「さらなる緩やかな利下げが適切と思われる」
「金融政策の今後の方向性はデータと経済の動向によって左右される」
10月12日、ローガン・ダラス連銀総裁
「緩和政策でもインフレは抑制される」
「最近のインフレデータは非常に歓迎すべき」
10月11日、ボスティック・アトランタ連銀総裁
「これまでの金利スタンスはもはや適切ではなかった」
「9月の0.50%の利下げは十分に正当化された」
「最新のインフレ、労働市場データにより、FRBは忍耐強くなれる」
「残りの会合のいずれか、またはいずれも利下げする根拠が示される可能性」
「11月の金利据え置きについて、私は間違いなくオープン」
「月次の経済データは不安定になると予想」
「今年の利下げをスキップしても全く問題ない」
10月11日、ウィリアムズ・ニューヨーク連銀総裁
「経済がFRBのさらなる利下げを許容すると予想」
「インフレ率は今年2.25%に低下し、来年は2%近くまで下がると予想」
「今年のGDPは2.25%から2.50%の間と予想」
「最近のFRBの利下げにより、経済は好調な状態になるはず」
「今後の利下げのペースと規模は経済データ次第」
「失業率は2025年に4.25%前後になると予想」
10月10日、バーキン・リッチモンド連銀総裁
「インフレは正しい方向に向かっている」
「インフレは低下しているが勝利を宣言することはできない」
「金利低下が住宅需要を押し上げるリスクを認識」
10月10日、グールズビー・シカゴ連銀総裁
「インフレは予想通り、住宅市場は改善」
「FRBはより長期的な視点を持つ必要がある」
【2024年スケジュール】
※米国は現地時間を記載しているので、金利発表及び記者会見は日本時間翌日未明
米連邦公開市場委員会(FOMC)
1月30日−31日・・・4会合連続で金利据え置き
3月19日−20日・・・5会合連続で金利据え置き、パウエルFRB議長は、年内利下げの可能性を再表明
4月30日−5月1日・・・6会合連続で金利据え置き、パウエルFRB議長はややハト派な発言
6月11日−12日・・・7会合連続で金利据え置き、24年利下げ回数は3回から1回に修正
7月30日−31日・・・8会合連続で金利据え置き、9月利下げ実施を示唆
9月17日−18日・・・4年半ぶりの利下げを実施、パウエルFRB議長は利下げを急がない姿勢強調
11月 6日− 7日・・・0.25%の利下げを実施、12月も0.25%利下げ実施を示唆
12月17日−18日
.
オーダー/ポジション状況
関連記事
-
ユーロ(EUR)の記事
Edited by:田代 昌之
2024.12.13
ECB理事会結果のポイント: 一段の利下げを示唆、緩やかなユーロ安の地合い継続か(24/12/13)
0.25%利下げは市場の想定通りだった一方、声明の文言変更に伴う一段の利下げ示唆は想定外の結果となった。
-
ユーロ(EUR)の記事
Edited by:田代 昌之
2024.12.09
ECB理事会(12/12開催)のポイント: 想定通り0.25%利下げ実施、フランスとドイツの見通しに注目(24/12/9)
ECBは今年6月、9月、10月に次ぐ利下げを実施する予定だ。
-
米ドル(USD)の記事
Edited by:田代 昌之
2024.11.11
FOMC結果のポイント:パウエル議長の発言は想定線だが、トランプ氏とのバトルに注目(24/11/11)
連邦準備制度理事会(FRB)は、11月6日−7日の連邦公開市場委員会(FOMC)において、政策金利を下限4.50%、上限4.75%とそれぞれ0.25%引き下げた。
-
米ドル(USD)の記事
Edited by:斎藤登美夫
2024.11.04
ドル円 下値余地拡大するも、基本は明日以降の材料待ち(11/4夕)
アジア市場はドルが弱含み。上方向にギャップを空けて寄り付き、その後もドルは冴えなかった。
-
米ドル(USD)の記事
Edited by:川合 美智子
2024.11.04
ドル円 テクニカル週報(2024年11月第1週)
直近の日足は陽線で切り返して引けており、下値を切り上げる流れを維持しています。
-
みんなのFX トレイダーズ証券
みんなのFXはスワップもスプレッドも高水準!口座開設とお取引で最大1,010,000円キャッシュバックキャンペーン中!
取引は1,000通貨からOK、手数料も無料!eKYCで最短1時間後に取引可能
- 「FX羅針盤」 ご利用上の注意
- 掲載している情報の正確性については万全を期しておりますが、その内容を保証するものではありません。
- 掲載している商品やサービス等の情報は、各事業者から提供を受けた情報または各事業者のウェブサイト等にて公開されている特定時点の情報をもとに作成したものです。
- 当サイトはFXに関する情報の提供を目的としています。当サイトは、特定の金融商品の売買等の勧誘を目的としたものではありません。
- FXに関する取引口座開設、取引の実行並びに取引条件の詳細についてのお問合せ及びご確認は、利用者ご自身が各FX取扱事業者に対し直接行っていただくものとします。また、投資の最終判断は、利用者ご自身が行っていただくものとします。
- 当社はFX取引に関し何ら当事者または代理人となるものではなく、利用者及び各FX取扱事業者のいずれに対しても、契約締結の代理、媒介、斡旋等を行いません。したがって、利用者と各FX取扱事業者との契約の成否、内容または履行等に関し、当社は一切責任を負わないものとし、FX取引に伴うトラブル等の利用者・各FX取扱事業者間の紛争については両当事者間で解決するものとします。
- 当社は、当サイトにおいて提供する情報の内容の正確性・妥当性・適法性・目的適合性その他のあらゆる事項について保証せず、利用者がこれらの情報に関連し損害を被った場合にも一切の責任を負わないものとします。
- 当サイトにおいて提供する情報の全部または一部は、利用者に対して予告なく、変更、中断、または停止される場合があります。
- 当サイトには、他社・他の機関のサイトへのリンクが設置される場合がありますが、当社はこれらリンク先サイトの内容について一切関知せず、何らの責任を負わないものとします。
- 当サイト上のコンテンツに関する著作権は、当社もしくは当該コンテンツを創作した著作者または著作権者に帰属しています。
- 当社は、当社の事前の許諾なく、当サイト上のコンテンツの全部または一部を、複製、改変、転載等により利用することを禁じます。
- 当サイトのご利用に当たっては上記注意事項をご了承いただくほか、FX羅針盤利用規約にご同意いただいたものとします。