米国大統領選レポート(山中・第6回)

米国大統領選レポート第6回目では、日本時間の月曜早朝にFBIがクリントン候補に対する訴追を求めないと発表して以降の投票日前夜の両候補の状況を改めてチェック

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米国大統領選レポート(山中・第6回)

米国大統領選レポート

7日世論調査は2.9ポイント差でクリントン氏リード

米国大統領選レポート第6回目では、日本時間の月曜早朝にFBIがクリントン候補に対する訴追を求めないと発表して以降の投票日前夜の両候補の状況を改めてチェックするとともに、大統領選挙と同時に実施される連邦議会の議員選挙について見ていくこととしましょう。

先週金曜の臨時レポートでは、2日の世論調査ではクリントン候補が47.0%の支持とトランプ候補の45.3%に対してわずか1.7ポイントのリードとなっていましたが、FBI発表後の投票直前の7日時点の世論調査ではクリントン候補が47.2%とトランプ候補の44.3%に対して2.9ポイントと再びリードを広げ、順当に行けば女性初の大統領誕生という流れが固まりつつあります。少なくとも金融市場では7日NY市場のダウが大幅高となり、クリントン候補勝利を織り込みつつあります。

クリントン大統領誕生でリスクオンは短期的?

選挙人の獲得予想でも3日時点でクリントン候補が226人、トランプ候補が180人となっていましたが、7日時点では接戦州での獲得予想も含めると、クリントン候補が268人、トランプ候補が204人となっていて、接戦州にカウントされている選挙人のかなりの人数をトランプ候補側にひっくり返さない限り勝利は難しい情勢となっています。蓋を開けてみないとわからないとはいえ、残り1日でこの状況を変えるのは困難と言わざるを得ません。

となると、トランプリスクが消えクリントン大統領の誕生イコールリスクオンでこのまま株高、ドル高なのかとなると、そこまで単純ではありません。短期的にはリスクオンの動きが出たとしても来年1月の大統領就任以降のことを考えると問題も多いと言わざるを得ません。そのひとつが連邦議会の問題です。

米連邦議会改選の仕組み

米国の連邦議会は上院と下院の二院制をとっていて、上院議員が定数100(全米50州から各2人)となっていて任期は6年、2年ごと(大統領選の年と中間選挙の年)に3分の1が入れ替わります。いっぽう下院議員は定数435(州ごとに人口比例の小選挙区制)で、2年ごとに全議員が入れ替わります。

2年前の2014年の中間選挙において、上院では共和党54に対して民主党46、下院では共和党246に対して民主党186(現状欠員3)と両院とも共和党が過半数を抑え、民主党ホワイトハウスのオバマ大統領としては、日本で言う「ねじれ」の状態で、2期目後半2年は新しいことを実行しにくい状況が続いていました。(オバマ大統領2期目前半にはまだ民主党が53と上院では過半数を抑えていた)

下院は共和党の優勢ほぼ確定、焦点は接戦の上院

今回2016年の連邦議会選挙では、下院は引き続き共和党が優勢で224議席とすでに当確予想で過半数を占めていますが、上院では両党とも46議席の予想となっていて、残り8議席をどちらの党が取るのかでクリントン大統領の議会運営のしやすさには大きな違いが生ずることとなります。

仮に上院でも過半数を共和党に抑えられることとなると、法案可決には両院の過半数が必要ですから、法案ひとつ通すのも大変ということになりかねませんし、上院に与えられた権限として、大統領が締結した条約の承認、大統領が指名した FRB 議長、各省長官、連邦裁判所判事の承認などがありますから、人事もすんなりと進まないことが考えられます。

上院も民主党が過半数の場合に初めて安心感

つまり今回の大統領選では、クリントン大統領誕生となっても上下院ともに共和党に抑えられると、その後の議会運営が思うように進まず、中長期的には市場関係者がそれを嫌気し、株式市場での売り、ドル売りと最終的にはリスクオフの方向へと流れていく可能性があります。そういう意味で、為替市場も短期的にはクリントン大統領誕生でドル買いの動きとなるのでしょうが、中長期的には上院も民主党が過半数の場合に初めて安心感が広がるという見方でいた方がよいと考えています。

いよいよ米国時間で本日から投票。開票速報は日本時間で9日午前8時から始まり、大勢判明は日本時間正午から午後1時頃と考えられます。どのような結果であったとしても、市場関係者としては波に乗りたいところですね。

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