Brexit レポート (山中さん第1回 世論調査)
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金融市場への影響の大きいBrexit(ブレグジット)世論調査
Brexit(ブレグジット)は、6月23日にEUからの離脱の是非を問う国民投票に向け作られた造語ですが、Grexit(グレグジット、ギリシャのEUからの離脱)以降、○○+exitという形で見慣れた造語となっています。ブレグジットの背景については、阪谷さんの第1回のレポートに詳しいので重複は避けますが、阪谷さんのレポートの最後の部分に書かれている世論調査が6月23日に向け、為替をはじめ各市場に大きな影響を与えることとなります。
英国における世論調査
そこで、まず英国の世論調査について簡単に説明しておきましょう。
日本では、TVや新聞といったマスコミ系が世論調査を行うことが多いのですが、英国には独立系の世論調査専門会社が多く存在し5月末のNY市場でポンドを急落させるきっかけとなったICMもそうした会社のひとつです。今回の結果は5月27〜29日にかけてネットと電話(ガーディアン向け)に行った調査の結果です。
ポンドの急落を招いたICM5月31日の調査結果
5月31日の結果を見ると、以下のようになっています。
残留 離脱 未定
ネット 44%(−1) 47%(+2) 9%(−1)
電話 42%(−2) 45%(+6) 13%(−1)
一般的にネットよりも電話の結果のほうが信頼度は高いと言われていて、上記の通り電話調査の結果までもが離脱を支持する人が増えていたことが、驚きとなったようです。
今年に入ってからのICMによる週次のオンライン調査結果をまとめてみました。
今年に入ってからのICMの週次オンライン調査の結果推移
左から残留支持、離脱支持、未定、未定を除いた場合の割合、そして残留支持から離脱支持を引いたDI(+は残留支持が優勢)となっています。これを見ると4月以降は離脱支持のほうが優勢であることがわかります。ただし、未定の多くは残留支持に回るという見方が多く、そうした要素を入れると次の電話調査に近いものとなってきそうです。
電話調査は回数は少ないのですが、以下のような推移です。
電話によるBrexit世論調査の結果推移
オンライン調査と異なってこれまでは残留支持のほうが多いのですが、31日に初めて離脱支持が上回ることとなり、それが直近のポンド急落につながったことは最初に書いた通りです。
世論調査は信用できるか?
問題は、この世論調査がどの程度信頼がおけるという点なのですが、あまりこれらの結果に重きを置くと思わぬ結果を見ることとなるかもしれません。というのも実は昨年の英国総選挙の世論調査は実際の開票結果と大きく異なったという実績があるからです。事前の世論調査では過半数を超える政党が無かったにもかかわらず、実際は保守党が過半数を超えました。この結果を受け、世論調査の何が間違っていたのかといった分析までされる始末でしたが、やはり世論調査はあくまでもサンプルにすぎないということです。
ブックメーカーによる賭けの倍率
他にも英国と言えばブックメーカーによる賭けが有名ですが、こちらは直近のところでも残留支持が優勢です。以下は大手ブックメーカーの平均です。
残留 3/10 (残留の場合、10ポンド払うと13ポンド戻る)
離脱 11/4 (離脱の場合、4ポンド払うと15ポンド戻る)
*A/Bというフラクショナル表示が一般的で、B払うと勝った場合にA+Bが戻るという意味。
日本でなじみのある倍率(デシマル表示)で言うならば、残留が1.3倍、離脱が3.75倍ということになります。
世論調査とブックメーカーどちらが実態に近い?
個人的な感触では、世論調査よりもブックメーカーのオッズのほうが正しいと思うのですが、果たしてどうでしょうか。次回は、今回紹介した世論調査の推移、ブックメーカーのオッズも見ながら、もう少しマーケット寄りの考え方をしてみることにします。
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