欧州中央銀行(ECB)のスタッフによる経済見通し
(6月18日公表資料)
昨日ECB金融理事会要旨が公表されましたが、特に目新しいものが無かったので、以下のECB内のユーロスタッフによる経済見通しの一部抜粋をお届けします。
(1)ユーロ圏のGDP
現在は上記@の見方を中心として、前回C(3月時)よりは改善見通し。
ECBスタッフの6月時予想では、2020年下半期から経済活動が立ち直るとみている。これは一段の金融緩和、金融市場が好ましい状況での下支え、財政支出、世界経済の回復などによる。但し、その回復スピードや大きさは極めて不透明である。とコメントしています。
尚、A、Bは2つの代替シナリオで、Aはウィルスがある程度コントロールできたシナリオ、Bは再びウィルスのパンデミックが起きるシナリオです。下図は@をベースにした四半期比毎のGDP伸びを示しています。
(チャートの出所:ECB HPから)
(2)ユーロ圏のHICPインフレ
下図は@をベースに、中銀のインフレ目標値である2%に緑の線を加味しています。
また、GDPで予想した代替シナリオでの試算では、GDPAの場合は2022年にHICPが1.7%、Bの場合は同0.9%と予想しています。
(チャートの出所:ECB HPから)
下図はユーロドルの週足です。過去に何度か添付したチャートの続きです。ラインA(=1.1370)とB(=1.0870)の3角保合いの収斂を続けています。今週は昨日まで含めたチャートになっており、ここ4週間はかなり上ヒゲ長い足を4本も作り、上値トライの失敗になっています。下値は過去に止められたC(=1.1180)とD(=1.1120)のゾーンが上下の分岐になっています。現在はAとC(乃至D)で推移していますが、もしDを切ればB方向に行き易く、逆にAを越えれば2018年2月高値からの抵抗線抜けですので、ユーロの一段高を狙える形になりそうです。ただこの場合でも軽い抵抗線E(=1.1550)が控えています。
AとB間はまだ500ピップスもあるので、まだ収斂続ける可能性もありますが、ユーロ安トレンドの開始が2008年2月高値からのですので、既に12年も経過しており、欧米間のコロナウィルスの影響度合いにより潮目が変わる可能性もあります。
(2020年6月26日13:00、1ユーロ=1.1222ドル)
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