FF先物の推移からみる米短期金利市場(21/10/20)

短期金利の市場参加者が現状どのような見方をしているのかをFF(フェドファンド)先物の推移から見てみましょう。

FF先物の推移からみる米短期金利市場(21/10/20)

FF先物の推移からみる米短期金利市場

エネルギー価格の高騰がインフレ懸念を増大させていることは以前のコラムで取り上げましたが、短期金利の市場参加者が現状どのような見方をしているのかをFF(フェドファンド)先物の推移から見てみましょう。

FF先物は米国の政策金利(誘導目標)先物としてCBOTに上場され、期近(当月)から3年先まで毎月が限月として取引されています。FRBから公表される金利見通しが当局の見通しだとするとFF先物は短期金利市場参加者の見通しと言ってよいでしょう。最近はゼロ金利状態が続いていたため注目度は下がっていましたが、利上げ織り込み度を計算するツールとしても有用です。

今回は前回9月22日のFOMCで現状維持と1回利上げとが二分した2022年12月限のFF先物を金利に直した(100から先物価格を引いた値)日足チャートを見てみましょう。

FF先物の推移からみる米短期金利市場

赤の垂直線が6月と9月のFOMC当日です。前後でFF先物の金利が最も高かったのは9月FOMC後よりも初めて金利見通しが変化した6月FOMC後ですが、それでも0.3%をやや超える程度での取引でした。しかしエネルギー価格高騰による利上げ前倒し思惑が広がる中で、10月18日には0.53%にまで取引水準が上昇しています。

つまり以前の金利先高思惑の時と比較しても0.25%近い上昇となっていて、短期金利市場では既に2022年末時点で現在(0.125%、0〜0.25%の中間値)から1回もしくは2回の利上げが行われるという状況へと急速に変化してきています。

11月3日のFOMCでは金利見通しはありませんが、パウエルFRB議長がこれまでのインフレは徐々に落ち着くという見方を変える可能性がありますし、12月の金利見通しでは2022年末時点で1回の利上げを見込むという流れに変化している可能性は高いと考えられます。

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