ドル円、追加緩和見送りを受けて反発するも戻りは鈍い。一巡後の反落に注意
〇ドル円米追加緩和観測に欧州時間に103.26まで下落するも、FOMC追加緩和見送りで103.92まで反発
〇FOMCは政策金利据え置き、フォワードガイダンス強化、成長率上方修正、債券買い入れ額拡大見送り
〇ユーロドル米追加緩和期待で18/4以来の1.2212まで上昇後、FOMC結果受け一時1.2125まで急落
〇ドル円104円台回復には至らず上値の重さ再確認
〇パウエル議長は会見でコロナ感染拡大に懸念表明、追加緩和滲ませるなど全体としては十分ハト派か
〇引き続きドル円下落をメインシナリオとして予想
〇本日の予想レンジ:103.00ー104.00
海外時間のレビュー
16日(水)の外国為替市場でドル円は下落後に持ち直す展開。@対欧州通貨でドル売りが進んだこと(英EU交渉の進展期待→英ポンドやユーロが対ドルで上昇)や、A米FOMCを前にした根強い追加緩和観測(ドル売り)、B新型コロナウイルスの感染拡大(米国における入院者数が過去最多を更新)が重石となり、欧州時間朝方にかけて、約1ヶ月ぶり安値となる103.26まで下落しました。しかし、11/6に記録した直近安値103.17をバックに下げ渋ると、B米追加経済対策の合意期待(9000億ドル規模の追加経済対策の合意が近づいているとの報道)や、C米FOMCが予想ほどハト派的では無かったこと(※)等が支援材料となり、米国時間午後にかけて、一時103.92まで急伸する場面も見られました。もっとも、節目104円丁度近辺では戻り売り意欲も根強く、引けにかけては再び反落。本稿執筆時点(日本時間5時00分現在)では、103.55近辺で推移しております。
※米FRBは、12/15ー12/16に開催されたFOMCにて、@FF金利誘導目標の据え置き(0.00%ー0.25%)、Aフォワードガイダンスの強化(従来、資産買い入れ期間について、「今後数ヶ月」と表記していた部分を、「完全雇用と物価安定に近づくまで継続=until substantial further progress has been made toward the Committee’s maximum employment and price stability goals」に変更)、B経済成長率見通しの上方修正(2020年は前回の▲3.7%から▲2.4%へ上方修正、2021年は前回の4.0%から4.2%へ上方修正、2022年は前回の3.0%から3.2%へ上方修正)を決定しました。一部で予想されていたC追加緩和(買い入れ額の拡大)が見送られたことで、直後の反応は米長期金利上昇→ドル高となっております。
16日(水)のユーロドル相場は急伸後に急反落。@米FOMCを前にした追加緩和観測(ドル売り)や、A英EU交渉の進展期待(英ポンド上昇→ユーロ連れ高)、Bユーロ圏12月製造業PMI(結果55.5、予想53.0)及び、Cユーロ圏12月サービス業PMI(結果47.3、予想41.9)の力強い結果が支援材料となり、欧州時間朝方にかけて、2018年4月以来、約2年8ヵ月ぶり高値となる1.2212まで急伸しました。しかし、D予想ほどハト派的では無かった米FOMCを受けてドル高圧力が強まると、米国時間午後にかけて、一時1.2125まで急落する場面も見られました。もっとも、売り一巡後は持ち直し、本稿執筆時点(日本時間5時00分現在)では、1.2175近辺で推移しております。
本日の見通し
ドル円は、欧州時間朝方にかけて一時103.26まで下落するも、直近安値103.17(11/6に記録した約8ヵ月ぶり安値)をバックに下げ渋ると、米FOMC後に反発する動きとなりました。しかし、節目104円台を回復するには至らず、テクニカル的にみて、上値の重さを再確認する形となっております(強い売りシグナルを表す一目均衡表三役逆転や移動平均線のパーフェクトオーダーも継続中)。米FOMCでは一部で期待されていた追加緩和こそ見送られましたが、フォワードガイダンスの強化(実質的に2023年までのゼロ金利継続)が示されたことに加えて、パウエルFRB議長も記者会見でコロナ感染者数拡大への懸念や、追加緩和実施の可能性を滲ませるなど、全体としてみれば、十分ハト派と捉えることも出来そうです。
米追加経済対策の進展具体や、新型コロナウイルスに関するヘッドライン、米経済指標(米11月住宅着工件数や、米新規失業保険申請件数、米12月フィラデルフィア連銀製造業景気指数など)の結果を睨みながらも、当方では引き続き、一巡後のドル円下落をメインシナリオとして予想いたします(昨日の安値103.26や、11/6に記録した約8ヵ月ぶり安値103.17、心理的節目103.00を試す展開を想定)。
本日の予想レンジ:103.00ー104.00
注:ポイント要約は編集部
ドル円日足
オーダー/ポジション状況
関連記事
-
米ドル(USD)の記事
Edited by:編集人K
2024.11.22
ドル円154円台前半、本邦CPI高止まり等で一時154円割れ (11/22午前)
22日午前の東京市場でドル円は「往って来い」。
-
オーストラリアドル(AUD)の記事
Edited by:田代 昌之
2024.11.22
豪ドルWeekly 100円を挟んだもみ合い、CPIで早期の利下げ観測が強まる可能性も(24/11/22)
今週の豪ドルは、豪準備銀行(RBA)が公表した理事会要旨でタカ派姿勢が確認されたものの、買いは続かず、100円水準を挟んだ小動きの相場展開が続いた。
-
ユーロ(EUR)の記事
Edited by:川合 美智子
2024.11.22
ユーロ円 下値リスクが点灯中。162円台を回復出来ずに越週した場合は一段の下落へ(24/11/22)
ユーロ/円は163円台前半から161円台後半まで断続的に売られ、結局安値圏で引けています。
-
米ドル(USD)の記事
Edited by:上村 和弘
2020.12.17
ドル円見通し FOMC後もドル安基調は継続(20/12/17)
FOMC声明発表直後の一時的なドル高反応時に103.91円まで戻したものの早々に失速して17日早朝には103.39円まで下落した。
-
米ドル(USD)の記事
Edited by:斎藤登美夫
2020.12.16
ドル/円は直近安値更新、米FOMCを注視(12/16夕)
16日の東京市場は、ドルが小安い。一時103.40-45円まで下落し、直近安値を再び更新する局面も観測されていた。
-
みんなのFX トレイダーズ証券
みんなのFXはスワップもスプレッドも高水準!口座開設とお取引で最大1,010,000円キャッシュバックキャンペーン中!
取引は1,000通貨からOK、手数料も無料!eKYCで最短1時間後に取引可能
- 「FX羅針盤」 ご利用上の注意
- 掲載している情報の正確性については万全を期しておりますが、その内容を保証するものではありません。
- 掲載している商品やサービス等の情報は、各事業者から提供を受けた情報または各事業者のウェブサイト等にて公開されている特定時点の情報をもとに作成したものです。
- 当サイトはFXに関する情報の提供を目的としています。当サイトは、特定の金融商品の売買等の勧誘を目的としたものではありません。
- FXに関する取引口座開設、取引の実行並びに取引条件の詳細についてのお問合せ及びご確認は、利用者ご自身が各FX取扱事業者に対し直接行っていただくものとします。また、投資の最終判断は、利用者ご自身が行っていただくものとします。
- 当社はFX取引に関し何ら当事者または代理人となるものではなく、利用者及び各FX取扱事業者のいずれに対しても、契約締結の代理、媒介、斡旋等を行いません。したがって、利用者と各FX取扱事業者との契約の成否、内容または履行等に関し、当社は一切責任を負わないものとし、FX取引に伴うトラブル等の利用者・各FX取扱事業者間の紛争については両当事者間で解決するものとします。
- 当社は、当サイトにおいて提供する情報の内容の正確性・妥当性・適法性・目的適合性その他のあらゆる事項について保証せず、利用者がこれらの情報に関連し損害を被った場合にも一切の責任を負わないものとします。
- 当サイトにおいて提供する情報の全部または一部は、利用者に対して予告なく、変更、中断、または停止される場合があります。
- 当サイトには、他社・他の機関のサイトへのリンクが設置される場合がありますが、当社はこれらリンク先サイトの内容について一切関知せず、何らの責任を負わないものとします。
- 当サイト上のコンテンツに関する著作権は、当社もしくは当該コンテンツを創作した著作者または著作権者に帰属しています。
- 当社は、当社の事前の許諾なく、当サイト上のコンテンツの全部または一部を、複製、改変、転載等により利用することを禁じます。
- 当サイトのご利用に当たっては上記注意事項をご了承いただくほか、FX羅針盤利用規約にご同意いただいたものとします。