『大幅利上げでトルコリラ急伸。来週は一巡後の反落リスクに警戒』
〇トルコリラ週央にかけて、コロナ拡大、中銀政策決定会合への警戒感から安値13.33まで下落
〇トルコ中銀政策金利を10.25%から15.00%へ引き上げ、中銀の独立性が評価されリラ買い加速
〇約2ヵ月ぶり高値13.87まで急伸後、13.60前後での越週
〇テクニカル的に見て、「地合いの強さ(長期下落トレンドの終焉)」を意識させるチャート形状
〇ファンダメンタルズはトルコリラ売りを想起させる懸念材料は山積み
〇トルコリラ円相場の反落をメインシナリオとして予想
〇利上げに伴うトルコ経済への下押しに焦点があたり、トルコリラ売りに繋がる恐れあり
〇来週の予想レンジ(TRYJPY):13.30ー13.90
今週のレビュー(11/16−11/20)
今週のトルコリラ円相場は、週初13.68円で寄り付いた後、@トルコ中銀の金融政策決定会合を目前に控えた警戒感や、A新型コロナウイルスの世界的な感染拡大、B上記Aを背景としたリスク回避ムードの再燃が重石となり、週央にかけて、安値13.33円まで下落しました。しかし、Cトルコ中銀が市場予想通り政策金利をこれまでの10.25%から15.00%へ引き上げると、中銀の独立性(エルドアン大統領の圧力に屈しない姿勢)が評価される形でリラ買いが加速し、週後半にかけては、9/25以来、約2ヵ月ぶり高値となる13.87円まで急伸しました。もっとも、心理的節目14.00円手前では戻り売り意欲も根強く、伸び悩むと再び反落。D格付会社フィッチ・レーティングスによる「トルコの金融政策に対する信用力の再構築には時間がかかる」とのコメントも重石となる中、結局13.60円前後での越週となっております。
来週の見通し(11/23−11/27)
トルコリラの対円相場は、11/6に記録した年初来安値12.04円をボトムに反発に転じると、今週後半(11/19)にかけて、約2カ月ぶり高値となる13.87円まで急騰しました。この間、一目均衡表転換線や基準線、ボリンジャーミッドバンドを上抜けするなど、テクニカル的に見て、「地合いの強さ(長期下落トレンドの終焉)」を意識させるチャート形状となっております(但し、来週は上方より覆いかぶさってくる一目均衡表雲に上値を抑えられる可能性もあり注意が必要)。
ファンダメンタルズ的に見ると、@トルコ経済の先行き不透明感や、A外貨準備急減を受けたリラ安防衛能力への不信感、B対外収支の悪化懸念、C金融政策と実体経済の不一致(景気悪化懸念が燻る中での利上げ実施→実質金利のマイナス化は解消されるも利上げに伴うトルコ経済への下押しに警戒)、Dトルコを巡る地政学的リスク、E米国・ロシア・NATO同盟国との関係悪化懸念(反トルコ包囲網の拡大)、F新型コロナウイルスの感染拡大(トルコ経済の柱である観光産業への大打撃)、Gトルコに批判的なバイデン新大統領誕生の可能性が高まっていることなど、トルコリラ売りを想起させる懸念材料は山積みの状態です。
以上の通り、トルコリラ円相場は、テクニカル的な強さを残しつつも、ファンダメンタルズ的な弱さが続伸を阻むシナリオが想定されます。トルコ経済の先行き不透明感や、外貨準備の急減リスク(介入余力の減退)、地政学的リスクの高まり、バイデン新大統領誕生リスクが重石になると見られ、来週はトルコリラ円相場の反落をメインシナリオとして予想いたします(※利上げ実施に伴うリラ買い効果は一時的。経済状態が脆弱な中での利上げである為、一巡後は利上げに伴うトルコ経済への下押しに焦点があたり、トルコリラ売りに繋がる恐れあり)。
来週の予想レンジ(TRYJPY):13.30ー13.90
注:ポイント要約は編集部
トルコ円日足
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