トルコリラ円見通し トルコ中銀の利上げで急伸(20/11/20)

トルコリラ円は発表直後に13.825円まで急騰して13日夜高値13.829円とほぼ同値とした。

トルコリラ円見通し トルコ中銀の利上げで急伸(20/11/20)

トルコリラ円見通し トルコ中銀の利上げで急伸

〇トルコ中銀、11/19の金融政策決定会合で政策金利である週間レポレートを15.0%へ引き上げ
〇トルコリラ円、利上げ発表前13.30近辺だったが発表直後に13.825まで急騰
〇その後も高値圏を維持、一段高状態を維持してさらに高値を試すか
〇対ドル、利上げ発表直後7.48リラまで一段高、11/20朝時点7.49リラ、高値更新へ迫る
〇トルコ中銀政策金利利上げにより、ひとまず実質マイナス金利状態から脱出
〇13.50以上での推移中は一段高余地ありとし、13.82超えからは14円を目指す流れとみる
〇13.50割れから続落の場合は反騰一巡による下げ再開を警戒して13.30円試しを想定

【概況】

トルコ中銀は11月19日の金融政策決定会合で政策金利である週間レポレートを現行の10.25%から市場予想通りの15.0%へ引き上げた。
11月19日の利上げ発表直前には13.30円近辺だったトルコリラ円は発表直後に13.825円まで急騰して13日夜高値13.829円とほぼ同値とした。買い一巡後は新たな高値更新へは進めていないが13.70円を挟んで一段高状態を維持している。
対ドルでのトルコリラは11月6日に8.57リラの史上最安値まで下落したところから反騰に入り、11月16日午後高値で7.59リラまで戻し、その後は中銀の政策金利発表待ちで横ばい推移となっていたが、利上げ発表直後に7.48リラまで一段高となり、9月17日の水準まで戻した。その後は新たな高値更新へ進めずにいるが20日朝時点も7.49リラで高値更新へ迫っている。

【トルコ中銀、市場の期待に応える】

トルコ中銀は11月19日の金融政策決定会合で政策金利である週間レポレートを現行の10.25%から市場予想通りの15.0%へ引き上げた。また翌日物借入金利を8.75%から13.50%に引き上げ、翌日物貸出金利を11.75%から16.50%に引き上げた。
中銀は声明で「政策委員会はインフレ見通しへのリスクを取り除きインフレ期待を抑制し、インフレ低下プロセスを再開させるため、透明で強力な金融引き締めを実施することを決めた」と説明した。
トルコ中銀は今年1月の利下げで政策金利を11.25%へ引き下げた際、1月の消費者物価上昇率が前年比12.15%へ上昇していたために政策金利が消費者物価上昇率を下回る実質マイナス金利に陥った。その後も5月に8.25%へ利下げした段階では消費者物価上昇率が11.39%となり、9月に10.25%へ利上げした段階でもまだ実質マイナス金利状態が続いた。外貨準備高の減少によるリラ防衛力の大幅低下と実質マイナス金利状態の長期化がコロナ不況や地政学的リスクと合わせてリラ暴落の背景となっていたが、今回の利上げによりひとまず実質マイナス金利状態からは脱出した。

トルコリラ円見通し トルコ中銀の利上げで急伸

11月7日にトルコ中銀総裁が更迭されて8日には大統領の娘婿である財務相が辞任を表明した段階ではリラ安不安がさらに強まったと市場は警戒したが、財務相後任に副首相を充てたことで金融政策の改善期待へと変わり、11月9日からリラは急反騰に入った。11月日に任命されたアーバル中銀総裁としては初めての金融政策会合であり、エルドアン大統領による利下げ継続姿勢に対して適切な利上げを決断できるかどうか市場も注目したが、エルドアン大統領もある程度の利上げはやむを得ないとして利上げ追認姿勢だったのだろうと推察される。

【トルコリラ円、反騰基調を維持して高値更新を伺うところか】

トルコリラ円は11月6日安値11.99円からの急上昇が11月13日夜高値13.82円で一服、その後はややジリ安基調で戻り高値を切り下げつつ、18日夜には13.31円まで下げて17日夜安値13.35円を若干割り込んでおり、安値もやや切り下がり気味の推移となっていたが、中銀の利上げにより13日夜高値とほぼ同値まで戻した。4日間をやや右肩下がりの調整期としていたが、19日夜の反騰とその後も高値圏を維持していることで一段高状態をキープしてさらに高値を試しやすい位置にあるようだ。
今回の中銀利上げに対しては果たしてエルドアン大統領による利下げ要求姿勢に負けずに利上げを決断できるかどうかが試され、市場も注目していたが、ひとまず市場の信任を得た印象だ。
しかし、トルコリラが1月6日前で急落してきたリラ安要因が解消したわけではない。トルコ中銀及び財務省、政権が市場の信任を継続的に得られるのかどうか、今後次第だ。またリラの反騰基調が続いてもドル円の円高が深刻化する場合はトルコリラ円の上値も抑えられかねない。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、11月19日夜の中銀利上げからの反騰により、直前安値をサイクルボトムとして反騰入りしたと思われる。13日夜高値を基準とすれば高値形成期は20日夜にかけての間と想定されるが、底打ち反騰入りしたばかりのために週明け以降へ延びる可能性もあるので13.50円以上での推移中は上昇余地ありとし、13.50円割れからは揺れ返しの下落に入るとみて19日夕安値試しとし、底割れからは弱気サイクル入りとして24日から26日にかけての間への下落を想定する。

60分足の一目均衡表では19日夜の反騰で遅行スパンが好転、先行スパンも上抜き返した。このため遅行スパン好転中は高値試し優先とし、弱気転換は先行スパン転落からとする。
60分足の相対力指数では19日夜の反騰では70ポイントに届いていないため、まだ買われ過ぎの過熱状態ではないとしてさらに高値更新へ進む可能性がある印象だ。50ポイント以上を維持するうちは上昇余地ありとし、50ポイント割れから続落に入る場合は下げ再開を疑う。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、13.50円を下値支持線、13.82円を上値抵抗線とする。
(2)13.50円以上での推移中は一段高余地ありとし、13.82円超えからは14円を目指す流れとみる。14円以上は反落注意とするが、13.50円以上での推移なら週明けも高値試しへ向かいやすいとみる。
(3)13.50円割れから続落の場合は反騰一巡による下げ再開を警戒して19日夜安値13.30円試しを想定する。13.35円以下は反騰注意とするが、13.50円以下での推移が続く場合は週明けも安値試しへ向かいやすいとみる。

【当面の主な経済指標等の予定】

11月20日
 16:00 11月消費者信頼感 (10月 81.9)
11月23日
 17:00 10月観光客数 前年比 (9月 -59.4%)
11月24日
 16:00 11月製造業景況感 (10月 108.1)


注:ポイント要約は編集部

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