米株の動きが依然為替市場の波乱要因に(11/11夕)

11日の東京市場は、小さな「行って来い」。105円レベルでは底堅く、下値を攻め切れなかったことで小戻している。

米株の動きが依然為替市場の波乱要因に(11/11夕)

米株の動きが依然為替市場の波乱要因に

〇ドル円、下値を攻め切れず小戻しで終盤にかけては105.35レベル
〇ブラジル国家衛生監督庁、中国企業が開発中の新型コロナワクチン「深刻な事態」で治験中断
〇トランプ米大統領ツイッターで「我々は勝利する」と改めて宣言
〇ロイター「欧州で10日、コロナ感染による死者が累計30万人を超えた」と発表
〇パウエルFRB議長やベイリー英中銀総裁も参加予定のECBフォーラム、明日にかけて実施
〇欧米時間の予想レンジ104.90-105.90

<< 東京市場の動き >>

11日の東京市場は、小さな「行って来い」。105円レベルでは底堅く、下値を攻め切れなかったことで小戻している。

ドル/円は105.25円前後で寄り付いたものの、しばらくは10ポイント程度の凪相場。そののち小緩むと105円前後まで一時値を下げたが割り込めず、終盤にかけては105.35円レベルへと値を戻している。レンジは決して大きくないが、「行って来い」の展開だった。16時現在では105.30円レベルで推移、欧米時間を迎えている。
なお、全体を通してはやや静かな動きをたどっていたトルコリラだが、終盤にかけて急騰。対円では12.80円レベルから値を上げ、13円台をワンタッチする局面も観測されていた。

一方、材料的に注視されていたものは、「コロナワクチン」と「米大統領選」について。
前者は、新型コロナの感染が依然として拡大を続けるなか、ワクチン開発に関する話が引き続き幾つか取り沙汰されていた。その多くはポジティブな内容だったが、一部では懸念されるようなニュースも。たとえば、ブラジル国家衛生監督庁が、中国シノバック・バイオテックが開発中の新型コロナウイルスのワクチン治験について、「深刻な事態」があったとして治験を中断したと発表している。それもあり、米ファイザー製のワクチンについても、実際の供給まではまだまだ紆余曲折ありそうだ−−などといった過熱感を戒める声も。

対して後者は、トランプ米大統領が依然として敗北を認めないばかりか、自身のツイッターで「我々は勝利する」と改めて宣言。ポンペオ米国務長官も会見で「トランプ政権の2期目への政権移行、滞りなく行われる」と発言したことが明らかになるなか、逆にバイデン氏はトランプ大統領の政権移行準備妨害を糾弾したうえで、「恥ずべきこと」などと批判していた。また、バイデン氏はそれと別に、フランスのマクロン大統領、ドイツのメルケル首相、英国のジョンソン首相らと相次ぎ電話会談を実施したとされ、トランプ氏にとっての「外堀」はさらに埋め立てられてきた感を否めない。

<< 欧米市場の見通し >>

米ジョンズ・ホプキンス大学の調査で、米国における新型コロナの感染者数が9日に累計1000万人を突破したことが明らかになったことに続き、ロイターによる集計で「欧州で10日、コロナ感染による死者が累計30万人を超えた」と発表されている。ちなみに、世界全体では120万人が死亡しており、欧州はその約4分の1に相当する計算だ。ともかく、新型コロナの拡大は欧米を中心に第2波、あるいは第3波が襲来している格好にある。前述したワクチン開発の話と合わせ、続報には引き続き注意を払いたい。
そうしたなか、ここ最近市場で思惑を集めているのは米株の動き。その最たるものが昨日一時3万ドルの大台に迫ったNYダウにあることは間違いないが、主要な米株3指数のうち、いまひとつ波に乗り切れないナスダック指数への警戒感を口にする向きも少なくない。どの程度で下げ止まり反発へと転じるのか、ITやハイテクの株価動向についても一応要注意だ。

テクニカルに見た場合、104.80円レベルに位置する移動平均の21日線をサポートに、同90日線(105.70-80円)超えを視界内に捉えた動きとなっている。ザラ場ベースの動きはもちろんのこと、NYクローズで90日線を超えることができるのかも併せて注視されている。仮に、しっかりと越えれば7月上旬以来4ヵ月ぶりのこと。さらなるドルの上値展望が開けたと言えるかもしれない。

材料的に見た場合、中長期的には「米中の対立」やそれだけにとどまらない「中国情勢」、「北朝鮮情勢」、「英国情勢」、「イラン情勢」、「新型コロナウイルス再拡大とワクチン開発」、「法廷闘争の可能性も高まってきた米大統領選」、「就任確実のバイデン新大統領による米政権人事」、「トルコ情勢」−−などが注視されている。
一方、本日は、米債市場がベテランズデーで休場となることもあってか、とくに目立った米経済指標の発表は予定されていない。そうした意味ではやや材料難だが、明日にかけて実施されるECBフォーラムを警戒する声も一部で指摘されている。こちらは、パウエルFRB議長やベイリー英中銀総裁も参加する予定であり、発言には一応要注意。

そんな本日欧米時間のドル/円予想レンジは104.90-105.90円。昨日高値も程近い、移動平均の90日線が位置する105.70-80円の攻防に引き続き注目。上抜けると、いよいよ106円台回復も。
対するドル安・円高方向は、先週末に上抜けて以降サポートになっている感のある移動平均の21日線(104.80円レベル)が依然として下値メドに。ただ下回ると104.70円や104.40-45円、104.10-15円などが意識されそうだ。

米株の動きが依然為替市場の波乱要因に

ドル円日足


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