ドル円、約3週間ぶり高値圏へ上昇。90日移動平均線を巡る攻防に注目
〇ドル円欧米市場の株価堅調に一時105.68まで上昇直近上値を広げる
〇ユーロドル欧州圏の感染拡大ラガルドECB総裁の追加緩和示唆で一時1.1746まで下落
〇ドル円テクニカルには下落から上昇へのトレンド転換を意識させるチャート形状
〇ファンダメンタルズはドル円の下落材料多く残る
〇ドル円コロナワクチン期待に底堅い動き続くがここからの上昇余地は乏しいか
〇本日の予想レンジ:104.90ー105.90
海外時間の為替概況
11日(水)の外国為替市場でドル円は上昇。アジア時間朝方にかけて、一時105.00まで下げ幅を広げるも、@日経平均株価が力強く推移すると、A米長期金利の上昇を受けたドル高圧力や、B欧米株の上昇を背景としたリスク選好の円売り圧力(新型コロナワクチン候補に対する期待感)、C対ユーロや対英ポンドでのドル高が支援材料となり、米国時間にかけては、10/20以来となる高値105.68まで急伸しました。引けにかけて小反落するも下値は堅く、本稿執筆時点(日本時間4時30分現在)では、105.50近辺で推移しております(米債市場はベテランズデーで休場)。尚、昨日は一部通信社より「ニューヨーク州はレストランやバーを22時で閉店するよう命じる」との報道がなされましたが市場の反応は限定的となっております。
11日(水)のユーロドル相場は上値の重い展開。@欧州圏における新型コロナウイルスの感染拡大(イタリアの新型コロナ感染者が100万人を突破)や、Aオランダ中銀クノット総裁によるハト派的な発言(ECBは12月会合でいかなる政策決定も排除しない)、BラガルドECB総裁による追加緩和を示唆する発言(12月会合ではパンデミック緊急購入プログラム=PEPPや、長期資金供給オペ=TLTROの拡大が焦点)、C欧英交渉難航リスク(交渉が11月中旬の期限までに間に合わないリスクの再燃)等が重石となり、米国時間にかけて、約1週間ぶり安値となる1.1746まで下落しました。引けにかけて持ち直すも戻りは鈍く、本稿執筆時点(日本時間4時30分現在)では、1.1774近辺で推移しております。
ドル円のテクニカル分析
ドル円は、先週末金曜日(11/6)に記録した約8ヵ月ぶり安値103.17をボトムに反発に転じると、昨日(11/11)は、約3週間ぶり高値となる105.68まで急騰しました。この間、一目均衡表転換線や基準線、ボリンジャーミッドバンドを上抜けするなど、テクニカル的にみて、トレンド転換(下落→上昇)を意識させるチャート形状となっております(目先は105.68に位置する90日移動平均線を上抜けられるか否かに注目)。
但し、ファンダメンタルズ的に見ると、@日米金融政策の方向性の違いや、A米国ファンダメンタルズの先行き不透明感、B米中対立激化懸念(バイデン新大統領誕生後も中国への強硬姿勢が続く可能性)、C朝鮮半島や中東、香港や中央アジアを巡る地政学的リスク、D新型コロナウイルスの感染拡大リスク(※新型コロナワクチン候補に対する期待感が広がっているが過度な楽観は禁物)、E日本経済の先行き不透明感(本邦の景気先行き不透明感→デフレ懸念→円の実質金利上昇→円高)、F実体経済と株価の乖離(過剰流動性相場の巻き戻しリスク)、G米追加景気対策の後ずれ観測(財政の崖リスク)、H米財政赤字の拡大懸念(米債の格下げリスク)など、ドル円相場の下落を想起させる不安材料は引き続き沢山残っている状態です。
以上の通り、ドル円相場は、新型コロナワクチン候補に対する期待感を背景に底堅い動きが続いていますが、ファンダメンタルズ的なネガティブ要因を踏まえると、ここからの上昇余地は乏しいと判断できます(過度な楽観は禁物)。欧米株及び欧米長期金利の動向や、新型コロナワクチンに関する続報、米経済指標の結果(米10月消費者物価指数、米新規失業保険申請件数、パウエルFRB議長講演、米10月財政収支など)を睨みながらも、当方では引き続き、ドル円相場の反落をメインシナリオとして予想いたします。
本日の予想レンジ:104.90ー105.90
注:ポイント要約は編集部
ドル円日足
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