ドル円見通し 10月21日夜安値からのジリ高基調続くが105円に到達するも維持できず(20/10/27)

ドル円は10月26日夜に105.05円まで上昇、21日に急落して以来の105円台到達となったが、105円台を維持しきれずに104円台後半へやや失速している。

ドル円見通し 10月21日夜安値からのジリ高基調続くが105円に到達するも維持できず(20/10/27)

10月21日夜安値からのジリ高基調続くが105円に到達するも維持できず

〇ドル円、26日深夜に105.05まで上昇するも105円台維持できず104円台後半へ失速
〇NYダウが前日比650.19ドル安と大幅下落
〇米新築住宅販売戸数は95万9000戸で前月比3.5%減、市場の予想を下回る
〇104.05以上での推移中は上昇余地あり、105.05超えから105.25-40前後への上昇を想定
〇104.65割れから下落期に入ると見て104.50、104.25前後への下落を想定

【概況】

ドル円は10月26日夜に105.05円まで上昇、21日に急落して以来の105円台到達となったが、105円台を維持しきれずに104円台後半へやや失速している。
欧米の新型コロナウイルス感染拡大が深刻化し、米大統領選挙まであと1週間となり、日欧の金融政策決定会合を控えた状況で市場全般が慎重姿勢に入っている印象だが、26日は夕刻の独IFO景況指数が予想より悪かったことや欧米感染拡大報道での先行き不安から欧米株が下落する中で為替市場におけるリスク回避的なドル買い戻しが優勢となり、ドル円はユーロドルやポンドドルの下落によるドル高局面で105円台にいったん到達した。しかしユーロドルの下落なども急落商状というほどの動きにはならず、米大統領選挙前の米国リスクという問題やNYダウ大幅下落による債券買いに米長期債利回りがこの日は低下したことでドル高円安の推進力も限られ、105円台を維持しきれなかったというところだろうか。

【10月21日の急落に対する半値を戻す、欧米リスクも徐々に強まる】

10月26日はNYダウが前日比650.19ドル安と大幅下落した。ナスダック総合株価指数も189.34ポイント安、欧州株もドイツDAXが3.71%安、英FTが1.16%安、仏CAC40が1.9%安等軒並み下落した。
フランスでは10月25日に1日の感染者数が5万人を超え、一部には実数で10万人を超えているのではないかとの見方も出ている。スペインが二度目の非常事態宣言を出し、欧州各国での経済活動への規制再開の動きが強まっている。米国でも10月23日に1日の感染者数が8万人を超えて過去最大となり、感染拡大の第三波ともいえる状況に陥っている。トランプ大統領自身が感染して既に復帰しているが、ホワイトハウス関係者やバイデン候補陣営での感染もありバイデン氏有利とされる選挙情勢の先行きも不透明であり、与野党協議による追加経済対策もまとまらないままとなっている。

3月のコロナショック暴落から立ち直ってきた株式市場、為替市場ではあるが、アフターコロナの復興期待とそれをさらに押し上げると期待されてきた世界的な大規模金融緩和による資産インフレ進行期待が、果たして実現するのかどうかという不安も出始める状況ではなかろうか。そうした中で比較的豪ドルやNZドルが堅調なのは感染拡大が抑制されているからかもしれない。

ドイツのIFO経済研究所が発表した10月の景況感指数は92.7で9月の93.2から低下したが、低下幅は小幅だったものの6か月振りの前月比マイナスだった。先週末の欧州PMIも悪化が見られたが今後はさらに景況感が悪化してゆくと思われる。
米商務省が発表した9月の新築住宅販売戸数は95万9000戸で市場予想の102万5000戸を下回った。前月比は3.5%減。
シカゴ連銀の9月の全米活動指数(CFNAI)は0.27となり前月の1.11から悪化した。指数を構成する4指標のうち3指標(生産、販売・受注・在庫、雇用)が低下し、個人消費・住宅がプラスとなった。
10月29日に米7-9月期GDP、30日にはドイツとユーロ圏の7-9月期GDPの速報値発表がある。4-6月期が最悪だったことから大幅な改善が予想されているが、感染拡大を踏まえれば予想を下回るようだと株安と為替市場でのリスク回避的反応を助長しかねないと思われる。

ドル円は10月20日夜高値105.74円から21日夜安値104.34円まで1.40円のドル安円高となり、その半値戻しは105.04円にあったが、26日夜に105.05円を付けて半値戻しを達成した。しかしそれでも10月21日の日足大陰線の高安レンジのほぼ下半分での推移であり、日足の先行スパンから転落した状況は変わらない。上昇再開感を強めるには10月21日の日足大陰線を解消する上昇=当日高値の105.52円を超える必要があると思われる。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、10月20日夜高値からの急落が一服して21日夜安値からの持ち直しが続いたために23日朝時点では21日夜安値を直近のサイクルボトムとした強気サイクル入りとした。またトップ形成期は23日夜から27日夜にかけての間と想定した。26日夜に105円へ到達してから反落しているので26日夜高値でサイクルトップを付けた可能性が高い印象のため、104.65円を上回るうちは上昇継続余地ありとし、104.65円割れからは弱気サイクル入りと仮定して27日の日中から28日深夜にかけての間への下落を想定する。また下落期が延長される可能性もあると注意する。

60分足の一目均衡表では26日夜の上昇で先行スパンを上抜き、その後も上抜いた状況を維持しているが、26日夜高値からの失速で遅行スパンは悪化しやすい位置にある。このため遅行スパン悪化からは弱気転換注意とし、先行スパン転落からは下落期入りとみて遅行スパン悪化中の安値試し優先とする。

60分足の相対力指数は26日夜に70ポイント台へ到達してから50ポイント前後水準へ失速している。相場が高値を切り上げる際に指数のピークが切り下がる弱気逆行は見られていないのでまだ65ポイント超えから上昇再開の可能性を残すが、45ポイント割れからは下げ再開に入ったとみて30ポイント割れを目指す下落を想定する。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、104.65円を下値支持線、26日夜高値105.05を上値抵抗線とする。
(2)104.65円以上での推移中は上昇余地ありとし、105.05円超えからは105.25円、さらに105.40円前後への上昇を想定する。105.40円以上は反落警戒とするが、104.65円以上での推移なら28日も高値試しを続ける可能性があるとみる。
(3)104.65円割れからはいったん下落期に入るとみて104.50円、次いで104.25円前後への下落を想定する。21日夜安値104.34円を割り込む場合は20日夜高値からの急落一服による緩やかなリバウンドが終了して一段安入りした状況となるため、先行きは103円台へ向かう流れと考える。

【当面の主な予定】

10/27(火)
21:30 (米) 9月 耐久財受注 前月比 (8月 0.4%、予想 0.5%)
21:30 (米) 9月 耐久財受注・輸送用機器除く 前月比 (8月 0.4%、予想 0.3%)
22:00 (米) 8月 住宅価格指数 前月比 (7月 1.0%、予想 0.7%)
22:00 (米) 8月 ケース・シラー米住宅価格指数 (7月 226.55)
22:00 (米) 8月 ケース・シラー米住宅価格指数 前年同月比 (7月 3.9%、予想 4.2%)
23:00 (米) 10月 コンファレンス・ボード消費者信頼感指数 (9月 101.8、予想 101.6)
23:00 (米) 10月 リッチモンド連銀製造業指数 (9月 21、予想 18)

10/28(水)
休場、トルコ(共和国宣言記念日前夜)
未 定 (日) 日銀・金融政策決定会合、1日目
09:30 (豪) 7-9月期消費者物価 前期比 (4-6月 -1.9%、予想 1.5%)
09:30 (豪) 7-9月期消費者物価 前年同期比 (4-6月 -0.3%、予想 0.7%)


注:ポイント要約は編集部

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