ユーロドル短期上昇チャンネル内の上限に近い(週報10月第4週)

今週は上記の上昇チャンネルの中でやや上値の重たい展開を考え、1.1740レベルをサポートに、1.1900レベルをレジスタンスとする流れを見ておきます。

ユーロドル短期上昇チャンネル内の上限に近い(週報10月第4週)

ユーロドル短期上昇チャンネル内の上限に近い

〇先週のユーロはポンドの動きに左右された一週間
〇EUと英国の通商協議の合意が近いという内容にポンドが上伸、ユーロドルも追随するが上昇幅は限定的
〇今週発表される主要国の7-9月期GDPの内容に注意
〇今週は1.1740レベルをサポートに、1.1900レベルをレジスタンスとする流れ

今週の週間見通しと予想レンジ

先週のユーロは基本的にポンドの動きに左右された一週間となりました。前週に英国が定めた協議期限15日を過ぎても協議が続けられるというところまでは決まっていましたが、週末前ということもあって金曜時点ではあまり動きが見られませんでした。週が明け協議続行を改めて好材料としてポンドに買いが入り、それに追随してユーロにも買いが先行しました。

水曜にはEUと英国との通商協議の合意は近いというニュースに反応しポンドが上伸、しかしユーロドルも追随したもののより大きな動きで追随したドル円の売りがユーロ円の売りにもつながりユーロドルの上昇幅は限定的なものに留まり、その後金曜には英国側に寄せる妥協案というニュースに反応したもののポンドに週末前のポジション調整の売りも見られたことからユーロドルも結局は水曜に目先の高値をつけた格好となっています。

今回の大詰めとなる通商協議でも強気に出ている英国に利する流れとなってきましたが、EU側としてもなんとか11月中にはまとめたいようで、どうも中身はわからないもののゴールだけが見えているという展開でしたが、金曜に協議の大きなテーマとなっている漁業問題で妥協案が出ているといったニュースで、ようやくまとまる可能性を考えてもよい感じになってきました。

今回もこれまでと同様に不透明であることに変わりはありませんが、EU諸国も英国も新型コロナ感染者数が急増する中で、通商協議ばかりに時間を割けないという事情も見えてきます。金曜に妥協案の話を出したフランスを例に挙げると、昨日時点で1日あたりの感染者数は5.2万人を超え、これは3月のピークの7倍近い数字です。他国でもここまでは深刻で無いものの軒並み春の3倍程度の感染者数となっていて、部分的なロックダウンが実施されている国も出始めました。

年末に近づくにつれ通商協議よりも感染対策という流れになってきそうなことから最終的には双方が妥協するという流れの可能性が高まってきたように思えます。今週のイベントはECB理事会、ラガルド総裁会見でおそらくは感染者急増について何らかの言及がありそうです。また主要国の7〜9月期GDPは前期に比べれば大きく改善が見込まれますが、今後の景気回復の遅れが懸念される中で単発の良い数字では反応しにくいところです。逆に予想よりも弱い数字が出てきた時のほうが要注意となるでしょう。

また先週はEUと英国との通商協議が合意する思惑で動いてきていることを考えると、こちらも悪材料により反応しやすいと考えられ、下げ始めてきた時には先週の上昇分を失う可能性も考えておく必要がありそうです。テクニカルにはどうか日足チャートを見てみましょう。

ユーロドル短期上昇チャンネル内の上限に近い

テクニカルにはレジスタンスラインを上抜け、短期的にはピンクの平行線で示した上昇チャンネルの中で、現状は上限に近い水準にあるという見方でよさそうです。今週は上記の上昇チャンネルの中でやや上値の重たい展開を考え、1.1740レベルをサポートに、1.1900レベルをレジスタンスとする流れを見ておきます。材料次第ではどちらにも振れやすいということには注意です。

今週のコラム

今週はユーロ円の日足チャートを見てみましょう。

ユーロドル短期上昇チャンネル内の上限に近い 2枚目の画像

ユーロドルと同じ期間を示していますので違いがよくわかりますが、ユーロドルが上昇する動きとなっているのに対して、ユーロ円はドル円の重さもあって緩やかな上昇トレンドではあるものの、高値を切り下げる動きも続いていて三角もちあいをどちらに抜けるかで短期的な方向性が出てきそうです。

10月に2度125円をトライして失敗していることから、流れとしては下げやすい地合いにありそうですが、ユーロ円も今週あたり方向感が出てくるのではないかと見ています。

今週の予定

今週注目される経済指標と予定はドル円週報に示してあるものと共通です。ドル円週報の「今週の予定」をご参照下さい。なお、その中でユーロの値動きに特に影響が出ると考えられる予定は以下のものです。重要な予定として注意しておきましょう。

10月26日(月)
**:** 欧州冬時間開始
18:00 ドイツ10月ifo企業景況感
19:00 スペイン中銀総裁講演

10月27日(火)
16:45 フランス9月PPI

10月28日(水)
16:00 ドイツ9月輸入物価指数
16:45 フランス10月消費者信頼感

10月29日(木)
17:55 ドイツ10月失業率
19:00 ユーロ圏10月消費者信頼感
21:30 米国7〜9月期GDP速報値
21:45 ECB理事会
22:30 ラガルドECB総裁会見
25:00 フランス中銀総裁講演

10月30日(金)
15:30 フランス7〜9月期GDP速報値
16:00 ドイツ7〜9月期GDP速報値
16:00 ドイツ9月小売売上高
16:45 フランス10月CPI速報値
19:00 ユーロ圏7〜9月期GDP速報値
19:00 ユーロ圏10月CPI速報値
19:00 ユーロ圏9月失業率

前週のユーロレンジ

前週のユーロレンジ

(注)上記表の始値は全て東京午前9時時点のレート。為替の高値・安値は東京午前9時?NY午後5時のインターバンクレート。

先週の概況

10月19日(月)
ユーロドルは東京市場では動かなかったものの欧州市場に入り、英国が定めた協議期限を過ぎ警戒感は残るもののEUと英国との電話協議を控えてポンド買いが先行。若干のタイムラグを置いてユーロドルにも買いが入り金曜高値を上抜けるとストップオーダーも巻き込みながら一段高となりました。NY市場前場には1.1794レベルまで上伸したものの追加経済対策難航を嫌気してNYダウが大幅安となるとユーロ円の下げがユーロドルにも影響しやや押しての引けとなりました。

10月20日(火)
ユーロドルは、東京市場では動かなかったものの欧州市場に入ると前日同様にユーロ買いが強まり、特段材料が無い中で前日高値を上抜けるとストップオーダーも巻き込んで一段高。NY市場前場には1.1841レベルの高値をつけ、引けにかけてはやや押しての引けとなりました。

10月21日(水)
ユーロドルは、東京市場では全般的なドル売りの動きによるユーロ高が先行していました。欧州市場に入ってからはEUと英国との合意は近いという発言をきっかけにポンドが上昇、その動きに引っ張られてユーロドルも上昇させる動きとなりました。しかし、ユーロポンドでもポンド買いが目立ったことからユーロの上昇速度は鈍くなり、一日を振り返るとやや上昇した程度に留まりました。

10月22日(木)
ユーロドルはドル買い戻しの動きによるユーロ売りが続きました。ドルの動きとしてはドル円とほぼ同様のペースであったことからユーロ円は横ばいの動きとなっていました。また前日大幅高となったポンドにも調整の売りが目立ち、全体としてはポンドがリードしてドル買い戻しの動きとなっていました。

10月23日(金)
ユーロドルは、東京前場はユーロ円の下げに引っ張られてユーロ売りが先行し欧州市場までは安値圏でもみあっていました。欧州市場序盤に発表された欧州の経済指標が強かったことに反応しユーロが対ドル、対円で買い戻される動きとなり、NY市場に入るとフランスから英国側に寄せる妥協案のニュースからポンド買い、ユーロ買いとなりました。しかし、確定ニュースでは無いことからすぐに反落しましたが、ユーロ買い戻しの流れは変わらず引けにかけては1.1865レベルをつけての高値引けとなりました。

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