ドル円見通し 105円割れから大幅下落、ドル全面安・米トリプル安の流れ?(20/10/22)

ドル円は10月21日夕刻の下落で10月15日朝安値105.03円を割り込んで一段安に入ると売りの連鎖反応で21日深夜には104.34円まで急落となった。

ドル円見通し 105円割れから大幅下落、ドル全面安・米トリプル安の流れ?(20/10/22)

105円割れから大幅下落、ドル全面安・米トリプル安の流れ?

〇ドル円、21日夕刻の下落で10/15朝安値105.03を割り込み、深夜に104.34まで急落
〇21日の為替市場はドルがほぼ全面安の様相に
〇EUと英国は21日の電話会談でFTA締結交渉の協定案取りまとめに向けた集中協議を始めることに同意
〇21日の米10年債利回りは前日比0.03%上昇の0.82%となり6月上旬以来の高水準に
〇104.80以下での推移中は一段安余地あり、104.34割れからは103円台中盤試しを想定
〇104.80超えからはいったん強気サイクル入りと見て105円前後試しを想定

【概況】

ドル円は10月21日夕刻の下落で10月15日朝安値105.03円を割り込んで一段安に入ると売りの連鎖反応で21日深夜には104.34円まで急落となった。深夜以降はやや下げ渋っているが104.50円を挟んだところにとどまっている。

10月21日はドルがほぼ全面安の様相となった。20日にユーロドルが急伸したものの、ポンド/ドルやドル円等の動きはまだ鈍く、豪ドルも21日夜へ続落するなど為替市場の動きとしてはユーロの独歩高という印象だった。
ユーロの20日の上昇については当初は上昇要因が特定されずに市場もテクニカルな上昇との解釈にとどまっていたが、ECBの起債したソーシャルボンドの大量発行に対して旺盛な需要があったことで実需的な買いに支えられた上昇と評価されている。ECBが利下げや追加緩和を急がないとの当局関係者の姿勢もユーロ高を後押しした。しかしポンド/ドルは英国EUのFTA交渉期限を過ぎても先が見えない状況の中でユーロ高に追従できず、ドル円も20日夜には15日以降の高値を切り上げてドル高円安感を継続していた。豪ドルも20日午前の豪中銀理事会議事要旨公開により11月3日の利下げと量的緩和拡大姿勢が鮮明になったとして20日夜にかけて続落していた。

21日はユーロドルが上昇基調に乗りたいとした買いに押し上げられてさらに大幅続伸し、ポンド/ドルも英国EU協議再開報道から急騰、豪ドルも利下げ観測による売り物を消化して買い戻しに入り、ドル全面安の流れに乗って反騰入りとなった。それらによるドル全面安の動きがドル円にも波及して夕刻にかけて徐々に安値を切り下げる展開となり、夕刻に10月15日朝安値を割り込んだところからテクニカルな売りの連鎖反応に陥り104円台序盤へ突っ込む展開となった。
EUのバルニエ首席交渉官と英国のフロスト首席交渉官は21日の電話会談で両国の自由貿易協定(FTA)締結交渉をめぐって協定案取りまとめに向けた集中協議を始めることで合意した。10月22日から25日にロンドンで会合を持ち、その後もロンドンかブリュッセルで協議を継続するという。英ジョンソン首相が協議期限を10月15日とし、期限を超えたことで先行き不安が強まっていたが協議再開によりハード・ブレクジット回避への期待が強まったため、ポンド高とユーロ高を助長したようだ。

【ドル全面安、米国株安債券安でドル安、トリプル安?】

21日はドル全面安の一方でNYダウが前日比97.97ドル安と下落、ナスダック総合指数も同31.80ポイント安と下落した。米与野党の追加経済対策協議が難航する中で、トランプ大統領が民主党案の2兆2000億ドル規模を超えても構わない姿勢を示したことで協議進展期待は強まった。しかし米民主党のペロシ下院議長は合意への楽観見通しを示しつつも、米議会通過は大統領選後になる可能性があるとの認識を示した。共和党のマコネル上院院内総務も議会採決を選挙後に実施する考えを示唆しており、合意にはしばらく時間がかかること、大統領選挙結果次第となったことで株高へ進めなかったようだ。

株安ならリスク回避的に安全資産の米国債が買われて長期債利回りが低下すべきところだったが、21日は株安と共に米債券も売られて米10年債利回りは前日比0.03%上昇の0.82%となり6月上旬以来の高水準をつけた。株安で長期債利回りも上昇ならばリスク回避的なドル買い戻しが優勢になるところ、ドルも全面安に陥った。ある意味でトリプル安であり、米大統領選挙が迫る中で米国リスクを意識し、ポジション調整、手仕舞い売りが米国株・債券・ドルの下落を招いている可能性もある。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

10月21日のドル円の日足は高安レンジが1円を超える大陰線であり、10月15日安値を割り込んで10月8日からの下落は二段下げに入った。また9月21日安値103.99円に迫る動きとなった。9月21日安値を割り込む場合は7月31日安値とのダブルボトムも崩れることになるのでドル円の先安感もかなり強まるところと警戒される。

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、10月15日朝安値からのジリ高基調が続いたために15日朝安値を直近のサイクルボトムとして強気サイクル入りしてきたが、20日夜へ高値を切り上げてから反落したために21日朝時点では20日夜高値を直近のサイクルトップとした弱気サイクル入りとした。またボトム形成期は15日朝安値を基準とすれば20日朝から22日朝にかけての間と想定されるとしたが、ボトム形成期の延長入りの可能性もあるとした。
21日夜の急落後は下げ一服が見られるので、104.80円を超えてくる場合はいったん強気サイクル入りとして22日から26日にかけての間への上昇を想定するが、その場合も戻りは短命の可能性があるので戻り幅の半値を削るところからは下げ再開警戒とし、安値更新からは新たな弱気サイクル入りとして26日夜から28日夜にかけての間への下落を想定する。
22日に強気転換できずに安値更新の場合は22日夜から26日朝にかけての間へボトム形成期が延長される可能性があるとみる。

60分足の一目均衡表では遅行スパン悪化、先行スパン転落から大幅続落した状況にある。新たな安値更新を回避して戻しに入れば遅行スパンも好転してくるので、遅行スパン好転からはリバウンド入りとみるが、その際は先行スパンが抵抗となってくると思われる。また遅行スパンが好転できないうちは安値更新からの一段安警戒が続くとみる。

60分足の相対力指数は21日夜への急落で10ポイント台まで大幅低下した後は持ち直している。30ポイント以上で持ち直しを続ければ50ポイント手前を目指すとみるが、再び30ポイント割れするところからは一段安警戒とする。一段安の場合は、相場が安値を更新しても指数のボトムが切り上がる強気逆行が見られれば反騰入りの可能性が出てくると思われる。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)10月21日深夜安値104.34円を下値支持線、104.80円を上値抵抗線とする。
(2)104.80円以下での推移中は一段安余地ありとし、21日深夜安値割れからは103円台中盤(103.75円から103.25円)を試すとみる。103.50円以下は反騰注意だが、104.50円以下での推移が続くうちは23日も安値試しへ向かいやすいとみる。
(3)104.80円超えからはいったん強気サイクル入りとみて105円前後試しを想定する。戻りは短命の可能性があるので105円以上は反落警戒とし、その後に104.50円を割り込むところからは下げ再開と一段安警戒とする。

【当面の主な予定】

10/22(木)
米大統領候補、最後のテレビ討論会(テネシー州ナッシュビル)
18:25 (英) ベイリー英中銀(BOE)総裁、講演
21:30 (米) 週間新規失業保険申請件数 (前週 89.8万件、予想 86.0万件)
21:30 (米) 週間失業保険継続受給者数 (前週 1001.8万人、予想 950.0万人)
23:00 (米) 9月 景気先行指数 前月比 (8月 1.2%、予想 0.7%)
23:00 (欧) 10月 消費者信頼感速報値 (9月 -13.9、予想 -15.0)
23:00 (米) 9月 中古住宅販売件数・年率換算件数 (8月 600万件、予想 630万件)
23:00 (米) 9月 中古住宅販売件数 前月比 (8月 2.4%、予想 5.0%)
23:00 (米) ラムスデン英中銀副総裁、経済イベントに参加

10/23(金)
06:45 (NZ) 7-9月期消費者物価 前期比 (4-6月 -0.5%、予想 0.9%)
06:45 (NZ) 7-9月期消費者物価 前年同期比 (4-6月 1.5%、予想 1.7%)
07:00 (米) カプラン・ダラス連銀総裁、討論会参加
08:01 (英) 10月 GFK消費者信頼感 (9月 -25、予想 -28)
08:30 (日) 9月 全国消費者物価指数 前年同月比 (8月 0.2%、予想 0.0%)
08:30 (日) 9月 全国消費者物価指数・生鮮食品除く 前年同月比 (8月 -0.4%、予想 -0.4%)
08:30 (日) 9月 全国消費者物価指数・生鮮食品・エネルギー除く 前年同月比 (8月 -0.1%、予想 -0.1%)
15:00 (英) 9月 小売売上高 前月比 (8月 0.8%、予想 0.4%)
15:00 (英) 9月 小売売上高 前年同月比 (8月 2.8%、予想 3.7%)

15:00 (英) 9月 小売売上高・除自動車 前月比 (8月 0.6%、予想 0.5%)
15:00 (英) 9月 小売売上高・除自動車 前年同月比 (8月 4.3%、予想 5.0%)
16:30 (独) 10月 製造業PMI速報値 (9月 56.4、予想 55.0)
16:30 (独) 10月 サービス業PMI速報値 (9月 50.6、予想 49.4)
17:00 (欧) 10月 製造業PMI速報値 (9月 53.7、予想 53.0)
17:00 (欧) 10月 サービス業PMI速報値 (9月 48.0、予想 47.0)
17:30 (英) 10月 製造業PMI速報値 (9月 54.1、予想 53.0)
17:30 (英) 10月 サービス業PMI速報値 (9月 56.1、予想 53.0)
22:45 (米) 10月 製造業PMI速報値 (9月 53.2、予想 53.5)
22:45 (米) 10月 サービスPMI速報値 (9月 54.6、予想 54.6)


注:ポイント要約は編集部

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