ドル円見通し 15日朝以降の上昇チャンネル支持線を試す(20/10/21)

ドル円は、20日夜105.74円まで戻り高値を切り上げたが、深夜の失速では上昇チャンネルの下値支持線を試すところまで下げている。

ドル円見通し 15日朝以降の上昇チャンネル支持線を試す(20/10/21)

15日朝以降の上昇チャンネル支持線を試す

〇ドル円、105.74まで戻り高値を切り上げた後深夜に失速
〇NYダウ前日比113.37ドル高、ナスダック前日比37.61ポイント高と共に反発
〇追加経済対策、トランプ大統領は民主党案の2兆2000億ドルを超える提案を容認する姿勢
〇米9月の住宅着工件数、住宅着工許可件数共に前月比で増加、株高の支えに
〇105.65超えなら20日夜高値105.74試し、高値更新からは106円に迫る上昇を想定
〇105.40割れからは15日朝安値105.03をもう一度試しにかかる下落を想定

【概況】

ドル円は10月15日朝に105.03円まで下げたものの105円割れをひとまず回避して持ち直しに入り、16日早朝高値105.49円から19日午前高値105.50円へとわずかに高値を切り上げつつ、16日昼安値105.19円から19日夜安値105.30円へ安値も切り上げてきた。騰落幅は0.30円前後と小さいながら安値を結ぶ下値支持線と高値を結ぶ上値抵抗線はほぼ平行に走り上昇チャンネルを形成している。
20日夜は為替市場全般の方向感に欠けたものの、前日に大幅下落したNYダウが反発したことでややリスク選好型のドル高円安となり105.74円まで戻り高値を切り上げた。しかしこの高値も上昇チャンネルの上値抵抗線に抵触するところで行き詰まり、深夜の失速では上昇チャンネルの下値支持線を試すところまで下げている。

【NYダウは反発するも勢いに欠ける】

10月20日のNYダウは前日比113.37ドル高と反発した。19日には前日比410.89ドル安と大幅下落していたが続落回避で持ち直しの気配だ。ナスダック総合株価指数も前日比37.61ポイント高と上昇して6日ぶりの反発となった。米大統領選挙が近づく中でダウもナスダックもダブルトップ型の高値を付けて上値が重くなる中で19日に大幅下落したことで先行き不安もやや強まっていたが、20日はトランプ米大統領が新型コロナウイルスに対する追加経済対策に関して「民主党より大きなものを望んでいる」と述べて民主党案の2兆2000億ドルを超える提案を容認する姿勢を示したことと、民主党のペロシ下院議長も米大統領選挙前に合意できるとの楽観見通しを示したことでリスク選好感がやや回復した。20日も与野党協議が続いている。

米商務省が発表した9月の住宅着工件数は年率換算で141万5000戸、市場予想の145万7000戸を下回ったものの前月比1.9%増で2か月振りにプラスだった。また先行指標である住宅着工許可件数は155万3000戸となり市場予想の152万戸を上回り、前月比も5.2%増となった。市場反応は限定的なものだったが株高の支えにはなったようだ。

20日の米10年債利回りは前日比0.02%上昇の0.79%、30年債利回りは同0.04%上昇の1.60%となった。株高により長期債利回りが上昇したことはドル円の上昇を支えた印象だが、10年債利回りは一時0.80%を超えたところからやや下げて終了し、ドル円も終盤に下げる結果となった。株高債券安・長期債利回り上昇、リスク選好感優勢となればドル円は上昇基調を継続できるが、逆向きに株安債券高・長期債利回り低下となればリスク回避感も強まってドル円の下落圧力となる。いずれへ進むのか、米大統領選挙も近づく中で市場も徐々に慎重姿勢となるため、選挙結果を見定めるまでは決定的な動きへ進み難い状況が続きそうだ。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、10月15日朝安値からのジリ高基調が続いたために15日朝安値を直近のサイクルボトムとして強気サイクル入りしてきたが、20日夜へ高値を切り上げてから反落しているので、20日夜高値を上抜き返す場合は新たな強気サイクル入りとするのを妥当とみて20日夜高値を直近のサイクルトップとした弱気サイクル入りとする。ボトム形成期は15日朝安値を基準とすれば20日朝から22日朝にかけての間と想定されるので既に反騰注意期にあるが、20日夜高値を超えないうちはボトム形成期の延長入りの可能性も含めて一段安余地ありとする。ただし、20日夜高値超えからは新たな強気サイクル入りとして23日夜から27日夜にかけての間への上昇を想定する。

60分足の一目均衡表では20日夜高値からの反落では先行スパンからの転落を回避しているので、先行スパンからの転落回避中は26本基準線超えから上昇再開、一段高へ向かう可能性ありとみるが、先行スパン転落からは下げ足が15日朝以降の上昇チャンネルからの転落とも重なるので下げ足が早まる可能性があると注意する。

60分足の相対力指数は20日夜高値からの反落で40ポイント台序盤まで下げたがその後はしっかりしている。16日昼及び19日夜の反落時も40ポイント前後で持ち直しているので60ポイント超えへ進むなら上昇再開とみるが、40ポイント割れから続落に入る場合はいったん15日朝からの上昇に対する調整局面入りとして30ポイント割れを目指す下落を想定する。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)10月15日朝安値105.03円を下値支持線、20日夜高値105.74円を上値抵抗線とする。
(2)105.40円以上での推移中は105.65円超えから20日夜高値試しとし、高値更新からは106円に迫る上昇を想定する。106円手前は戻り売りにつかまりやすいところとみるが、リスク選好材料を背景に上昇が加速する場合は106円台序盤へ上値目途を引き上げる。
(3)105.40円割れからは15日朝以降の上昇チャンネルからの転落となるので15日朝安値をもう一度試しにかかる下落を想定する。105円台序盤は押し目買いされやすい水準とみるが、リスク回避材料を背景に下げ足が早まる場合は15日朝安値割れへ向かう可能性もあるところと注意する。

【当面の主な予定】

10/21(水)
15:00 (英) 9月 消費者物価指数 前月比 (8月 -0.4%、予想 0.5%)
15:00 (英) 9月 消費者物価指数 前年同月比 (8月 0.2%、予想 0.5%)
15:00 (英) 9月 消費者物価コア指数 前年同月比 (8月 0.9%、予想 1.3%)
15:00 (英) 9月 生産者物価コア指数 前年同月比 (8月 0.0%、予想 0.1%)
23:00 (米) メスター・クリーブランド連銀総裁、講演
27:00 (米) 米地区連銀経済報告(ベージュブック)

10/22(木)
米大統領候補、最後のテレビ討論会(テネシー州ナッシュビル)
07:30 (豪) デベル豪中銀副総裁、パネル討論会参加
18:25 (英) ベイリー英中銀(BOE)総裁、講演
21:30 (米) 週間新規失業保険申請件数 (前週 89.8万件、予想 86.0万件)
21:30 (米) 週間失業保険継続受給者数 (前週 1001.8万人)
23:00 (米) 9月 景気先行指数 前月比 (8月 1.2%、予想 0.7%)
23:00 (欧) 10月 消費者信頼感速報値 (9月 -13.9、予想 -15.0)
23:00 (米) 9月 中古住宅販売件数・年率換算件数 (8月 600万件、予想 625万件)
23:00 (米) 9月 中古住宅販売件数 前月比 (8月 2.4%、予想 4.2%)
23:00 (米) ラムスデン英中銀副総裁、経済イベントに参加

注:ポイント要約は編集部

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