来週の為替相場見通し:『円高リスク再燃。半年ぶり103円台が射程圏内』(9/19朝)

今週のドル円相場は、週初106.17で寄り付いた後、早々に週間高値106.21まで上昇しました。

来週の為替相場見通し:『円高リスク再燃。半年ぶり103円台が射程圏内』(9/19朝)

円高リスク再燃。半年ぶり103円台が射程圏内

〇ドル円FOMC前の追加緩和期待とFOMCでの緩和長期化示唆で104円台に下落
〇ユーロドルFOMC前1.1900まで上昇の後、FOMC後1.1737まで急落1.1840で越週
〇ドル円、テクニカル、ファンダメンタルズとも下落リスクが警戒される
〇7/31に記録した直近安値104.18を割り込み、半年ぶりに103円台へ突入する展開を想定
〇来週の予想レンジ(USDJPY):103.00ー106.00、(EURUSD):1.1650−1.1950

今週のレビュー(9/14−9/18)

<ドル円相場>
今週のドル円相場は、週初106.17で寄り付いた後、早々に週間高値106.21まで上昇しました。しかし、一目均衡表基準線に続伸を阻まれると、@米FOMC(連邦公開市場委員会)を前にした根強い追加緩和期待や、A米中対立先鋭化リスク、B菅官房長官の自民党総裁選出(材料出尽くしに伴う円高)、Cテクニカル的な地合いの弱さ(レンジ相場の下放れ→短期筋のロスカット)、D米経済指標(米8月鉱工業生産、米8月小売売上高、米8月住宅着工件数、米8月建設許可件数、米新規失業保険申請件数など)の冴えない結果、E米FOMC(連邦公開市場委員会)でのゼロ金利政策長期化示唆

(FOMCメンバー17名の内13名が「2023年末までのゼロ金利政策維持」を示唆→米金融緩和長期観測→米ドル売り)、F日銀金融政策決定会合及び黒田日銀総裁会見にてサプライズが見られなかったこと(事前予想通り、アベノミクスの継続方針を掲げる菅首相との連携が示されたのみ→材料出尽くし→円買い)、G英国情勢を巡る先行き不透明感(英ポンド円下落→ドル円連れ安)、H米株安・米長期金利低下の流れが重石となり、週末(9/18)にかけて、一時7/31以来となる安値104.28まで急落しました。引けにかけて小反発するも戻りは鈍く、結局104.59近辺での越週となっております。

<ユーロドル相場>
今週のユーロドル相場は、週初1.1840で寄り付いた後、@米FOMC(連邦公開市場委員会)を前にした根強い追加緩和期待や、Aユーロ圏7月鉱工業生産(結果▲7.7%、予想▲8.1%)の予想比上振れ、Bドイツ経済省(月報)による「年内の国内経済は新型コロナウイルス危機からの回復が続く見込み」とのポジティブな見解、Cドイツ9月ZEW景況感調査(結果77.4、予想69.8)の良好な結果が支援材料となり、翌9/15にかけて、週間高値1.1900まで上昇しました。

しかし、直近高値1.1918(9/10高値)をバックに伸び悩むと、Dバイトマン独連銀総裁による追加緩和を示唆する発言や、Eデコス・スペイン中銀総裁によるユーロ高を牽制する発言、F英合意無き離脱リスクの高まり(英国・EU間の通商協議を巡る先行き不透明感)が重石となり、9/17には、一時1.1737(8/12以来の安値圏)まで急落する場面も見られました。もっとも、ボリンジャーバンド下限に続落を阻まれると、週末にかけて再び反発。G米FOMC後のドル売りの流れや、H欧州委員会のフォン・デア・ライエン委員長による「英国とEUは引き続き通商合意が可能」との発言も材料視される中、結局1.1850近辺まで持ち直しての越週となっております。

来週の見通し(9/21−9/25)

<ドル円相場>
ドル円は、8/28に記録した高値106.96をトップに反落に転じると、今週末(9/18)には一時104.28まで急落しました。この間、一目均衡表基準線や転換線、ボリンジャーミッドバンドや一目均衡表雲下限を下抜けした他、強い売りシグナルを示唆する三役逆転や、強い下落トレンド入りを示唆する弱気のバンドウォークも成立するなど、テクニカル的にみて、「地合いの弱さ」を強く印象付けるチャート形状となっております。目先は、7/31に記録した安値104.18を試す展開が想定されます。

ファンダメンタルズ的に見ても、@日米金融政策の方向性の違い(日本側はアベノミクス→スガノミクスへのスムーズな移行に際してある程度の不確実性が残る一方、米国側は2023年までのゼロ金利政策の継続を示唆)や、A米国ファンダメンタルズの先行き不透明感(今週は冴えない米経済指標が相次ぐ展開)、B米中対立先鋭化リスク、C米政治の先行き不透明感(11/3の米大統領選)、D朝鮮半島や中東、香港を巡る地政学的リスク、E新型コロナウイルスの感染再拡大リスク、F日本経済の先行き不透明感(本邦の景気先行き不透明感→デフレ懸念→円の実質金利上昇→円高)、G実体経済と株式相場の乖離(過剰流動性相場の巻き戻しに警戒)、H英合意無き離脱リスクの再燃など、ドル円相場の下落を想起させる不安材料が山積みの状態です。

以上の通り、ドル円相場は、テクニカル的にも、ファンダメンタルズ的にも、下落リスクが警戒されます。欧米株の動向(軟調推移が継続すれば、クロス円の下落を通じてリスク回避の円買いに波及する恐れあり)や、米中対立及び英国情勢を巡るヘッドライン、米国の主要経済指標の結果(米8月中古住宅販売件数、米8月新築住宅販売件数、米8月耐久財受注、パウエルFRB議長の議会証言をはじめ複数の米当局者発言など)を睨みながらも、当方では引き続き、ドル円相場の下落をメインシナリオとして予想いたします(日米金融政策格差やリスク回避ムードの再燃がドル円の重石。7/31に記録した直近安値104.18を割り込み、半年ぶりに103円台へ突入する展開を想定)。

来週の予想レンジ(USDJPY):103.00ー106.00

<ユーロドル相場>

ユーロドル相場は、9/1に記録した約2年4ヵ月ぶり高値1.2012をトップに反落に転じると、9/17には一時1.1737(8/12以来の安値圏)まで急落しました。この間、一目均衡表基準線や転換線、ボリンジャーミッドバンドを下抜けするなど、テクニカル的に見て、「上値の重さ」を印象付けるチャート形状となっております。

ファンダメンタルズ的に見ても、@ユーロ圏経済及び物価の先行き不透明感や、A世界的な貿易戦争再開リスク(米大統領選挙への不確実性が増しつつあり、トランプ米政権による強硬外交がユーロ圏へも波及する恐れ)、B朝鮮半島や中東、香港を巡る地政学的リスク、C新型コロナ第2波リスク(ユーロ圏では新型コロナ新規感染者数が過去最多を更新中)、DECBによる根強い追加緩和観測、EIMM通貨先物市場における投機筋の高水準のユーロの買い持ちポジション(上値余地は限定的)、F英国の合意無き離脱リスクの高まり(英国・EU間の通商交渉難航リスク)、GECB当局者によるユーロ高牽制発言など、ユーロドルの上値を抑制する材料は今尚沢山残っている状況です。

以上の通り、ユーロドル相場は、テクニカル的にも、ファンダメンタルズ的にも、下落リスクが警戒されます。欧米株及び欧米の長期金利の動向や、ユーロ圏の要人発言(追加緩和を示唆する発言や、ユーロ高を牽制する発言など)、英国・EU間の通商交渉の行方(交渉難航なら英ポンド急落→ユーロ連れ安。交渉期限は10/15)、欧米の主要経済指標の結果(ユーロ圏9月消費者信頼感指数、ユーロ圏9月製造業及びサービス業PMI、ドイツ9月ifo景況指数など)を睨みながらも、当方では引き続き、ユーロドル相場の下落をメインシナリオとして予想いたします(欧州当局者によるユーロ高牽制と英合意無き離脱リスクの高まりがユーロドルの重石)。

来週の予想レンジ(EURUSD):1.1650−1.1950

円高リスク再燃。半年ぶり103円台が射程圏内

ドル円日足

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