ドル円見通し 105円割れ回避から106円台序盤へ反騰、FOMC議事録からドル高に(20/8/20)

ドル円は8月19日午前に105.08円まで下落したが、深夜からの反騰で20日未明には106.15円まで戻した。

ドル円見通し 105円割れ回避から106円台序盤へ反騰、FOMC議事録からドル高に(20/8/20)

ドル円見通し 105円割れ回避から106円台序盤へ反騰、FOMC議事録からドル高に

〇8/19深夜にドル高ぶり返し105円台中盤へ戻しさらにFOMC議事録発表により106円越えへ
〇議事要旨では景気刺激策を長期間堅持する姿勢示すもYCC導入には消極的、米長期金利上昇
〇米国債の大量入札が峠を越えており、米長期債利回りが再び低下へ向かえばドル円も下落再開の可能性
〇106円を割り込んでも切り返す内は上昇余地あり、106.25超えからは106.50前後への上昇を想定
〇105.70割れを弱気転換注意、105.50割れから下げ再開とし105.08試しを想定

【概況】

ドル円は8月19日午前に105.08円まで下落したが、深夜からの反騰で20日未明には106.15円まで戻した。米国の国債大量入札をきっかけに米長期債利回りが上昇して為替市場全般がドル高へ向かったことでドル円は8月14日未明に107.05円まで上昇してきたが、米国債大量入札を通過して米長期債利回りが低下に転じた事でドル安感が再燃したことで17日深夜には106円を割り込み、18日も105円台序盤まで続落となり、19日は105円割れ寸前まで下げていた。

8月19日は米20年債250億ドルの大型入札と20日未明のFOMC議事要旨公開を控えてのポジション調整でドル安が一服、ドル円も105円割れは時期尚早として買い戻され、19日午後に105.60円まで小反発した後の19日夜に105.16円まで再び下げたが新たな安値更新を回避していた。
8月19日深夜は米20年債の入札が低調だったことからドル高がぶり返したために105円台中盤へ戻し、20日未明に公開されたFOMC議事録では市場の期待するYCC(イールドカーブコントロール)導入への消極性が再認識されたことで米長期債利回りが上昇、ドル高も加速したために106円を超えるところまで反騰した。

【FOMCはYCCに消極姿勢】

8月19日の米20年債の入札がやや不調だったことと米FOMC議事録でのYCC導入への消極姿勢を背景に米長期金利は上昇した。指標の米10年債利回りは0.01%上昇の0.68%と小幅な動きだったが、30年債利回りは0.03%上昇の1.43%となった。
米連銀FRBが公表した7月28―29日開催のFOMC議事要旨では、金融政策を微調整して積極的な刺激策を長期間堅持する姿勢を示したが、YCCについては「この選択肢について議論した参加者の大半は利回りに上限や目標を設けても現在の環境では利点は小さいものにとどまる可能性が高いと判断した。将来のFF金利の道筋に関する委員会のフォワードガイダンスは既に極めて信頼性が高いほか、中長期の金利は既に低いためだ」と記載された。市場は米FOMCがYCC導入を巡って議論しているものの消極派が優勢であり年内の導入はないと受け止め、株式市場はNYダウが前日比85.19ドル安、ナスダック総合株価指数が64.38ポイント安と下落、債券高・長期債利回り上昇、為替市場ではドルが全面高となった。

【ドル円の日足は3日連続陰線後の陽線】

ドル円は8月14日未明高値107.05円から19日午前安値105.08円まで1.97円の円高ドル安だった。20日早朝高値106.15円まで1.07円の円安ドル高となる反騰であり、直前の下げ幅に対して半値戻しを若干超えるところまで戻したことになる。日足は8月14日から18日まで3日連続の陰線=三羽烏だったが、19日の陽線で8月18日の3本目となる陰線レンジを解消する反発となった。

7月31日に当日の安値から高値まで1.88円の上昇となる大陽線を付けて戻してきたために、同様に当日の安値から高値へ2円近い反騰となる大陽線を付けて底打ちした昨年8月26日からの上昇との類似性が注目されていた。コロナショックの初期的な暴落であった今年3月9日安値で101.23円まで下落して2016年12月以降の安値を更新したのだが、3月9日の一時的急落を除けば、2018年3月26日底104.63円、2019年1月3日底104.82円、2019年8月26日底104.45円といずれも104円台で中勢の底を付けてきたため、今回も104円台まで突っ込んでからの反騰となったために3月24日高値からの4か月にわたる下落を一巡して反騰してゆく可能性も検討されるところであった。

しかし8月14日からの日足3日連続陰線の出現により、戻りを短命として下げ再開へ向かう可能性も急浮上した。今年4月6日や6月5日の戻り高値からの下落再開も三羽烏から進行しており、今回の上昇も戻り高値を切り上げられずに一段安へ進みやすい状況に入った。
3日間の続落後に1日、2日の反発はよく入るものであり、今回も8月19日付け日足陽線から続伸しても20日が上ヒゲを付けての失速となる場合や陰線引けとなる場合は買い戻し中心の小反発にとどまり、戻り幅の半値を削るところからは下げ再開感が強まる可能性がある。ただし、小反落しても19日安値からの上昇幅に対する半値押し程度までから切り返すうちは8月19日安値を新たな起点とした上昇再開における押し目形成となり、高値切り上げへ向かう可能性も出てくるところだ。

世界的な金融緩和拡大とドル資金供給を背景として3月後半からはドルは全面安の流れとなってきた。この大きな流れは継続してゆくとすれば、8月19日安値からの反発も短期的なものにとどまり、106円台中盤までを戻り抵抗として失速し、104円台を試し、さらに3月9日安値を目指す可能性もまだあるのではないかと思う。米国国債の大量入札が峠を越えてきているので米長期債利回りが再び低下へ向かえばドル円も下落再開へ向かいやすくなるのではないかと思う。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、8月14日深夜の下落で8月13日午後安値を割り込んだため、17日朝時点では14日未明高値で直近のサイクルトップとした弱気サイクル入りとした。また12日夜と14日未明のダブルトップからの下落のため、13日午後安値を基準として18日午後から20日午後にかけての間をボトム形成期とした。
19日午前安値から1円を超える反騰となっているので、19日午前安値を直近のサイクルボトムとして強気サイクル入りしていると思われる。新たな高値形成期は14日未明高値を基準として19日未明から21日未明にかけての間と想定されるので既に反落警戒期にあるため、105.50円を上回るうちは上昇余地ありとするが、105.50円割れないしは19日午前安値からの戻り幅の半値を削るところからは新たな弱気サイクル入りとして24日午前から26日午前にかけての間への下落を想定する。

60分足の一目均衡表では8月20日早朝への上昇で先行スパンを突破しているので、先行スパンを上回るうちは遅行スパン好転中の高値試し優先とする。遅行スパン悪化からは下げ再開と仮定して先行スパンからの転落を試すとみるが、転落回避で再び遅行スパンが好転するところからは上昇再開とし、先行スパン転落からは一段安へ向かうとみて遅行スパン悪化中の安値試し優先とする。

60分足の相対力指数は8月18日から19日午前にかけての安値更新に対して指数のボトムを切り上げる強気逆行を発生させて上昇している。既に70ポイントをいったん超えたので高値警戒圏にあるが、50ポイント以上での推移中は上昇余地ありとみる。ただし、小反落した後に高値を更新する際に指数のピークが切り下がれば弱気逆行発生として下げ再開を疑う。また50ポイント割れからは下げ再開とみて30ポイント前後を目指す下落を想定する。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、105.70円を下値支持線、106.25円を上値抵抗線とする。
(2)106円を割り込んでも切り返す内は上昇余地ありとし、106.25円超えからは106.50円前後への上昇を想定する。106.50円以上は反落警戒とするが、105.70円以上での推移なら21日も高値試しへ向かいやすいとみる。
(3)105.70円割れを弱気転換注意とし、105.50円割れからは下げ再開に入ったとみて19日午前安値105.08円試しを想定する。105円台序盤はもう一度買い戻しも入りやすいとみるが、105.50円以下での推移なら21日の日中も安値試しへ向かいやすいとみる。また19日午前安値割れからは104円台前半を目指す流れと考える。

【当面の主な予定】

8/20(木)
15:00 (独) 7月 生産者物価指数 前月比 (6月 0.0%、予想 0.1%)
20:00 (ト) トルコ中銀、政策金利 (現行 8.25%、予想 8.25)
20:30 (欧) 欧州中央銀行(ECB)理事会議事要旨
21:30 (米) 8月 フィラデルフィア連銀製造業景況指数 (7月 24.1、予想 21.0)
21:30 (米) 新規失業保険申請件数 (前週 96.3万件、予想 92.5万件)
21:30 (米) 失業保険継続受給者数 (前週 1548.6万人、予想 1500.0万人)
23:00 (米) 7月 景気先行指数 前月比 (6月 2.0%、予想 1.1%)
26:00 (米) デイリー・サンフランシスコ連銀総裁、バーチャルイベント参加

8/21(金)
08:30 (日) 7月 全国消費者物価指数 前年同月比 (6月 0.1%、予想 0.3%)
08:30 (日) 7月 全国消費者物価指数・生鮮食料品除く 前年同月比 (6月 0.0%、予想 0.1%)
08:30 (日) 7月 全国消費者物価指数・生鮮食料品エネルギー除く 前年同月比 (6月 0.4%、予想 0.5%)
15:00 (英) 7月 小売売上高 前月比 (6月 13.9%、予想 2.0%)
15:00 (英) 7月 小売売上高 前年同月比 (6月 -1.6%、予想 0.1%)
15:00 (英) 7月 小売売上高・除自動車 前月比 (6月 13.5%、予想 0.2%)
15:00 (英) 7月 小売売上高・除自動車 前年同月比 (6月 1.7%、予想 1.5%)

16:15 (仏) 8月 製造業PMI速報値 (7月 52.4、予想 53.0)
16:15 (仏) 8月 サービス業PMI速報値 (7月 57.3、予想 56.0)
16:30 (独) 8月 製造業PMI速報値 (7月 51.0、予想 52.3)
16:30 (独) 8月 サービス業PMI速報値 (7月 55.6、予想 55.1)
17:00 (欧) 8月 製造業PMI速報値 (7月 51.8、予想 52.7)
17:00 (欧) 8月 サービス業PMI速報値 (7月 54.7、予想 54.6)

17:30 (英) 8月 製造業PMI速報値 (7月 53.3、予想 54.0)
17:30 (英) 8月 サービス業PMI速報値 (7月 56.5、予想 57.0)
22:45 (米) 8月 製造業PMI速報値 (7月 50.9、予想 52.0)
22:45 (米) 8月 サービス業PMI速報値 (7月 50.0、予想 50.8)
23:00 (米) 7月 中古住宅販売件数・年率換算件数 (6月 472万件、予想 540万件)
23:00 (米) 7月 中古住宅販売件数 前月比 (6月 20.7%、予想 14.4%)
23:00 (欧) 8月 消費者信頼感速報値 (7月 -15.0、予想 -15.0)

オーダー/ポジション状況

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