トルコリラ円見通し ドル円の失速でトルコリラ円は15円台序盤に留まる(20/8/5)

4日深夜に小反発したところから5日未明には15.26円まで高値をさらに切り上げたが、5日朝には15.02円までいったん下げる等、15.20円以上では上値の重い状況となっている。

トルコリラ円見通し ドル円の失速でトルコリラ円は15円台序盤に留まる(20/8/5)

対ユーロと対ドルでリラ安一服だがドル円の失速でトルコリラ円は15円台序盤に留まる

〇トルコリラ円、5日未明15.26まで高値切り上げるも、5日朝に15.02までいったん下げる
〇8/4発表の7月消費者物価上昇率前年比11.76%で6月から若干低下、市場予想の12.0%を下回る
〇対ドル、終値ベースで7/31前日比0.34%高、8/3は0.20%高、4日も0.38%高とリラ安に一服
〇対ユーロ、8/4に8.12まで続伸から8.18へ反落、ユーロ高リラ安再燃きっかけの可能性
〇15.02以上は上昇余地あり、15.26超えから15.30後半を目指す可能性
〇15.02割れからは下げ再開とみて7/30安値14.89試し、14.80以下は反発注意

【概況】

トルコリラ円は7月30日早朝安値14.89円に対して31日朝安値は14.90円にとどまって底割れを回避し、31日夜にかけてはドル円が急反発したことや対ユーロや対ドルでトルコリラが反発したことを背景に8月1日未明に15.20円まで持ち直し、週明けの8月3日午前に15.21円、3日深夜に15.22円とわずかずつ高値を切り上げてきた。
8月4日も夕刻にはトルコ経済指標が良好だったことで15.23円まで戻り高値を若干切り上げ。4日深夜に小反発したところから5日未明には15.26円まで高値をさらに切り上げたが、5日朝には15.02円までいったん下げる等、15.20円以上では上値の重い状況となっている。

【トルコ消費者物価、やや落ち着く】

【トルコ消費者物価、やや落ち着く】

8月4日に発表されたトルコの7月消費者物価上昇率は前年比11.76%となり6月の12.62%から若干低下、市場予想の12.0%を下回った。前月比は0.58%で6月の1.13%から低下、予想の0.8%を下回った。生産者物価は前年比8.33%で6月の6.17%から上昇、市場予想とほぼ一致した。同前月比は1.02%で6月の0.69%から上昇、予想とほぼ一致した。

トルコ中銀の政策金利である週間レポレートは8.25%で据え置かれているが、消費者物価上昇率は2019年11月に10.56%へ上昇して二桁となり、その後も10%を超える水準で推移している。政策金利が物価上昇率を下回る実質的なゼロ金利状態が続いていることは、本来高金利通貨として投資を集めるべきトルコリラにとっては大きな売り圧力となる。6月の消費者物価が発表された7月3日にトルコリラは対ドルでフラッシュクラッシュ的な急落に見舞われ、その後もトルコ中銀の政策金利据え置きや外貨準備低下をみてドル高リラ安が進み、特にトルコ通貨当局による抑えが効かない対ユーロでは大幅下落に見舞われた。

7月の物価上昇率がやや抑えられたことはリラ安一服要因ではあるが、根本的な解決にはなっていない。
8月4日には7月のイスタンブールの製造業PMIの発表があり、7月は56.9ポイントとなって6月の53.9ポイントから上昇、市場予想の53.2ポイントを上回った。同PMIはコロナショックを反映して4月には33.4まで急低下したが、その後は5月の40.9から改善へ向かい、2か月連続で強弱分岐点の50を上回った。徐々に経済活動再開の効果が出ているが、その一方で日々の感染者増加数が千人を超え始めており、第二波への懸念も強まりつつあるところだ。

【対ユーロ、対ドルでの下落一服】

対ドルでのトルコリラはトルコ通貨当局の規制の動きもあって6月中旬からの1か月間は6.85リラを中心としてわずかな小動きに止まって横ばい推移が続いてきたが、対ユーロでのリラ安が加速し始める中で対ドルでの値動きも抑制が効かなくなり7月24日から7月30日までは5日連続のドル高リラ安となり7月30日には7.01リラへ急落した。しかし終値ベースでは31日は前日比0.34%高、8月3日が0.20%高、4日も0.38%高とドル安リラ高となっており、対ドルでのリラ安に一服が見られる。

対ユーロではトルコの外貨準備高不足や消費者物価上昇率が政策金利を上回る実質マイナス金利状態に陥ったことを焦点化して欧州勢のリラ売り攻勢がつづいて7月17日から7月30日まで10日連続のユーロ高リラ安となり、7月31日序盤には8.30リラまで下落して2018年8月の通貨危機時に付けた安値8.23リラを割り込んだが、その後はユーロ高リラ安一服による調整に入り、31日は前日比0.91%高、8月3日も0.34%高とリラは反発している。8月4日は8.12リラまで続伸したところから8.18リラへ反落しているのでユーロ高リラ安が再燃するきっかけとなる可能性もあると注意する。

【ドル円の反発一巡で再び円高気配】

ドル円は7月31日安値で104.17円を付けたところから反騰に転じて8月3日深夜には106.46円の高値を付けたがその後は失速している。7月31日の日足においては当日の安値から高値へ2円近い上昇となる陽線となったために7月1日からの下落一巡による反騰期入りの可能性が高まっていたが、106円台を維持できずに失速している。米国株式市場は堅調推移しているものの感染拡大や米中対立、レバノンでの大規模爆発事故、米連銀の金融緩和拡大傾向による米長期債利回り低下とドル安基調はまだ続きやすいとすれば、戻りも短命に終わって再び円高基調で進む可能性もある。週末の米雇用統計がその後の方向性を決める要因となりやすいのだろうと思われるが、105円を割り込んで続落に入る場合はドル円における円高がトルコリラ円にとっても大きな売り圧力となりやすいと注意する。またその際に対ユーロや対ドルでのトルコリラ安が重なるようだとトルコリラ円の下落も厳しくなりかねないと警戒しておきたい。

【60分足の一目均衡表・サイクル分析】

【60分足の一目均衡表・サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、7月25日未明安値を割り込んたために底割れによる弱気サイクル入りとして30日未明から8月3日朝にかけての間へ下落を想定してきたが、31日夜の反騰により8月3日朝時点では30日早朝と31日朝の両安値をダブルボトムとした強気サイクル入りとした。またトップ形成期は8月4日午後から6日午後にかけての間と想定した。8月5日未明へ高値を切り上げてから5日朝にいったん反落したため、5日未明高値を直近のサイクルトップと仮定する。5日未明高値を超えないうちは8月5日の日中から7日朝にかけての間への下落を想定するが、すでに31日朝安値から3日を経過しているので、5日未明高値を上抜く場合は5日朝安値を直近のサイクルボトムとした新たな強気サイクル入りとして8日未明から12日朝にかけての間への上昇を想定する

60分足の一目均衡表では8月5日朝の下落時に先行スパンからいったん転落したがその後は上抜き返している。15円台序盤での持ち合い推移のため方向感も定まらないところだが、5日未明高値を上抜くところからはもう一段高へ進むとみて遅行スパン好転中の高値試し優先とするが、5日朝安値を割り込むところからは下げ再開とみて遅行スパン悪化中の安値試し優先とする。

60分足の相対力指数は4日夜に30ポイント台まで下げてから5日未明には60ポイント台後半へいったん戻し、その後にまた50ポイントを割り込む展開となっており方向感が定まっていない。60ポイント超えからは上昇再開とするが、35ポイント割れからは下げ再開を想定する。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、8月5日朝安値15.02円を下値支持線、8月5日未明高値15.26円を上値抵抗線とする。
(2)15.02円以上での推移中は上昇余地ありとし、15.26円を超える場合は15.30円台後半を目指すとみる。15.35円以上は反落注意とするが、15.10円以上での推移なら6日も高値試しへ向かう余地があるとみる。
(3)15.02円割れからは下げ再開とみて7月30日安値14.89円試しとし、さらに底割れからは14.80円前後へ下値目途を引き下げる。14.80円以下は反発注意とするが、15円を割り込んでの推移なら6日の日中も安値試しへ進みやすいとみる。

【当面の主な経済指標等の予定】

8月7日
 20:30 外貨準備 7月31日時点 (前週 509.3億ドル)
8月10日
 16:00 5月失業率 (4月 12.8%、予想 16.3%)
8月13日
 20:30 外貨準備 8月7日時点
8月14日
 16:00 6月経常収支 (5月 −37.60億ドル)
 16:00 6月鉱工業生産 前年比 (5月 -19.9%) 
 16:00 6月小売売上高 前月比 (5月 3.8%)
 16:00 6月小売売上高 前年比 (5月 -16.7%)

注:ポイント要約は編集部

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