トルコリラ円見通し 15.60円台を回復、週末深夜からのドル円反発と同調
〇トルコリラ円、ドル円に同調して15.60台前半まで回復するも15.65に届かず
〇対ドルでは、13日も6.87から6.84の範囲での小動き継続
〇トルコの5月の鉱工業生産・小売売上高は前月比で回復、4月を当面の底として持ち直しが期待される
〇トルコのコロナ感染者数、経済活動再開の中6月中旬からはほぼ横ばい、感染拡大抑制状況を維持
〇15.57以上での推移中は上昇余地あり、15.65を超える場合、15.60以上での推移が続く場合高値試しか
〇15.57割れからは弱気サイクル入りの可能性、15.51試しを想定
【概況】
対ドルでのトルコリラの動きが鈍い中でトルコリラ円はドル円と同調した動きが続いている。7月10日深夜にドル円が106.62円まで下落する過程でトルコリラ円も10日深夜に15.51円まで下げたが、10日深夜以降はドル円が戻しに入ったためにトルコリラ円も同調して15.60円台前半まで戻している。しかしドル円の戻りも107.30円を超えたところではやや上値が重くなっており、トルコリラ円も14日朝に戻り高値を若干切り上げてきているが15.65円に届かずにいる。
為替市場においては、株高でリスク選好感が強まると投機通貨買い有利としてユーロやポンド、豪ドル等が買われてドル安となり、株安でリスク回避感が強まるとポジション圧縮によりドルが買い戻されてドル高となる傾向が見られる。株高でリスク選好の局面ではドル円は本来なら株高への同調で円安ドル高となりやすいものだが、現状はドルストレートでのドル安に圧されて上昇しきれず、株安のリスク回避優勢な局面ではドル高になびくよりも株安同調での円高反応も見られる。リスク選好や回避のレベルによっては反応も変わってくるので方向性が定まらないが、107.50円を中心として7月2日から8日まで持ち合い相場だったところから一旦転落したため、上昇再開には107.50円以上を回復する必要があり、107.50円に届かずに107円割り込む場合は下げ再開感が強まるとみて、トルコリラ円においても売り圧力が高まる可能性があると注意したい。
【対ドルでのトルコリラは小動きを続ける】
対ドルでのトルコリラは7月3日に6月のトルコ消費者物価指数が予想を超える上昇幅となったことをきっかけに一時的に6.98リラまで売られる場面があったものの早々に元の水準へ切り返し、フラッシュクラッシュ的な下落に止まった。7月3日を除けば6月後半からは6.85リラを中心とした小動きが続いており、7月10日は6.87リラから6.85リラ、13日も6.87リラから6.84リラの範囲での推移となっている。トルコ当局の取引規制・監視の動きを背景に値動きが乏しくなっている状況は変わらない。
【トルコ鉱工業生産、小売が持ち直す】
7月13日夕刻に発表されたトルコの5月鉱工業生産は前月比で17.4%増となり4月の30.2%減から急回復した。前年比では19.9%減であり、4月の31.3%減からやや改善したが大きく落ち込んだ水準に止まっている。しかし5月は週末のロックダウンや経済活動の規制が強かったことにより激しい落ち込みだったが、6月1日からの経済活動再開により今後は徐々に持ち直しが続くのではないかと思われる。
5月の小売売上高は前月比3.8%増となり4月の21.2%減から回復した。前年比では16.7%減であり、4月の19.2%減から若干の改善に止まった。鉱工業生産同様に、4月を当面の底として持ち直しに入ることが期待されるが、鉱工業も小売も前年同期比でプラスに転じるにはまだ時間がかかりそうだ。
5月のトルコ経常収支は37億6400万ドルの赤字で、4月の50億8700万ドルからは若干改善したが、昨年12月以降の赤字状態は継続している。2019年も5月と7月から11月までは経常黒字だったがそれ以外は赤字であり、経常収支を改善してゆくには輸出拡大と観光収入拡大が必要で、世界的な感染拡大による経済活動停滞が長引くようだとトルコの経常赤字拡大が問題化してくる可能性もあると思われる。
新型コロナウイルスの感染者数は7月14日朝時点では世界全体で1322.8万人に達した。米国は347万人に拡大し、ブラジルも188万人を超えた。インドは90万人を超えている。7月13日時点のトルコ感染者数は21万4001人で前日から1008人増、死者5382人で前日から19人増えた。世界15位の感染者数だが6月中旬からは千人を若干超えた程度で増加ペースはほぼ横ばいだ。6月から経済活動は再開しているが、感染拡大を抑制した状況を維持している。
【60分足一目均衡表・サイクル分析】
概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは7月10日深夜安値を直近のサイクルボトムとして強気サイクル入りしたと思われる。前回のサイクルトップは7月6日昼と8日昼の両高値によるダブルトップだっため、今回の高値形成期は8日昼高値を基準として13日昼から15日昼にかけての間と想定される。このため既に反落注意期にあるが、15.57円以上での推移中は上昇余地ありとし、15.57円割れを弱気転換注意として7月10日深夜安値試しとし、底割れからは新たな弱気サイクル入りとして15日夜から17日深夜にかけての間への下落を想定する。
60分足の一目均衡表では、7月13日夜の上昇で遅行スパンが好転し、先行スパンも上抜いた。14日午前も両スパン揃って好転しているため、遅行スパン好転中の高値試し優先とするが、新たな高値更新へ進めないと遅行スパンは悪化しやすくなると注意し、遅行スパン悪化からは下げ再開とみて安値試し優先とする。
60分足の相対力指数は13日夜に70ポイントを超えたが、14日午前への高値切り上げに対しては指数のピークが切り下がって弱気逆行の気配となっている。60ポイントを割り込んでも切り返す内は上昇余地ありとするが、50ポイント割れからは下げ再開とみて30ポイント前後への下落を想定する。
以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、15.57円を下値支持線、15.65円を上値抵抗線とする。
(2)15.57円以上での推移中は上昇余地ありとし、15.65円を超える場合は15.68円前後への上昇を想定する。15.67円以上は反落警戒圏とみるが、15.60円以上での推移が続く場合は15日午前も高値試しへ進む可能性があるとみる。
(3)15.57円割れからは弱気サイクル入りの可能性を警戒して7月10日深夜安値15.51円試しを想定する。15.51円を割り込む場合は15.47円前後へ下値目処を引き下げる。特に世界連鎖株安等と円高が重なる場合は下げ足が早まる可能性があると注意する。また15.57円以下での推移が続く場合は15日午前も安値試しを続けやすいとみる。
【当面の主な経済指標等の予定】
7月20日
19:30 6月自動車生産 前年比 (5月 -53.7%)
7月23日
16:00 7月消費者信頼感指数 (6月 62.6)
20:00 トルコ中銀政策金利発表 (現行 8.25%、予想 8.00%)
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