トルコリラ円見通し 円高に圧迫されて上値が重く15.60円を挟んだ揉み合い(20/7/10)

トルコリラ円は7月9日朝に15.55円まで下落したが、その後は15.60円を挟んだ小動きにとどまっている。

トルコリラ円見通し 円高に圧迫されて上値が重く15.60円を挟んだ揉み合い(20/7/10)

トルコリラ円見通し 円高に圧迫されて上値が重く15.60円を挟んだ揉み合い

〇トルコリラ円、7/9に15.55まで下落したものの、その後は15.60を挟んだ小動きにとどまる
〇対ドルでは6.869から6.840の範囲に収まり、ほとんど動かない状況
〇トルコの外貨準備は減少傾向にあるが、一方で金地金の保有高は増えている
〇15.55以上での推移中は上昇再開余地が残り、15.65超えから15.70手前を目指す上昇を想定
〇15.55割れからは新たな弱気サイクル入り、15.40台後半への下落を想定

【概況】

トルコリラ円は7月9日朝に15.55円まで下落したが、その後は15.60円を挟んだ小動きにとどまっている。
トルコリラ円は7月3日夜には消費者物価上昇率が予想を超えたことで実質的なマイナス金利状態が拡大したとして一時的な急落に見舞われたが、フラッシュクラッシュ的な下落にとどまって早々に元の水準へ戻した。しかしその後も上値は重く15.70円に届かない程度の推移にとどまっていたが、9日朝に15.60円を割り込み、7月3日夜のフラッシュクラッシュから戻した後に再び下げたところの7月3日深夜安値15.58円も割り込んだ。
7月3日のフラッシュクラッシュを除外すれば、7月1日朝高値15.77円以降は戻り高値が切り下がり気味で安値も徐々に切り下がる軟調な推移に入っており、7月9日朝安値からの反発も鈍かったために安値試しを続けやすい姿となっている印象だ。

【対ドルでのトルコリラは6.85リラ中心の小動きに戻る】

6月後半からは対ドルでのトルコリラの動きは極めて限定的で、6.85リラを中心とした小動きが続いている。7月3日のフラッシュクラッシュでは6.98リラまで一時的に急落したものの早々に元の水準に戻し、今週は6.869リラから6.840リラの範囲に収まっている。先週の終値が6.836リラであり、ほとんど動かない状況といえる。
5月7日にトルコの銀行調整監視機構(BDDK)は「誤解を招く価格」をもたらしたり「異常もしくは不自然な水準」等の銀行取引を操作的なものと見ないして規制するとした。また同日にはUBS、シティグループ、BNPパリバとのトルコリラ取引を禁止した。3行への取引禁止はその後解除されたが国内銀行対する取引規模の規制は継続している。こうした動きが対ドルでのトルコリラの変動を硬直化させているのだが、7月3日のようなフラッシュクラッシュ的な動きは止めようがないということだろう。

トルコリラ円見通し 円高に圧迫されて上値が重く15.60円を挟んだ揉み合い

トルコに対しては外貨準備高の減少によるトルコリラ防衛力の低下が懸念されている。7月9日に発表された週次の外貨準備高はゴールドを除き51.34億ドルだったが、6月初旬の55.61億ドルからは減少傾向にあり、2019年においては70億ドル台を維持していたところからはかなり減ってきている。ただし、一方で金地金の保有高は増えている。トルコは金指向が相対的に高く、ロシアや中国等と共に金準備高を増加させる傾向を維持している。ある意味、混乱期に備えているともいえる。

【ドル円、レンジ拡張型持ち合いから下抜けるか?】

トルコリラ円は対ドルでのトルコリラが硬直的な動きとなっているためにドル円の動向とほぼ同調して推移している。ドル円は7月1日高値108.16円から反落して以降は107.50円を中心値としレンジ拡張型の持ち合いで推移しているが、7月9日早朝に107.16円まで下落してこの間の安値切り下がりラインに到達したが、反騰しきれずに9日夜には107.07円まで下落し、10日午前も107円台序盤にとどまっている。
107円を割り込む場合はレンジ拡張型の持ち合い相場としての騰落を繰り返せずに一段安へ進みかねないところと注意するが、その際はトルコリラ円も一段安へ進みやすくなると思われる。
金融市場全般が楽観的なアフターコロナ復興期待を優先するうちはリスク選好的にドル円も上昇しやすいが、感染拡大に歯止めが効かない状況が続き経済活動再開が進まないとコロナ不況長期化懸念で下落しやすくなる。

【トルコの感染増加数は引き続き安定的】

トルコの新型コロナウイルス感染者数は7月9日時点で20万9962人で前日から1024人増、死者5300人で前日から18人増えた。6月12日以降は千人を超える状況が続いているもののピーク時からは大幅に低下した水準で抑制されている。7月9日には1日に5万件以上の検査が行われた結果であり、9日には退院者が2879人で回復者の累計は19万人を超えている。日本においても検査数拡大により陽性者数が大幅増加してきているが、重傷者や死者の比率及び陽性率を低水準に抑え込めばトルコの様に感染拡大の抑制期に入る可能性もあるのだろう。ただし油断すれば米国やブラジルのような事態に陥りかねない。トルコも今後の観光シーズンに抑制を維持して復興へつなげられるのか、重要な局面に入っているところだろう。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、7月3日夜のフラッシュクラッシュを一時的なものとして7月3日深夜安値を直近のサイクルボトムとし、7月6日昼高値を同サイクルトップとした弱気サイクル入りとしていたが、7月9日朝に7月3日深夜安値を割り込んでから15.60円台を回復したため、9日午前時点では9日朝安値で直近のサイクルボトムを付けたとした。このため新たな底割れ回避のうちは9日の日中から13日昼にかけての間への上昇余地ありとしたが、その後は15.60円を挟んだ横ばい程度にとどまっているため、9日朝安値を割り込んで新たな弱気サイクル入りしやすい状況にあると思われる。
引き続き、9日朝安値割れ回避のうちは上昇余地ありとするが、9日朝安値を割り込むところからは底割れによる弱気サイクル入りとして14日朝から16日朝にかけての間への下落を想定する。

60分足の一目均衡表では7月8日夜からの下落で遅行スパンが悪化し、先行スパンからも転落した。その後は横ばいのために遅行スパンは実線と交錯しやすい位置にある。15.65円を超える場合は上昇再開とみて遅行スパン好転中の高値試し優先とするが、9日朝安値割れからは一段安に入るために遅行スパン悪化中の安値試し優先とする。

60分足の相対力指数は7月9日朝安値で30ポイントを割り込んだ後は戻しているが50ポイント手前が抵抗となっている。50ポイントを超えれば上昇に勢いも付くと思われるが、超えないうちは下落再開を警戒し、40ポイント割れからは30ポイント以下への低下を伴う下落を想定する。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、7月9日朝安値15.55円を下値支持線、15.65円を上値抵抗線とする。
(2)15.55円以上での推移中は上昇再開余地が残るので、15.65円超えからは15.70円手前を目指す上昇を想定するが、15.70円手前は戻り売りにつかまりやすいとみる。
(3)15.60円以下での推移中は一段安警戒とし、15.55円割れからは新たな弱気サイクル入りとみて15.40円台後半への下落を想定する。15.45円以下は反騰注意とするが、9日朝安値を割り込んだ水準での推移が続く場合は週明けも安値試しへ向かいやすいとみる。

【当面の主な経済指標等の予定】

7月10日
16:00 4月失業率 (3月 13.2%、予想 14.6%) 
7月13日
16:00 5月経常収支 (4月 −50.6億ドル、予想 −27.0億ドル)
16:00 5月鉱工業生産 前年比 (4月 -31.4%、予想 -16.4%)
16:00 5月小売売上高 前年比 (4月 -19.3%、予想 -28.6%)
16:00 5月小売売上高 前月比 (4月 -21.0%、予想 0.0%)
7月20日
19:30 6月自動車生産 前年比 (5月 -53.7%) 

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