トルコリラ円見通し ドル円の動きも鈍くトルコリラ円は15.60円台で持ち合い
〇トルコリラ円米雇用統計発表後15.69を付けるも15.70に届かず横ばい推移
〇ドル円の雇用統計へのは反応鈍く、対ドルでのトルコリラは横ばい継続
〇トルコ新規感染者は千人を超えているものの抑制の効いた状況が続く
〇トルコ円15.70以下での推移中は一段安警戒、15.63割れからは6/26夜安値15.56前後への下落を想定
〇15.70超えからは上昇再開、7月1日午前高値15.77を目指す動きを想定
【概況】
トルコリラ円は6月23日夜安値15.47円から反騰に入り、7月1日午前には15.77円まで高値を切り上げてきた。この間は対ドルでのトルコリラが6.85リラを中心とした小幅なレンジにとどまってほぼ横ばい推移となる中でドル円と同調した動きに終始してきた。
ドル円が7月1日午前高値から下落に転じたため、トルコリラ円も1日夜に15.64円へ下落した。7月2日の日中は高値が15.70円に届かない程度にとどまり、2日夕刻にはドル円が安値を切り下げる中でトルコリラ円も15.63円まで安値を切り下げたが、その後は下げ渋りとなった。7月2日夜の米雇用統計は大幅改善だったが、ドル円の動きは鈍く、トルコリラ円も雇用統計発表後に15.69円を付けたが15.70円には届かずに横ばい推移の範囲に収まっている。
【ドル円は米雇用統計への反応鈍く6月23日からの上昇一巡感も】
ドル円は6月23日深夜安値106.06円と5月6日安値105.98円をダブルボトムとして反騰に入り、7月1日午前には108.16円まで上昇してきた。株高の進行によりリスク選好感が強まったことが背景だが、7月2日夜の米雇用統計と7月3日からの米国市場3連休を控えてポジション調整に入り1日夜には107.50円を割り込んだ。7月1日夜の米ADP民間雇用統計が予想を上回る改善となり、ISM製造業景況指数も予想を超える改善となったがドル円の動きは鈍く、7月2日夕刻には107.30円まで下落して夜の米労働省雇用統計待ちとなっていた。
6月の米雇用統計では失業率が11.1%となり5月の13.3%から改善、非農業部門就業者数は前月から480万人増となり5月の269.9万人増を上回る改善となった。これを受けて株式市場は上昇したが、ドル円は株高と同調してやや上昇したものの勢いに欠けた。
米雇用統計と同時刻に発表された週間新規失業保険申請件数は6月27日までの1週間で142.7万件となり前週から5.5万件減少したが市場予想の135.5万件を上回り、失業保険受給者数は6月20日までの1週間で1929万人となり前週から5万9000人増加となり市場予想の1900万人を上回った。米雇用統計が2か月連続で大幅改善したものの、依然として戦後最悪の不況水準にとどまっていること、失業者が1900万人を超える状況にあることがリスク選好感も抑え気味なものにとどまったといえる。NYダウが前日比92.39ドル高、ナスダック総合株価指数も前日比53.00ポイント高で2日連続の史上最高値更新だったが勢いに陰りも見られた。
ドル円は7月3日午前時点で107.50円を挟んでの小動きだが、7月1日午前高値からの下落により6月23日深夜と6月26日夜の安値を結んだ上昇トレンドの支持線から転落しており、戻り一巡による下落再開への懸念もある。米国での感染拡大が収まらずに経済活動再開の動きも再びストップし始めていること、香港を巡る米中対立等も懸念事項となっている。
【対ドルでのトルコリラは横ばいのまま】
対ドルでのトルコリラは6月後半から6.85リラを挟んでほぼ横ばいの動きにとどまっている。高値は6.86リラ台で、安値で6.84リラを割り込むところは買い戻されている。7月2日も6.858リラから6.841リラまでのレンジ内推移だった。トルコ金融当局による外国大手銀行への取引規制等により売買規模が縮小していることが影響しているが、当面は横ばいの動きが続くと思われるが、対ドルでほぼ横ばいのままとなっていてもトルコリラ円としてはクロス円全般の動き、特にドル円の動きと同調せざるを得ないため、ドル円が下落に転じればトルコリラ円も下落、ドル円が上昇ならトルコリラ円も上昇と割り切って考えてゆく。ただし、対ドルでの取引規制も新興国通貨全般が大きく動きだせばタガが外れて一挙に動き出す可能性もあると常に注意したい。
【トルコの感染増加数 千人超えが続くも安定的】
トルコの新型コロナウイルス感染者数は7月2日時点で20万2284人で前日から1186増、死者5167人で前日から17人増えた。6月初旬は日々の感染増加数が千人を切っていたが6月1日からの経済活動再開により6月12日以降は千人を超える状況が続いている。ただし6月15日に1562人増となって以降はそれ以下の水準で抑えられており、千人を超えているものの抑制の効いた状況にあるといえる。
新型コロナウイルスの世界的な感染拡大は続いている。7月3日朝時点の集計では、世界の感染者数は1097.7万人を超えて死者も52.2万人に達した。米国は7月2日の1日の増加数が5万7236人で、累計283.7万人に拡大した。世界2位のブラジルは149.6万人で前日から4万3489人増となった。ロシア(66.1万人)、インド(62.7万人)の他、南米及び中東での増加が目立つ。
【60分足一目均衡表・サイクル分析】
概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、6月23日深夜安値を起点として上昇してきたが、7月1日夜の下落で6月30日夜安値を割り込んだため、7月2日午前時点では7月1日午前高値を直近のサイクルトップとした弱気サイクル入りとした。またボトム形成期は7月1日夜から3日夜にかけての間と想定した。7月2日夕刻に15.63円まで安値を切り下げてからは新たな安値更新を回避して前回ボトムからも4日半を経過しているので、7月2日夕安値を直近のサイクルボトムと仮定し、底割れ回避のうちは7月6日午前から8日午前にかけての間への上昇余地ありとする。ただし、7月2日夕安値を割り込むところからは底割れによる新たな弱気サイクル入りと仮定して7月7日夕から9日夕にかけての間への下落を想定する。
60分足の一目均衡表では7月1日夜への下落で遅行スパンが悪化し、2日未明には先行スパンから転落した。7月2日夕安値の後は新たな安値更新を回避しているため遅行スパンは実線と交錯し始めているが、先行スパンから転落した状況は解消していない。このため、先行スパンを上抜けないうちは7月2日夕安値割れからの一段安を警戒し、7月2日夕安値割れからは遅行スパン悪化中の安値試し優先とする。上昇再開は先行スパン突破からとし、その際は遅行スパン好転中の高値試し優先とする。
60分足の相対力指数は7月1日夜から7月2日夕安値への下落に対して指数のボトムが切り上がる強気逆行が見られるため、40ポイント台を維持するうちは上昇余地ありとし、60ポイント超えからは上昇が勢い付くとみるが、40ポイントを再び割り込むところからは下げ再開とみて30ポイント以下を目指す下落を想定する。
以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、7月2日夕安値15.63円を下値支持線、15.70円を上値抵抗線とする。
(2)15.70円以下での推移中は一段安警戒とし、2日夕安値割れからは6月26日夜安値15.56円前後への下落を想定する。15.60円以下は反発注意とするが、15.63円以下での推移が続く場合は週明けも安値試しへ向かいやすいとみる。
(3)15.70円超えからは上昇再開とみて7月1日午前高値15.77円を目指す上昇を想定する。15.75円以上は反落注意としてダブルトップ形成を警戒するが、15.70円以上での推移なら週明けも高値試しを続けやすいと考える。
【当面の主な経済指標等の予定】
7月03日
16:00 6月消費者物価上昇率 前年比 (5月 11.39%、予想 12.25%)
16:00 6月消費者物価上昇率 前月比 (5月 1.36%、予想 0.80%)
16:00 6月生産者物価上昇率 前年比 (5月 5.53%、予想 6.39%)
16:00 6月生産者物価上昇率 前月比 (5月 1.54%、予想 0.90%)
7月10日
16:00 4月失業率 (3月 13.2%、予想 15.6%)
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