ドル円見通し 米雇用統計大幅改善でも円安進まず(20/7/3)

ドル円はいったん買われて22時に107.72円まで戻したものの勢いは続かず、7月3日未明にかけては107.50円を挟んだ小動きにとどまった。

ドル円見通し 米雇用統計大幅改善でも円安進まず(20/7/3)

ドル円見通し 米雇用統計大幅改善でも円安進まず

〇ドル円米雇用統計大幅改善に107.72まで戻したものの勢い続かず、未明にかけて107.50挟みの小動きに
〇米6月雇用統計では失業率が11.1%に低下、NFPも増加数は1939年以降で最大の伸び
〇米国の感染拡大が収まらず、経済活動再開の動きが再び止まり始めたことによる先行不透明感が重し
〇ドル円、107.30を上回るうちは上昇余地あり、107.72超えからは上昇再開で108.16を目指す上昇を想定
〇107.30割れからは新たな弱気サイクル入りとみて107.00前後への下落を想定する

【概況】

ドル円は6月23日深夜に106.06円まで下げて6月5日安値105.98円に迫ったものの底割れを回避し、両安値をダブルボトム型として戻しに入り7月1日午前には108.16円まで上昇してきた。しかし108円台を維持できずに失速した。7月1日夜のADP米民間部門雇用報告やISM製造業景況指数が良好な数字となったもののドル円の反応は鈍く、2日夕刻には107.30円まで安値を切り下げていた。
注目された米雇用統計は大幅に改善して株高が進んだが、ドル円はいったん買われて22時に107.72円まで戻したものの勢いは続かず、7月3日未明にかけては107.50円を挟んだ小動きにとどまった。

【米雇用統計は大幅改善だが戦後最悪の失業水準】

7月2日夜に発表された6月の米雇用統計では失業率が11.1%となり5月の13.3%から改善して市場予想の12.3%も下回った。また非農業部門就業者数は前月から480万人増となり5月の269.9万人増を上回る改善で市場予想の300万人増を上回った。増加数は1939年以降で最大となった。
雇用統計と同時に発表された週間新規失業保険申請件数は6月27日までの1週間で142.7万件となり前週から5.5万件減少したものの市場予想の135.5万件を上回った。また失業保険受給者数は6月20日までの1週間で1929万人となり前週から5万9000人増加して市場予想の1900万人も上回った。
米雇用統計は2か月連続の大幅な改善であり、コロナショックによる急激な失業増加からの改善が見られるが、依然としてリーマンショック後の失業率10.0%を上回っており、戦後最悪の状況は解消しておらず失業者も1900万人を超える状況にある。

米雇用統計発表から株式市場は上昇反応を見せ、NYダウは前日比92.39ドル高と上昇、ナスダック総合株価指数も前日比53.00ポイント高と上昇して終値としての史上最高値を2日連続で更新し、取引時間中の最高値も更新したが、大上昇という勢いではなかった印象だ。米国での感染拡大が収まらないこと、経済活動再開の動きが再び止まり始めたことにより先行き不透明感を抱えたままであることを反映したと思われる。このためドル円の動きも鈍いままとなったのではなかろうか。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・形成サイクルでは、6月23日深夜安値を起点とした上昇が続いていたが、7月1日午前高値から107.50円を割り込む反落となったために2日朝時点では1日午前高値を直近のサイクルトップとした弱気サイクル入りとした。またボトム形成期は7月1日夜から3日夜にかけての間と想定されるので既に反騰注意期とした。
7月2日夕刻へ安値を切り下げてから2日夜にいったん戻した。前回サイクルボトムの6月26日夜安値からも4日半を経過しているので、7月2日夕安値を割り込む場合は新たな弱気サイクル入りとするのを妥当とみて7月2日夕安値を直近のサイクルボトムとする。底割れ回避のうちは7月6日午前から8日午前にかけての間への上昇余地ありとするが、7月2日夕安値割れからは新たな弱気サイクル入りとして7月7日夕から9日夕にかけての間への下落を想定する。

60分足の一目均衡表では7月1日午前高値からの下落で遅行スパンが悪化し、2日未明には先行スパンから転落した。7月2日夜の反発が鈍かったために遅行スパンは実線と交錯し、先行スパンから転落した状況も解消していない。このため先行スパンを上抜き返せないうちは一段安余地ありとし、7月2日夕安値を割り込むところからは遅行スパン悪化中の安値試し優先とし、先行スパン突破からは上昇再開とみて遅行スパン好転中の高値試し優先とする。

60分足の相対力指数は、7月1日夜から2日夕にかけての安値更新に対して指数のボトムが切り上がる強気逆行を見せて上昇したが、60ポイント超えへ進めずにいる。40ポイント以上での推移中は上昇余地ありとし、60ポイント超えからは上昇に勢いがつくとみるが、40ポイント割れからは下げ再開とみて30ポイント割れを目指す下落を想定する。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、7月2日夕安値107.30円を下値支持線、7月2日夜高値107.72円を上値抵抗線とする。
(2)107.30円を上回るうちは上昇余地ありとし、107.72円超えからは上昇再開とみて7月1日午前高値108.16円を目指す上昇を想定する。108円以上は反落注意とし、ダブルトップ形成からの下落再開の可能性を警戒するが、107.70円以上での推移なら週明けも高値試しへ進みやすいとみる。
(3)107.30円割れからは新たな弱気サイクル入りとみて107.00円前後への下落を想定する。107円前後は買い戻しも入りやすいとみるが、107.30円以下での推移なら週明けも安値試しへ向かいやすいとみる。また107円を割り込む流れへ進む場合は6月23日深夜安値以降の上昇一巡による下げ再開とみて6月23日深夜安値106.06円を目指すと考える。

【当面の主な予定】

7/3(金)
休場 米国(独立記念日)
10:30 (豪) 5月 小売売上高 前月比 (4月 -17.7%、予想 -16.3%)
10:45 (中) 6月 財新サービス業PMI (5月 55.0)
16:55 (独) 6月 サービス業PMI改定値 (速報 45.8、予想 45.8)
17:00 (欧) 6月 サービス業PMI改定値 (速報 47.3、予想 47.3)
17:30 (英) 6月 サービス業PMI改定値 (速報 47.0、予想 47.0)

7/6(月)
15:00 (独) 5月 製造業新規受注 前月比 (4月 -25.8%)
15:00 (独) 5月 製造業新規受注 前年同月比 (4月 -36.6%)
18:00 (欧) 5月 小売売上高 前月比 (4月 -11.7%)
18:00 (欧) 5月 小売売上高 前年同月比 (4月 -19.6%)
22:45 (米) 6月 サービス業PMI改定値 (速報 46.7)
23:00 (米) 6月 ISM非製造業景況指数 (5月 45.4、予想 48.2)


注:ポイント要約は編集部

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