「米のコロナ感染第2波」めぐり一喜一憂か(週報6月第5週)

先週のドル/円は、ドル小じっかり。週のザラ場ベースでは5月安値105.99円に接近するなど、直近の戻り安値を更新する局面も見られたが、下値を攻め切れなかった。

「米のコロナ感染第2波」めぐり一喜一憂か(週報6月第5週)

「米のコロナ感染第2波」めぐり一喜一憂か

〇先週のドル円はTモバイル株売却の円転の思惑等で一時106.08まで下落
〇ただ、下値は攻めきれず107.45まで反発後107.20レベルで越週
〇今週も「第2波懸念」と「経済活動」をめぐる綱引き商状か
〇ドル/円予想レンジは、106.00-108.50

<< 先週の回顧 >>

先週のドル/円相場は、ドル小じっかり。週のザラ場ベースでは5月安値105.99円に接近するなど、直近の戻り安値を更新する局面も見られたが、下値を攻め切れなかった。

前週末にも、引き続き活発な北朝鮮による韓国への挑発を観測。一方、「新型コロナ第2波」への懸念が取り沙汰されるなか強硬開催されたトランプ米大統領の選挙集会も色々と話題に。また、最近の金融市場で様々な思惑を呼んでいたボルトン氏の暴露本について、米連邦裁判所は出版差し止めを認めず、そのまま発刊されることが明らかとなっている。

そうしたなか週明けのドル/円は、前週末のNYクローズよりやや円高の106.70-75円レベルで寄り付いたのち、わずかに買い進まれ107.20円台まで値を上げた。しかし、「ソフトバンクグループによる米携帯電話大手TモバイルUSの保有株売却にともなう大規模円転思惑」といった需給要因が取り沙汰されると、一気に1円を超える急反落、週間安値である106.08円まで下落している。これで勝負あり、下方向のリスクが高まったかに思われたが、ドルは翌日一転して急反発に転じると結果「行って来い」に。むしろ、一度下落したが故に反動が付いたのか、週初高値を超える107.45円を一時示現。週末NYは、やや小緩んだ107.20円前後で取引を終え、越週している。

一方、週間を通して注視されていた材料は、「朝鮮半島情勢」と「米国における新型コロナ第2波懸念」について。
前者は、朝鮮労働党統一戦線部の報道官から「南北合意は紙くずになった」、在ロシアの北朝鮮大使館からはさらに過激な「我々を脅迫するものは核ミサイルで滅亡する」とのコメントが発せられるなど、朝鮮半島情勢への警戒感が高まると為替市場でも波乱要因として注視されていた。ところが、そんな執拗なほど韓国への敵意を剥き出しにしてきた北朝鮮が、25日に「朝鮮人民軍が17日に表明した4つの軍事行動計画を保留」と発表し、突如矛先を収めたことが逆に思惑を呼ぶ。なお、それまで対北融和スタンスが目立っていた韓国の文大統領だが、参加した式典で、北朝鮮が軍事的行動を起こす可能性について警告を発するとともに、「国民の安全や生命を脅かす者に対しては誰であれ、断固とした対応を取る」と訴えたことが立ち位置の変更かと話題になっていたようだ。

対して後者は、20日に開催されたトランプ氏の選挙集会前に、スタッフ6人が新型コロナウイルス検査で陽性反応を示したことが明らかに。しかし、集会そのものは実施されたため、クラスターへの懸念が一時強く取り沙汰されていた。幸か不幸か、その後も同選挙集会におけるクラスター発生は聞かれていないが、週末にかけてカリフォルニア州の「ディズニーランドが再開延期」を公表、テキサス州知事も「州の段階的な経済再開を一時停止する」と表明するなど、「第2波」への警戒感が再び全米へと拡大している感も否めない。

<< 今週の見通し >>

先でも指摘したように、米国における「新型コロナ第2波」懸念が再び高まってきた感がうかがえるものの、クドローNEC委員長は「経済を再び閉鎖することはない」と発言するなど、その兼ね合いが難しい状況となっている。今週も引き続き、「第2波懸念」と「経済活動」をめぐる綱引き商状、金融市場も要人の発言や発表される経済指標の内容、そのほかによって一喜一憂する展開が続きそうだ。

材料的に見た場合、「貿易や香港情勢などを含めた米中の対立」や「北朝鮮情勢」、「英国情勢」、「イラン情勢」、「新型コロナウイルス」、「米大統領選」など、注目要因は依然として目白押し。そうしたなか、もっとも注意を要するのは、引き続き「米中対立」と「新型コロナの第2波」への警戒だろう。とくに後者は、現時点でクドロー氏やトランプ米大統領は制限措置の再開には否定的な見方をとっているが、それも程度次第か。全米レベルでウイルス感染が拡大した場合、制限措置の緩和を停止せざるを得ないといった声も聞かれるなど、関連ニュースには十分な注意を払いたい。また、2日には前月、前代未聞のポジティブサプライズを記録した米雇用統計が発表されることから、それを警戒する向きも多いという。

テクニカルに見た場合、日報では何度かレポートしているドル/円の「6月高値109.85円を中心としたシンメトリー(左右対称形)形成」−−は、まだ崩れていないだけでなく、ますますその様相を強めつつあるのかもしれない。
仮に、その見方が正しいとすれば、しばらくは次の動意に向けたエネルギー蓄積の動き。107-108円を中心とした揉み合いをたどったのちレンジを上放れ、110円も超えていくことになるのだが果たして如何に!?

今週は、6月の消費者信頼感指数や同ISM製造業景況指数、同雇用統計といった重要な米経済指標発表が相次ぐ予定となっている。とくに、そのなかでも前述したように、前月規格外の好数字を叩き出した雇用統計に対する注目度は極めて高い状況だ。なお、米雇用統計は通常「毎月第1金曜日に発表」されるが、今週は3日(金)が「米独立記念日」で休場となることから、発表が一日前倒しになる(つまり2日・木曜日発表)。お間違えないようにしていただきたい。

そんな今週のドル/円予想レンジは、106.00-108.50円。ドル高・円安については、まず先週高値107.45円、そして107.63円などをめぐる攻防に注目。しっかり抜ければ108円台乗せがみえてくることになり、移動平均の200日線が位置する108.40円レベルが意識されそうだ。
対するドル安・円高方向は、106.80円レベルにごく短期のサポートが位置しており、割り込めば先週安値の106.08円や5月安値105.99円がターゲットに。

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