トルコリラ円見通し 4か月サイクルの1月6日底を割り込まずにV字反騰(20/2/6)

クロス円での円安と株高によりトルコリラ円も1月6日安値17.94円割れを回避して2月3日から5日まで3連騰となっている。

トルコリラ円見通し 4か月サイクルの1月6日底を割り込まずにV字反騰(20/2/6)

【概況】

トルコリラ円は新型コロナウイルスの感染拡大報道を背景とした金融市場全般のリスク回避により2月3日朝安値18.07円まで大幅下落してきたが、2月3日の春節明けに上海総合株価指数が8%超の暴落で開始した後に反騰となり、1月31日に600ドルを超える大幅下落で年初来安値を更新していたNYダウが反騰入りし、2月4日から5日へといずれも連騰したことでリスク回避感が大幅に緩み、クロス円での円安と株高によりトルコリラ円も1月6日安値17.94円割れを回避して2月3日から5日まで3連騰となっている。
1月6日安値は概ね4か月周期の底打ちサイクルにおける前回のサイクルボトムであり、1月6日安値を割り込むと新たな4か月サイクルの下落局面として下げが加速しやすくなるところだったが、ひとまず底割れを回避しての反騰のため、1月6日底からの上昇基調を継続し、戻り高値を試す可能性が残ったと思われる。

上海総合株価指数は2月3日に前日比7.7%安の暴落となり、2月4日はさらに2%を超える続落で開始したものの反騰に転じ、2月5日も前日比1.25%高と続伸した。2月4日安値から2月5日高値までは5.8%の反騰率となった。
NYダウは1月31日に前日比603.41ドル安と大幅下落したが、2月3日に143.78ドル高、2月4日に407.82ドル高、2月5日も483.22ドル高となり、1月31日安値から5日の高値までは1139.36ドル高の大上昇となっている。NYダウは昨年9月12日から10月3日まで1563.27ドル安となってから反騰に転じて年末の史上最高値更新へ走ったが、今回の下落と反騰も当時に近い印象だ。
上海株反騰とNYダウの大幅連騰により、イスタンブール100株価指数も2月5日は前日比0.15%高となり2月3日から3連騰となった。NYダウの2月5日における終盤の大幅上昇分は反映されていないため、2月6日もダウが続伸するようだとイスタンブール100株価指数の上昇も加速しやすくなると思われる。

ドル/トルコリラは小動きで、1月30日高値で1月8日高値を上抜いた後は5.98リラを挟んだ高値圏の持ち合いに止まっている。株高によるリスクオン心理で新興国通貨への売り圧力が弱まってはいるが、米経済指標が良好でダウが大幅上昇したことが上値を抑えている。

【新型肺炎騒動、トルコ物資への需要拡大?】

新型コロナウイルスの感染拡大報道は続いている。2月6日朝時点では中国本土の死者数が564人、感染者数は2万8060人、感染疑いも2万4702人となっている。WHOは2月4日にパンデミックにあたらないとしているが、中国感染エリアでの交通・移動気勢が中国の経済活動を停滞させている。その影響は来月以降の経済統計等の数字で顕著となってゆくと思われるが、今のところトルコでの感染者は発生しておらず、逆にロシア等が中国からの入国規制を行っていることにより中国からの輸入が途絶え、トルコへ代替需要が発生しているとの報道もある。
トルコ紙の報道では、中国製品からの代替でトルコ製の電子部品、中国産からの代替で野菜や果物の輸出が拡大しているという。ロシアはトルコからのトマト輸入を20万トンに引き上げるという。今のところトルコには直接的なマイナス影響が出ていない印象だ。

【シリア情勢を引き続き注視】

2月3日にシリア北西部のイドリブ県でトルコ軍がシリアのアサド政権側から砲撃を受けて兵士ら8人が死亡し、トルコ軍が同日にシリア軍勢力に対して54か所を空爆した。両国の正規軍同士の大規模戦闘は稀であり両国の軍事衝突のエスカレートが懸念されている。
トルコのエルドアン大統領はシリアのアサド軍を支援するロシアを非難したが、トルコ政府は全面戦争回避へ向けてロシアと協議に入ったとの報道もある。しかし2月5日時点では、チャウショール・トルコ外相が「シリアへの報復攻撃の続きがある」と述べるなど緊張は継続している。同外相はロシアが「アサド政権を完全にはコントロールできない」としていることについても正当な口実とみなさないとも述べている。引き続きこの問題は注視する必要があるだろう。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、2月4日夜の反騰で1月31日午前高値を上抜いたため、2月5日午前時点では1月27日朝安値から5日目となる2月3日安値を直近のサイクルボトムとした強気サイクル入りとした。また今回のトップ形成期は1月29日朝高値を基準とすれば2月5日朝にかけての間と想定されるので既に反落注意期にあるとしたが、18.20円以上での推移中はサイクルトップ形成の延長入りによる上昇余地があるとした。
2月5日深夜に18.36円まで続伸したが、その後は新たな高値更新へ進めずにいる。
2月5日夕安値18.24円を上回る内はサイクルトップ形成の延長入りによる上昇余地ありとするが、18.30円割れからは弱気転換注意とし、5日夕安値割れからは弱気サイクル入りとして2月6日の日中から10日朝にかけての間への下落を想定する。ただしいったん弱気サイクル入りした後の反騰で2月3日以降の高値を更新するところからは新たな強気サイクル入りとして2月10日から12日深夜にかけての間への上昇を想定する。

60分足の一目均衡表では2月4日の上昇で遅行スパンが好転し、先行スパンを突破した。その後も両スパン揃っての好転を維持しているので、遅行スパン好転中は高値試し優先とするが、新たな高値更新へ進めないと遅行スパンが悪化しやすい位置にあると注意し、遅行スパン悪化からは安値試し優先とする。その際は先行スパン下限が下値支持線になりやすいとみるが、先行スパンから転落するような下落が発生する場合はその後の下げがさらに厳しくなり2月3日安値割れへ向かう可能性も高まると注意する。

60分足の相対力指数は2月5日未明高値から5日深夜高値への上昇に際して指数のピークが切り下がる弱気逆行を見せている。このため50ポイント以上での推移中は上昇余地ありとするが、50ポイント割れからは下落局面入りとして30ポイント台への下落を想定する。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、2月5日夕安値18.24円を下値支持線、2月5日深夜高値18.36円を上値抵抗線とする。
(2)18.24円以上での推移中は高値更新余地ありとし、5日深夜高値超えからは18.40円台への上昇を想定する。18.45円以上は反落警戒とするが18.30円以上での推移が続く場合は7日も高値を試す余地ありとみる。
(3)18.30円割れからは弱気転換注意とし、18.24円割れからは弱気サイクル入りとして18.15円前後への下落を想定する。18.15円前後では押し目買いも入りやすいとみるが、株安再燃で急落する場合は2月3日安値18.07円試しまで下値目処を引き下げる。

【当面の主な経済指標等の予定】

2月10日
 16:00 11月失業率 (10月 13.4%)
2月13日
 16:00 12月鉱工業生産 前年比 (11月 5.1%)
 16:00 12月小売売上高 前月比 (11月 1.7%)
 16:00 12月小売売上高 前年比 (11月 8.5%)
2月14日
 16:00 12月経常収支 (11月 -5億1800万ドル)
2月19日
 20:00 トルコ中銀政策金利 (現行 11.25%。予想 11.00%)

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