4週間ぶり安値圏から反発するも戻りは鈍い。反落リスクに警戒か
今週のレビュー(1/6−1/10)
今週の南アフリカランド円相場は、週初7.55円で寄り付いた後、@米国によるイラン革命防衛隊・ソレイマニ司令官殺害に対するイラン側の報復開始報道、A中東情勢の緊迫化を受けた地政学的リスクの高まり(リスク回避ムードの高まり)が重石となり、週央にかけて、12/12以来、約4週間ぶり安値となる7.45円まで急落しました。しかし、200日移動平均線に続落を阻まれると、Bトランプ米大統領による「軍事行使を望まない」との発言(演説の中で平和的解決の可能性を滲ませたことから地政学的リスクが後退)や、Cリスク回避ムードの後退を受けたグローバルな株高、D中国の劉鶴副首相が米中第1段階合意の署名を目的に来週13日から15日に訪米するとの発表が支援材料となり、翌1/9には、ショートカバー主導で高値7.75円まで反発しました。
もっとも、週末にかけては、E世界銀行が南アフリカの2020年・経済成長率見通しを下方修正(1.5%→0.9%)したことや、F南ア・11月製造業生産高(結果▲1.5%、予想▲0.1%)が冴えない結果となったこと、G国営電力会社エスコムのマブサ会長が辞任するとの報道が重石となり、7.60円台まで押し戻される展開に。本稿執筆時点(日本時間5時45分現在)では、7.62円近辺で推移しております。
来週の見通し(1/13−1/17)
南アフリカランド円相場は、12/27に記録した約8ヶ月ぶり高値7.83円をトップに反落に転じると、今週半ばにかけて、一時7.45円まで急落しました。週末にかけて持ち直すも戻りは鈍く、現在は7.62円付近で推移しております。ボリンジャーミッドバンドの上抜けに失敗したこと、一目均衡表転換線より下側で越週する可能性が高いこと等を考慮すれば、テクニカル的に見て「地合いは弱い」と判断できます。
ファンダメンタルズ的に見ても、@南アフリカ経済を巡る先行き不透明感(計画停電の深刻な影響など)や、A国営電力会社エスコムの負債問題(=政府の財政悪化懸念→ムーディーズによる南ア国債の格下げリスク)、B米中貿易摩擦の再燃リスク(米中協議はこれまでも楽観と悲観で二転三転。来週15日の第1段階合意署名は確実視されているものの、第2段階合意は米大統領選以降となる可能性が高まりつつある)、Cムーディーズによる来年3月審査での格下げリスク(=来月2月に予定されている南ア・予算発表で財政健全化見通しが示されなかった場合、翌3月に格下げが行われるリスクあり。格下げとなればWGBIからの除外を通じて、南アフリカ債券市場から大規模な資金流出が引き起こされる恐れ)、D中東を巡る地政学的リスクなど、不安材料は山積みです。
以上の通り、南アフリカランド円相場は、テクニカル的にも、ファンダメンタルズ的にも、「下落リスク」が警戒されます。ムーディーズによる格下げリスクが燻る中で、上値余地は乏しく、来週は南アフリカランド円相場の反落をメインシナリオとして予想いたします。尚、南アフリカ中銀(SARB)は来週16日の決定会合で政策金利(6.5%)を据え置く見通しです。この為。市場の焦点はクガニャゴ総裁が記者会見で近い将来の利下げの選択肢を滲ませるか否かに移っております。
来週の予想レンジ(ZARJPY):7.45ー7.75
南アフリカランド円日足
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