今週のレビュー(12/30−1/3)
今週のトルコリラ円相場は、週初18.41円で寄り付いた後、直後に高値18.42円まで上昇しました。しかし、一目均衡表転換線に続伸を阻まれると、@年明け早々のフラッシュクラッシュを警戒した「円買い」圧力や、Aリビアを巡る地政学的リスク(※トルコ政府は1/2、リビアの国民合意政府支援を目的に同国への派兵を承認。トランプ米大統領はこれに反対するなど、米トルコ関係の悪化懸念が再燃)、B中東情勢の緊迫化(※米国防省は1/3、イラン革命防衛隊のソレイマニ司令官を殺害したと発表。これを受けてイランの最高指導者ハメネイ師は米国への報復措置を表明)、C上記Bを受けた原油価格の急騰(※トルコリラと原油価格は逆相関性が強い)が重石となり、週末にかけては、8/27以来、約4ヶ月ぶり安値となる18.05円まで急落しました。引けにかけて持ち直すも上値は重く、本稿執筆時点(日本時間5時00分現在)では、18.08円近辺で推移しております。
来週の見通し(1/6−1/10)
今週のトルコリラ円相場は、週を通して「下値」を切り下げ、週末にかけて、約4カ月ぶり安値(18.05円)を更新しました。この間、5/9安値17.54円と8/26安値17.88円を結んだ長期サポートラインを割り込んだ他、強い売りシグナルを表す一目均衡表・三役逆転も継続するなど、テクニカル的に見て「地合いの弱さ」を意識させるチャート形状となっております。オシレータ系インジケータに過熱感(売られ過ぎ感)が見られるものの、トレンドが明確に出ている状況下、安易な逆張りには注意が必要と考えられます。
また、ファンダメンルズ的に見ても、@トルコ経済を巡る先行き不透明感や、A外貨準備急減を受けたリラ安防衛能力への不信感、Bトルコ中銀の追加利下げ観測(※市場やエルドアン大統領による利下げ圧力は根強く、トルコ中銀は1/16の金融政策決定会合で5会合連続の追加利下げに踏み切るとの見方が広がりつつある。今週発表されたトルコの12月消費者物価指数及び生産者物価指数がインフレ加速を示したことで、仮にトルコ中銀が次回会合で利下げに踏み切った場合は、トルコの実質金利の低下を通じて、トルコリラ売りに拍車がかかるシナリオも想定される)、C経済的な結び付きの強いドイツ経済の先行き不透明感、Dシリアを巡る地政学的リスク、Eロシアからの武器購入やジェノサイド、リビア派兵を巡る米国やNATO同盟国との関係悪化懸念、F中東情勢の緊迫化(米イラン関係の悪化)を受けた原油価格の上昇など、不安材料は山積みです。
以上の通り、トルコリラ円相場は、テクニカル的にも、ファンダメンタルズ的にも、「下落リスク」が警戒されます。米トルコ関係を巡るヘッドラインや、原油価格の動向、世界的なリスクセンチメントを睨みながらも、トルコリラ円相場の下落をメインシナリオとして予想いたします(目先は8/26安値17.88円を試す展開を想定)。
来週の予想レンジ(TRYJPY):17.70ー18.30
以上の通り、トルコリラ円相場は、テクニカル的にも、ファンダメンタルズ的にも、「下落リスク」が警戒されます。米トルコ関係を巡るヘッドラインや、原油価格の動向、世界的なリスクセンチメントを睨みながらも、トルコリラ円相場の下落をメインシナリオとして予想いたします(目先は8/26安値17.88円を試す展開を想定)。
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