トルコリラ円見通し 米雇用統計から一段安、さらに週明けも続落、持ち合い下放れ感強まる(19/12/10)

ドル/トルコリラでのドル高リラ安が9日深夜まで続いたためにトルコリラ円は18.70円を割り込んで10日早朝には18.64円まで安値を切り下げた。

トルコリラ円見通し 米雇用統計から一段安、さらに週明けも続落、持ち合い下放れ感強まる(19/12/10)

【概況】

トルコリラ円は12月2日午後高値で19.08円を付けて10月31日未明高値と同値としてから反落となり、12月3日深夜には18.83円、4日夕刻にも同値の安値を付けた後は下げ渋って18.90円を挟んでの狭いレンジの持ち合いが続いていた。しかし12月6日の米雇用統計が予想以上の良好さだったことからドルが全面高となり、ドル/トルコリラでリラ安が進行する一方でドル円ではいったんドル高円安へ反応したものの戻りは短命に終わって失速したため、トルコリラ円は深夜からの円高とドル高リラ安継続の両面から売られて7日未明には18.73円へ下落した。

10月末以降は18.80円前後を下値支持線、19円台に乗せても維持できない範囲での持ち合いが続き、その間の最高値は10月31日未明の19.08円、最安値は11月15日未明の18.77円だったが、12月7日未明への下落で11月15日安値を割り込み持ち合い下放れに入った。
12月9日もドル円は軟調推移で午後には12月4日安値108.41円をわずかに割り込む108.40円まで下落、その後にやや戻したものの勢いに欠ける中、ドル/トルコリラでのドル高リラ安が9日深夜まで続いたためにトルコリラ円は18.70円を割り込んで10日早朝には18.64円まで安値を切り下げた。

11月15日安値を一時的に割り込んでも早々に切り返していれば持ち合い相場の下限の徳俵に足が残って切り返す可能性もあったところだが、週明けへ続落してきたため、10月後半からの持ち合いからは転落したと思われる。
また8月26日安値から10月1日高値へ戻したところからの持ち合いも含めれば、既に指摘通りに週足、日足レベルでのボリンジャーバンドの収縮が持ち合いの煮詰まりを示し、その持ち合いから離れることで煮詰まっていたストレス解放となって大きく動きやすい状況に入ってくる。ボリンジャーバンドは週足レベルはまだ収縮したままの横ばいだが、日足では収縮から膨張に転じ始めている。
また概ね4か月周期の高値・安値形成サイクルにおいても7月31日高値から4か月目となる10月31日未明と12月2日の両高値によるダブルトップでピークを付けて下落期に入りやすい状況にある。

【12月12日、4回連続の利下げあるか?】

トルコのエルドアン大統領は12月9日、2020年には1桁台の金利とインフレ率を達成するとし、トルコへの投資拡大の道が開かれると同国営放送TRTハベルのインタビューで述べた。トルコ中銀は12月12日に金融政策決定会合を行うが、7月会合から3回連続で合計10%の利下げを実施しており、今回の会合でも現行の14%から1.50%程度の追加利下げが決定されるのではないかと市場は予想している。
トルコの利下げ及びそれと同調した長期債利回りの低下は、金利面ではトルコリラ安要因ともなるが、通貨危機を乗り越えての安定化と政府・中銀の自信の表れと受け止めればトルコリラへの売り圧力となるのは限定的と思われる。

ただし、トルコの独自要因ではなく、当面は米中問題、米連銀やECBの金融政策、中国や欧米の景気指標による金融市場全般でリスクオンとなるかリスクオフとなるのかに大きく左右される。またその際は、ドルストレートでのドル高とクロス円での円高が競合する可能性もあり、円高が進む一方でドル高リラ安が続く可能性もあると注意したい。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

トルコリラ円60分足

概ね3日から5日周期の短期的な高値安値形成サイクルでは、12月3日深夜安値と4日夕刻安値をダブル底としていたが、6日夜に底割れしたために12月5日早朝高値を直近のサイクルトップとして弱気サイクル入りした。ボトム形成期は4日夕安値を基準とすれば9日夕から11日夕にかけての間と想定されるので既にボトムを付けての反騰注意期にある。18.75円以下での推移中は10日夜から11日にかけての一段安余地ありとするが、18.75円超えからはいったん強気サイクル入りとして10日午後から12日朝にかけての間への上昇を想定する。ただし12月2日午後高値から12月5日早朝高値へと高値を切り下げてきた流れの範囲として18.80円台では戻り売りにつかまりやすいとみる。またいったん強気サイクル入りした後に安値更新となる場合は新たな弱気サイクル入りとして13日から17日にかけての間への下落が想定される。

60分足の一目均衡表では6日夜の下落で遅行スパンが悪化、先行スパンからも大きく転落している。このため遅行スパン悪化中は安値試し優先とするが、遅行スパン好転からは強気サイクル入りとみて先行スパン下限から上限を試す上昇を想定する。ただしいったん遅行スパンが好転した後に再び悪化するところからは下げ再開と一段安警戒とする。

60分足の相対力指数は9日夕刻から10日早朝への安値更新に対して指数のボトムが切り上がる強気逆行型が見られるため、30ポイントを再び割り込まないうちは上昇余地ありとするが、50ポイント台では戻り売りにつかまりやすいとみる。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
中勢は10月後半からの持ち合い下放れによる下落基調で推移しやすいと見て、短期的に戻すところは戻り売りにつかまりやすいと考える。
(1)当初、12月10日早朝安値18.64円を下値支持線、18.75円を上値抵抗線とみる。
(2)18.75円以下での推移中は一段安警戒とし、12月10日早朝安値割れからは18.50円台後半試しを想定する。18.55円以下は反騰注意とするが、18.70円以下での推移なら11日朝にかけても安値を試しやすいとみる。
(3)18.75円超えからはいったん戻りを試す動きとみて18.85円から18.90円手前を試すと見る。18.85円以上は反落注意とするが、18.75円を超えた後も18.70円以上での推移なら11日朝にかけて高値試しを続けやすいとみる。

【当面の主な経済指標等の予定】

12月11日
16:00 10月経常収支 (9月 24.8億ドル、予想 16.0億ドル)
12月12日
20:00 トルコ中銀 政策金利 (現行 14.00%、予想 12.50%)
12月13日
16:00 10月鉱工業生産 前年同月比 (9月 3.4%)
12月16日
16:00 9月失業率 (8月 14.0%)
16:00 10月小売売上高 前月比 (9月 0.6%)
16:00 10月小売売上高 前年比 (9月 2.7%)

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