豪州中銀政策金利議事要旨(2019年12月3日公表済)
豪州中銀はエコノミストの予想通りにキャッシュレートを据え置き(0.75%)決定としました。
以下は豪州中銀の金融政策の議事要旨です。
(議事要旨)
本日の会合で、委員会はキャッシュレートを0.75%のまま据え置きを決定した。
世界経済の見通しは程よいところにいる。リスクは依然として下方に傾いていますが、これらリスクの一部は最近下がってきている。米国と中国の貿易・テクノロジー紛争は、これら不確実性のために国際貿易の流れや企業支出計画縮小として企業投資に影響を与え続けている。同時に、ほとんどの先進国では、失業率は低く賃金の伸びは回復しているが、インフレは依然低いままである。中国では、当局が金融システムのリスクに対処し続けながら経済を支援するための措置を講じている。
金利は世界中で非常に低く、幾つかの中央銀行はここ数ヶ月、下降リスクと抑制されたインフレに対応して金融政策を緩和した。更なる金融緩和期待は全般的に縮小された。金融市場のセンチメントは改善を続け、豪州を含めて長期国債利回りは多くの国で歴史的に低い水準である。企業や家計の借入金利は歴史的に低い。豪州ドルはここ最近レンジの下限で推移している。
昨年後半の足踏み状態の後、豪州経済は緩やかな転換期に達した。成長の中央シナリオは2021年には約3%まで緩やかな成長を見込んでいる。低水準の金利、減税、インフラへの継続的支出、住宅価格の上昇、そして資源関連部門の明るい見通しが成長を全て支えている。主要な国内の不確実性は消費の見通しであり、消費支出に重きをなす可処分所得のおだやかな伸びである。他の不確実性の要因には干ばつの影響と住宅建設サイクルの進展具合である。
失業率はここ数ヶ月5.25%で安定している。暫くはこの水準で推移することが予想される。その後は2021年に5%近くまで徐々に下がって行くと予想している。賃金の伸びは低く、暫くの間は現状の割合で推移すると予想している。更なる賃金の伸びは歓迎すべきことであり、インフレが中銀目標の2〜3%に収まるには必要なことである。纏めると、最近の結果は、豪州経済がより低い失業率を維持することを示唆している。
インフレは上昇が予想されるが、それは徐々に増加すると見られる。インフレやコアインフレは2020年と2021年には2%に近くづくと予想している。
中古住宅市場が更に変化しつつある兆候がある。とりわけシドニーとメルボルンである。またその他の幾つかの市場価格も最近上昇した。対照的に、新築住居活動は依然として下がっている。住宅借入の伸びも依然低い。(住宅関連以下略)
今年行った金融政策の緩和は豪州の雇用や収入の伸び、あるいはインフレの中期目標レンジへの回帰を下支えしている。より低いキャッシュレートは為替の下方圧力を与える。その為替は様々な企業の活動を支えている。それはまた資産価格を上げ、時に居住者建設を含めた支出を増加させる。より低い住宅金利は家計の可処分所得を増加させる。やがて家計支出も押し上げられる。
これらの低金利の影響と金融政策の伝播面での長期的かつ変動的なラグ(遅れ)を考慮し、委員会は労働市場を含む今後の進展を注視しながら、今回の会合でキャッシュレートを据え置くことを決めた。
委員会はまた世界的及び国内的要因により、更なる長期間の低金利が完全雇用を達成し、インフレ目標を達成する上で豪州には必要であることを合意した。委員会は労働市場を含めて今後の進展を注視し、もし経済の持続的成長、完全雇用、あるいはインフレ目標達成のために、一段の金融緩和が必要とあれば行う用意がある。
(以上)
(注)本文はあくまで英文の一部を訳したものですので、和訳はあくまで便宜的なものとしてご利用頂き、適宜、英語の原文をご参照して頂きますようお願いします。
内容は前回11月の金融政策時の要旨と大差なく、現状の経済は予想通りであり、今後の進展を見守る一方で、状況次第では追加緩和もあり得るとしています。引き続き明るい兆しが見えてきたことにも言及しています。12月、1月の経済指標が中銀予想を上回る様であれば2月利下げ予想が変わっていく可能性もあります。
(2019年12月3日15時30分、1豪ドル=0.6846米ドル)
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