来週は南アフリカの重要イベント目白押し。南アCPIとSARBに注目
今週のレビュー(11/11−11/15)
今週の南アフリカランド円相場は、週初7.35円で寄り付くも、@ムーディーズによる据え置き決定後(11/1)の「安堵のランド買い」基調に一服感がみられると、A国営電力会社エスコムによる計画停電や、B香港デモ激化の報道、C米中協議を巡る先行き不透明感、D上記BCを受けたグローバルなリスク回避ムード、E南ア・9月小売売上高(結果0.2%、予想1.9%)の冴えない結果が重石となり、週央にかけては、11/4以来、約2週間ぶり安値となる7.24円まで下げ幅を広げました。しかし、一目均衡表基準線や一目均衡表雲上限に続落を阻まれると、週後半にかけて持ち直す展開に。クドロー米国家経済会議(NEC)委員長による「米中合意は近い」との発言が、「米中合意期待再燃→株高(米主要株価指数は市場最高値更新)」の動きに波及する中、週末にかけては、約1週間ぶり高値7.42円まで上昇しました。引けにかけて小反落するも下値は堅く、結局7.39円前後での越週となっております。
来週の見通し(11/18−11/22)
今週の南アフリカランド円相場は、週央にかけて下落するも、一目均衡表基準線や、一目均衡表雲上限に続落を阻まれる形で反発に転じました。週末にかけては、レジスタンスとして意識されていた一目均衡表転換線や、ボリンジャーミッドバンドを上抜けするなど、テクニカル的に見て「力強さ」が意識されるチャート形状となりつつあります。
しかし、ファンダメンタルズ的に見ると、@南アフリカを巡る景気減速懸念(=11/5の南ア・消費者信頼感指数が大幅に悪化した他、11/13の南ア・小売売上高も市場予想を大幅に下回る冴えない結果)や、A国営電力会社エスコムの負債問題(=政府の財政悪化懸念を想起させることから、ムーディーズは11/5にエスコム社の格付けをB2からB3へ一段と引き下げ。計画停電リスクも残存)、B米中リスク再燃を受けた南アフリカ最大の貿易相手国「中国」の景気下振れ懸念、Cムーディーズによる次回3月の格下げリスク(=2020年2月に予定されている南ア予算発表で財政健全化見通しが示されなかった場合は、翌3月に格下げが行われる可能性大。格下げとなればWGBIから除外されることで、南アフリカ債券市場から大規模な資金流出が引き起こされるリスクあり)など、不安材料は山積みです。
以上の通り、南アフリカランド・円相場は、テクニカル的に「力強さ」を見せつつも、ファンダメンタルズ的な「弱さ」が続伸を阻む展開が続くと予想されます。ムーディーズによる格付け据え置きは問題の先送りに過ぎず、市場の関心は既に「次回3月の格下げの有無」に移りつつあります。エスコムを巡る負債問題や、政府の財政悪化懸念、米中リスク再燃など、不安材料目白押しの中、南アフリカランドを積極的に買っていく展開は想定しづらく、当方では引き続き、南アフリカランド円相場の下落をメインシナリオとして予想いたします。尚、来週は、11/20の南ア・10月消費者物価指数と、11/21の南ア・金融政策決定会合(SARB)に注目が集まります(市場予想は6.50%の据え置き予想)。11/20のCPIでインフレの高止まりが示されれば、金融緩和期待の後退を通じて、南アフリカランド売りに繋がる恐れもあり、注意が必要です。
来週の予想レンジ ZARJPY 7.150ー7.550
ZAR円日足
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