トルコリラ週報 『シリア情勢一服で主体性に欠ける展開。来週は米・土首脳会談がメインイベント』(11/9)

今週のトルコリラ円相場は、週を通して横ばい推移が継続しました。

トルコリラ週報 『シリア情勢一服で主体性に欠ける展開。来週は米・土首脳会談がメインイベント』(11/9)

シリア情勢一服で主体性に欠ける展開。来週は米・土首脳会談がメインイベント

今週のレビュー(11/4−11/8)

今週のトルコリラ円相場は、週初18.95円で寄り付いた後、トルコ・10月消費者物価指数(結果8.55%、予想8.60%、前回9.26%)の落ち着き(2016年12月以来の低水準)を好感する形で、一時19.08円まで上昇しました。しかし、「インフレの落ち着き→トルコ中銀による追加利下げ観測再燃→リラ売り」の流れが強まると伸び悩み、週後半にかけては一時18.85円まで下落する場面も見られました。もっとも、その後は、新規材料に乏しい中、方向感見出せず、本稿執筆時点(日本時間5時25分現在)では、18.94円近辺で推移しております。尚、トランプ米大統領とエルドアン土大統領は11/13に米ホワイトハウスで会談を行うことが決定しましたが、市場の反応は限定的となっております。

来週の見通し(11/11−11/15)

今週のトルコリラ円相場は、週を通して横ばい推移が継続しました。週間高値と週間安値の差が僅か0.23円に留まるなど、主体性に欠ける値動きが続いております。@先週10/31に記録した高値19.12円に届かなかったこと、トップサイドに、A10/1高値19.17円や、B200日移動平均線19.18円など主要チャートポイントを複数控えていること等を考慮すれば、上値余地は乏しい(=19円台前半では戻り売りが強まる)と考えらえます。但し、一目均衡表雲上限(18.79円)は死守されており、また、強い買いシグナルを表す三役好転も継続中であることから、上昇トレンドの途中で見られる「踊り場」と捉えることも出来ます。200日移動平均線を先に突破するのか、或いは一目均衡表雲上限を割り込むのかを見極める必要性がありそうです。

一方、ファンダメンルズ的に見ると、@トルコ経済を巡る先行き不透明感や、A外貨準備急減を受けたリラ安防衛能力への不信感(リラ買い為替介入の持続性への懸念)、Bトルコ中銀の追加利下げ観測(7月会合及び、9月会合時は「利下げ→リラ買い」の反応でしたが、先日発表された10月会合時は「利下げ→リラ売り」で反応)、Cエルドアン大統領の求心力低下、D経済的な結び付きの強いドイツ経済の先行き不透明感、Dロシアからの武器購入を巡る対米国・対NATO同盟国との関係悪化懸念など、不安材料は山積みです。

上記Cについては、11/12のドイツ・11月ZEW景況感調査、11/14のドイツ・第3四半期GDP速報に注目が集まります。特に後者が2四半期連続のマイナス成長(=テクニカルリセッション入り)となれば、ドイツ経済の悲観的な見方→経済的な結びつきの強いトルコ経済への波及リスク→リラ売り」のシナリオが想定されます。また、上記Dについては、11/13に予定されているトランプ米大統領とのトルコ・米首脳会談が注目されます。シリア情勢や、ロシア製ミサイルについて話し合われる公算が大きく、米・トルコ関係の悪化を想起させるヘッドラインが見られれば、リラ売りに繋がる恐れもあり、警戒が必要です。

以上の通り、トルコリラ円相場は、足元方向感を見出しづらい時間帯が続いていますが、ファンダメンタルズ的に見ると、一巡後の反落が予想されます。米中を巡るヘッドラインが二転三転していることも、ドル円の伸び悩みを通じてトルコリラ円の上値を抑制しそうです(トランプ米大統領が中国商務省の関税廃止合意発言を否定した為)。来週は、11/12のトルコ・9月経常収支やドイツ・11月ZEW景況感調査、11/13のトルコ・米首脳会談、11/14のトルコ・9月鉱工業生産やドイツ・第3四半期GDP速報、11/15のトルコ・8月失業率を睨みながらも、トルコリラ円相場の下落をメインシナリオとして予想いたします。

来週の予想レンジ TRYJPY 18.65ー19.25

トルコ円日足

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