エスコムの計画停電が重石。来週は南ア消費者物価指数がメインイベント
今週のレビュー(10/14−10/18)
今週の南アフリカランド・円(ZARJPY)相場は、週初7.322円で寄り付いた後、@南ア・8月小売売上高(結果1.1%、予想1.7%)の冴えない結果や、A国営電力会社エスコム(Eskom)による計画停電発表(今年、2月、3月に続いて3回目)を嫌気する形で、週央にかけて、週間安値7.217円まで下落しました。しかし、一目均衡表基準線(7.220円)をバックに下げ渋ると、その後は、B米中協議を巡る進展期待(10/11に米中が部分合意に至ったこと)や、C英合意なき離脱リスクの後退(英国政府と欧州連合が離脱協定案に合意し、EU27カ国の首脳が全会一致で承認)が、グローバルなリスク選好ムードを通じて南アフリカランドを下支えし、週後半にかけて、約1週間ぶり高値となる7.371円まで上昇しました。引けにかけて小反落するも下値は堅く、7.341円近辺での越週となっております。
来週の見通し(10/21−10/25)
南アフリカランド・円相場は、10/8に記録した安値6.980円をボトムに反発に転じると、約1ヶ月ぶり高値圏での底堅い動きが続いております。この間、一目均衡表雲下限や、一目均衡表転換線、ボリンジャーミッドバンド、一目均衡表基準線、7/23高値7.909円と9/13高値7.459円を結んだレジスタンスライン、一目均衡表雲上限を軒並み突破するなど、テクニカル的にみて、「上昇リスク」を意識させるチャート形状となっております。9/13高値7.459円を突破できれば、本年8月以降の「下落トレンド」が終焉すると共に、「上昇トレンド」への転換も期待されます。
但し、ファンダメンタルズ的に見ると、@南アフリカ経済を巡る減速懸念や、A国営電力会社エスコムの負債問題(=政府の財政悪化懸念)、B米中対立激化を通じた南アフリカ最大の貿易相手国「中国」の景気下触れ懸念、C大手格付け機関の中で唯一投資適格級を付与しているムーディーズによる格下げリスクなど、不安材料は山積みです。今週は米中部分合意を経て上記Bのリスクが幾分後退しましたが、まだまだ油断は禁物です(完全合意では無く、不確実性が燻る為)。また、上記@ACについても、今般発表されたエスコムによる計画停電実施→南アフリカ経済へのネガティブな影響→格下げリスク→南アフリカランド売りの流れが警戒されます。
以上の通り、南アフリカランド・円相場は、テクニカル的に持ち直しの兆しが見られるものの、ファンダメンタルズ的な弱さが続伸を阻むと予想されます。事実今週も、米中合意や英合意なき離脱リスクの後退といった好材料が出たにも関わらず、先週記録した直近高値(10/11高値7.382円)を突破するには至りませんでした。
尚、来週は10/23に予定されている南ア・9月消費者物価指数に注目が集まります。物価上昇率(インフレ)の高止まりが確認されれば、南アフリカ中銀による利下げ期待が後退し、株安→南アランド売りの流れが強まるリスクも想定されます。11/1に迫るムーディーズによる定例格付け見直しを前に、積極的に上値を追い辛い状況でもあり、来週は南アフリカランド円相場の反落リスクを警戒いたします。
来週の予想レンジ ZARJPY 7.000ー7.500
南アランド円日足
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今週は南ア関連では小売売上高程度で目立った材料がありません。
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