ユーロドル乱高下 ECBの景気刺激策に一時年初来安値に肉薄
注目されたECB(欧州中銀)理事会の政策発表でECBは市場予想通りに中銀への預金金利を-0.5%に引き下げ、また、昨年末で終了した量的緩和策を11/1に再開、国債等の買い入れ額を月200億ユーロとすることを明らかにしました。声明文ではフォワードガイダンス部分に前回あった、理事会が政策金利を現状またはそれ以下とする期間を「少なくとも2020年前半まで」の文言が削除され、インフレ目標を達成するまでと置き換えられました。加えて長期リファイナンスオペ(TLTRO)の条件を改善、超過準備の一部のマイナス金利適用を免除するなど銀行に対する配慮も見せ、ほぼ予想された景気刺激策を網羅してきた形です。
これに対し為替市場は直後には預金金利引き下げが予想通りだったことへの失望から1.1069まで上昇しましたが、緩和政策の全部盛り込みが確認されたことで1.109台に急落。ドラギ総裁の記者会見が始まると景気の先行きに対するより悲観的な見方と、「あらゆる政策手段を用いる用意がある」との発言に、ユーロドルはさらに値を下げて一時年初来安値にあと1pipsに迫る1.0927の安値をつけました。
しかしその後は量的緩和策の債券買い入れ上限金額が予想ほどではなかったことや、ECBの金利引き下げを大袈裟に讃えたトランプ大統領の来週行われるFRBに対する反応への思惑などで、ユーロの買戻しとドル売りが進み、ECB政策発表直後の高値1.1069に面合わせする非常に荒い値動きとなっています。
21:30に発表された米CPIが前年比で+1.7%と予想を下回ったこともドルの頭を重くしています。
テクニカルにはユーロドルは短時間に下は年初来安値、上は21日線を突き抜けて基準線に迫るなど、想定された値幅いっぱいに取引された形ですが24:00時点では1.1030-35レベルで21日線と転換線の間の最近の定位置に戻ってきています。
上下をそれぞれ試したことでECBの金融政策は材料としては消化され、市場の関心は来週のFOMCへ次第にシフトするものと思われます。ユーロドルもここから仕切り直しとなりそうです。
ユーロドル5分足
オーダー/ポジション状況
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