トルコ中銀・金融政策決定会合に注目。大幅利下げならリラ売り再開の恐れも
今週のレビュー(9/2−9/6)
今週のトルコリラ・円相場(TRYJPY)は、週初18.223円で寄り付いた後、早々に安値となる18.119円まで軟化しました。しかし、8/29安値18.122円をバックに下げ渋ると、@トルコ・第2四半期GDP(結果▲1.5%、予想▲2.0%)が市場予想を上回ったこと(※但し3四半期連続のマイナス成長)や、Aトルコ・8月消費者物価指数(結果15.01%、予想15.60%、前回16.65%)及び、Bトルコ・8月生産者物価指数(結果13.45%、前回21.66%)が鈍化したこと(=インフレ鈍化を好感)、C香港情勢の好転や英合意なき離脱リスクの後退、米中通商協議再開合意など立て続けに投資家心理の改善に繋がるポジティブ・サプライズが見られたこと等が支援材料となり、週後半にかけて、約2週間ぶり高値となる18.874円まで急伸しました。週末にかけて反落するも下値は堅く、結局18.714円付近での越週となっております。
来週の見通し(9/9−9/13)
トルコリラ・円相場は、8/26のフラッシュクラッシュ時に付けた安値をボトムに切り返すと、@一目均衡表転換線や、Aボリンジャー・ミッドバンド、B90日移動平均線、C8/13安値(※5/9を起点とする上昇トレンドが終了し、8/20以降の短期下落トレンド入りする際に意識されていたダウ理論のサポートライン)、D一目均衡表基準線、E一目均衡表雲下限など主要テクニカルポイントを次々に突破しました。強い売りシグナルを表す三役逆転も消失するなど、テクニカル的に見て、「下落」→「中立」へのトレンド転換が意識されます。
もっとも、ファンダメンルズ的に見れば、まだまだ油断は出来ません。@ロシア製ミサイルS400を巡る米国及びNATO同盟国との関係悪化懸念や、Aシリア北部を巡る地政学的リスク(クルド系民族を巡る政情不安)、B外貨準備急減を背景としたリラ安防衛能力への不信感、Cトルコ経済を巡る先行き不透明感、Dエルドアン大統領による中銀への介入懸念(=トルコ中銀の独立性を巡る疑念)、Eトルコ中銀による大幅・連続利下げ観測、Fエルドアン大統領の求心力低下など、ネガティブ材料が山積みだからです。
消費者物価指数や生産者物価指数が大幅鈍化を示したことで、来週(9/12)開催されるトルコ中銀・金融政策決定会合での「追加利下げ」は確実視されております(※前回7/25の会合では24.00%から19.75%へと▲425bpの大幅利下げを実施)。市場では200ー250bp程度の利下げ幅に留まるとの見方が一般的ですが、先月のように市場予想を大幅に超える利下げを実施してくる可能性も想定されます(※当方は275bpの追加利下げを予想)。トルコ中銀による大幅利下げは、同国経済を下支えする効果が期待できる一方、債券利回り低下→資本流出加速→トルコリラ売りの流れを加速させる危険性も孕んでいます。来週のトルコリラ・円相場は、トルコ中銀による追加利下げを契機に、週後半にかけて軟化する展開を予想いたします。(来週の予想レンジ TRYJPY 18.20ー19.00)
トルコリラ円日足
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