ドル円見通し 9月2日朝安値を割り込み、リスク回避的円高感強まる(19/9/4)

60分足の相対力指数は40ポイントを挟んだ持ち合いで推移しているが、指数のピークが3日午前から切り下がり気味のため下落継続しやすい姿と思われる。

ドル円見通し 9月2日朝安値を割り込み、リスク回避的円高感強まる(19/9/4)

【概況】

8月23日夜の中国による米国への報復関税発表、それに対する米国の対抗措置表明を嫌気して8月23日夜高値106.73円から26日朝安値104.45円まで急落して今年1月3日安値及び2018年3月26日安値を割り込んだが、米中協議再開期待からリバウンドに入り、8月30日未明には106.68円まで切り返した。しかし23日夜高値には一歩届かずに先週を終えた。

9月1日に米中双方が予定通りに関税拡大を開始したことで、9月2日朝には105.90円まで下げて106円をいったん割り込んだが、関税拡大開始については織り込み済として2日夜には106.40円まで戻した。しかし30日未明高値を超えるような新たな押し上げ材料にかける中、3日は英国のEU離脱問題を巡る政局混乱、トランプ大統領発言による米中協議先行き不透明感再燃、ISM製造業景況指数の悪化等からリスク回避的な動きが拡大、株安債券高・長期債利回り低下とともにドル円も3日深夜には105.74円をつけて2日朝安値を割り込んだ。深夜安値から106円台へ戻したものの勢いは鈍い。

【米中合意への見通しは不透明、米連銀は追加利下げせざるを得ないか】

トランプ米大統領は3日、「中国は次期米政権との取引を待ち望んでいる」「私が勝てば合意するのはより難しくなる」とツイートし、中国側が米国の次期大統領選挙まで合意を引き延ばそうとしていると批判、大統領再選の場合は対中国姿勢がさらに強硬となると圧力をかける内容だった。
米サプライ管理協会(ISM)が発表した8月の米製造業景況指数は49.1で7月の51.2から低下、市場予想の51.1を下回ったが、強弱目安の50を割り込んだのは3年ぶりだった。週末の米雇用統計へ向けて重要経済指標の発表も相次ぐが、景気後退懸念が強まれば9月17-18日の米連銀FOMCにおける大幅利下げの可能性も高まるところだ。

米連銀関連では、3日にセントルイス連銀のブラード総裁が「積極的な金融政策が必要」とインタビューに応え、大幅利下げへの賛成姿勢を示したが、一方ではボストン連銀のローゼングレン総裁が講演において「景気は比較的好調さを保っている」「現時点でリスクは顕在化していない」として追加利下げに否定的姿勢を示した。米連銀内では利下げ積極派と現状維持派が半々に分かれている状況だが、トランプ政権による大幅利下げ要求や米中対立の深刻化を踏まえると継続的な利下げ姿勢をとらざるを得ないのではないかと思われる。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

ドル円60分足

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、8月26日朝安値をサイクルボトムとして上昇してきた。8月23日夜高値から4日目の8月30日未明高値から下落し、26日朝安値から5日目の9月2日朝安値から若干戻している状況だったため、3日朝時点では9月2日朝安値を直近のサイクルボトムとし、新たな底割れ回避の内は9月4日未明から6日未明にかけての間への上昇余地がありとし、底割れからは新たな弱気サイクル入りとした。

3日夜の下落で2日朝安値を割り込んだため、底割れによる弱気サイクル入りと仮定して次の安値形成期となる5日朝から9日朝にかけての間への下落を想定する。新たな強気サイクル入りは2日夜高値超えからとし、106円台を一時的に回復しても維持できない内は一段安警戒とする。

60分足の一目均衡表では3日午後の下落で遅行スパンが悪化、先行スパンから転落し、その後も両スパン悪化が続いている。このため先行スパンを戻り抵抗とし、遅行スパン悪化中は安値試し優先とする。両スパン揃って好転するところからは上昇再開の可能性ありとして遅行スパン好転中の高値試し優先へ切り替える。

60分足の相対力指数は40ポイントを挟んだ持ち合いで推移しているが、指数のピークが3日午前から切り下がり気味のため下落継続しやすい姿と思われる。60ポイント台へ戻しその後も50ポイント以上での推移なら上昇再開感が出てくるが、50ポイント以下での推移中は一段安警戒とする。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。

(1)当初、9月3日深夜安値105.74円を下値支持線、106.25円を上値抵抗線とする。
(2)106.25円を下回る内は一段安警戒とし、3日深夜安値割れからはまず105.50円前後試しを想定する。105.50円をスルーで割り込んで続落の場合は105.00円試しまで下値目処を引き下げる。また4日夜から5日午前にかけては短期サイクル的には下げやすい時間帯と思われるので、4日夜以降も106円以下での推移が続く内は一段安警戒も継続する。

(3)106.25円超えからは上昇再開の可能性ありとするが、2日夜高値106.40円を超えない内はその後の106円割れから下げ再開とする。106.40円超えの場合は上昇再開とみて8月30日未明高値106.68円、8月23日高値106.73円を目指す流れとみる。また106.40円を超えた後も106.10円以上での推移なら5日の日中も高値を試しやすいとみる。

【当面の主な予定】

9/4(水)
米議会諮問機関「米中経済安全保障調査委員会」公聴会
10:30 (豪) 4-6月期 GDP 前期比 (前期 0.4%、予想 0.5%)
10:30 (豪) 4-6月期 GDP 前年同期比 (前期 1.8%、予想 1.4%)
10:45 (中) 8月 財新サービス業PMI (7月 51.6、予想 51.7)
16:55 (独) 8月 サービス業PMI改定値 (速報 54.4、予想 54.4)
17:00 (欧) 8月 サービス業PMI改定値 (速報 53.4、予想 53.4)
17:30 (英) 8月 サービス業PMI (7月 51.4、予想 51.0)
18:00 (欧) 7月 小売売上高 前月比 (6月 1.1%、予想 -0.6%)
18:00 (欧) 7月 小売売上高 前年同月比 (6月 2.6%、予想 2.0%)

21:30 (米) 7月 貿易収支 (6月 -552億ドル、予想 -535億ドル)
22:25 (米) ウィリアムズ・ニューヨーク連銀総裁、講演
23:00 (加) カナダ中銀、政策金利発表 (現行 1.75%、予想 1.75%)
25:30 (米) ボウマンFRB理事、ブラード・セントルイス連銀総裁、挨拶
26:00 (米) カシュカリ・ミネアポリス連銀総裁、講演
27:00 (米) 米地区連銀経済報告(ベージュブック)
28:15 (米) エバンス・シカゴ連銀総裁、講演

9/5(木)
10:30 (豪) 7月 貿易収支 (6月 80.36億豪ドル、予想 72.00億豪ドル)
14:45 (ス) 4-6月期 GDP 前期比 (前期 0.6%、予想 0.2%)
14:45 (ス) 4-6月期 GDP 前年同期比 (前期 1.7%、予想 0.9%)
15:00 (独) 7月 製造業新規受注 前月比 (6月 2.5%、予想 -1.4%)
15:00 (独) 7月 製造業新規受注 前年同月比 (6月 -3.6%、予想 -4.2%)
16:00 (欧) デギンドスECB副総裁、講演

21:15 (米) 8月 ADP 非農業部門就業者数 前月比 (7月 15.6万人、予想 14.5万人)
21:30 (米) 4-6月期 非農業部門労働生産性改定値 前期比 (速報 2.3%、予想 2.2%)
21:30 (米) 新規失業保険申請件数 (前週 21.5万件、予想 21.5万件)
21:30 (米) 失業保険継続受給者数 (前週 169.8万人、予想 168.8万人)
22:45 (米) 8月 サービス業PMI改定値 (速報 50.9、予想 51.0)
22:45 (米) 8月 総合PMI改定値 (速報 50.9)
23:00 (米) 7月 製造業新規受注 前月比 (6月 0.6%、予想 1.0%)
23:00 (米) 8月 ISM非製造業景況指数 (7月 53.7、予想 54.0)

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