ドル円、米長期金利低下でじり安。ユーロはコンテ伊首相辞任で上昇
海外時間の為替概況
20日の海外市場でドル円はじりじり下落。アジア時間に一時106.69まで上値を伸ばすも、米10年債利回りが低下すると(1.625%→1.569%)、米2ー10年債利回り格差の縮小が重石となり、ドル円はNY時間午後にかけて、106.18まで下げ幅を広げました。もっとも、週央以降に控える重要イベント(FOMC議事要旨や日米閣僚級通商協議、ジャクソンホールでのパウエルFRB議長講演)を前に様子見ムードも根強く、106円割れを試す動きには繋がらず。引けにかけて小反発した後、結局106.25付近でのクローズとなっております。尚、トランプ米大統領はこの日、「米経済はリセッションから程遠い状況にある」「米中通商合意はいずれ合意に至るだろう」と発言しましたが、市場の反応は限定的となりました。
一方、ユーロドル相場は底堅い動き。メルケル独首相による「(アイルランド国境問題の解決策である)バックストップについて実務的な解決策を検討する」との発言が、合意なき離脱リスクの後退を想起させると、英ポンドの急伸に連れてユーロドルも連れ高となりました。その後も、コンテ・伊首相の辞意表明がイタリアを巡る政局不透明感の早期払拭を意識させたこと、米国債利回りの低下を背景にドル売り圧力が強まったこと等が支援材料となり、NY時間午後には、一時1.1107まで上値を伸ばしました。引けにかけて小反落するも下値は堅く、結局1.1100絡みでのクローズとなっております。
ドル円のテクニカル分析
ドル円は3日続伸の後、反落に転じました。重要イベント(FOMC議事要旨や日米閣僚級通商協議、ジャクソンホール)を前にしたポジション調整は一巡したと考えられます。@ダブルトップからの下放れ(添付チャートの青線)や、A強い売りシグナルを表す「一目均衡表・三役逆転」、Bトレンドの方向性を示唆するボリンジャー・ミッドバンドを14営業日連続で下回っていることなどを考慮すれば、テクニカル的に見て「下落リスク」が大きいと判断できます。
ファンダメンタルズ的に見ても、@世界的な貿易戦争が世界的な通貨安戦争(利下げドミノ)に波及するリスクや、A米中貿易摩擦を巡る先行き不透明感、Bイランやトルコ、香港や朝鮮半島、インドやパキスタンを巡る地政学的リスクの高まり、C世界経済の不安定化、Dドイツ経済のマイナス成長(リセッションリスク)、Eアルゼンチンを巡る政局不透明感の高まりなど、ネガティブ材料は山積みです。F追加緩和の手札に乏しい日銀と、9月の大幅追加利下げ(50bp)を織り込みつつある米国との金融政策格差は明らかであり、ドル円にはテクニカル面、ファンダメンタルズ面双方の影響から下落圧力が加わり易い状況が続くと考えられます。
本日は、22日午前3時に公表されるFOMC議事要旨と、21ー22日で開催される日米閣僚級通商協議の行方に注目が集まります。前者は10年半ぶり利下げに踏み切った判断根拠や、パウエルFRB議長が記者会見で述べていた「長期緩和サイクルの否定」について、FRBメンバーがどの程度指示していたかを確認する意味で注目が集まります。後者については、日米貿易不均衡是正を巡り、ライトハイザー米通商代表部(USTR)代表より大幅な譲歩や為替条項を迫られるリスクがあり、円高への揺り戻しが警戒されます。本日は、米中貿易摩擦に絡む続報や、トランプ米大統領のツイート、米株や米長期金利の動き、FOMC議事要旨の内容、日米通商協議に関連するヘッドラインを睨みながらも、ドル円はやや上値の重い展開が続くと予想いたします。(予想レンジ:105.80ー106.60)
ドル円日足
オーダー/ポジション状況
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