豪州中銀議事要旨(2019年7月16日公表:理事会は7月2日開催分)
今回の議事要旨では、失業率低下とインフレ目標値達成に向けて、金融政策の一段の調整(利下げ)はあり得るとしています。全般的な経済見通しについては然程大差ないので、今回は金融政策に関する部分のみを抜粋しています。
(議事要旨)
(世界経済、国内経済などは略)
金融政策に対して考慮する事柄
委員達は世界経済の先行き見通しが依然リーズナブルな状況にあることを認めた。ただし、国際貿易やテクノロジーに関する論争からのリスクは高くなっている。貿易の伸びは依然弱く、高まる不確実性が投資の決定に影響を与えている状況が大きくなっている兆候が一段と増えた。タイトな労働市場や賃金が上昇しているにも関わらず、先進国でのインフレは一般的に低いままである。世界経済に与える貿易関連の下方リスクと低下するインフレにより、主要な中銀が緩和に向かうとする期待が高まっている。このことが世界の金融市場に対し既に大きな緩和状況を強めている。
政策を決定する際に考慮する事柄として、委員達が最近の経済指標や労働市場のデータについて議論した。GDPの伸びは3月末で前年比ベースがトレンド以下であった。強い雇用の伸びにも関わらず、家計の可処分所得の伸びは低く、これが消費低迷に繋がっている。委員達は近々の見通しついて、収入の伸びや低中所得者の税制控除について留意した。可処分所得のより高い伸びは消費下支えが期待されるが、消費の伸びの見通しは依然不透明である。金融緩和、強い公共需要、資源関連部門の新たな拡大、あるいは輸出の伸びで、今後のGDP成長に寄与してくれると期待されている。
(雇用に関しては一部略)
住宅価格の下げがまた消費の伸びを低迷させている。ただ幾つかの住宅市場、とりわけシドニーやメルボルンの状況は安定してきているが。委員達は住宅金利が歴史的に低く、高い額の借入ができる層には強い競争力があることを留意した。しかしながら、投資家による借入需要は低く、中小企業の借入状況はまだタイトである。
インフレ見通しについては、委員達は労働市場の一層の改善が賃金上昇を物理的に引き上げるだろうと確認した。以前の会合で、委員達は、豪州経済がインフレ目標値までの達成を目指しながら、失業率を低いまま維持できると確認した。この観点から、最近のデータや前回会合で利下げを決定した結果、より低い金利となっているが、キャッシュレートの一層の引き下げのケースは考慮される。
委員達は金利水準の一層の低下は雇用や収入の必要な伸びを支え、より強い経済状況を促進すると判断した。これによりインフレを緩やかに高められるだろう。委員達はまた、生産余力の拡大は…おそらくうまいペースで吸収され、金利の低下により、経済の中期リスクになるような家計借入の歓迎されざる増加を促進するようなことはおそらくないことを意味している。委員達は多様な世帯で金利低下の影響が均一でないことを理解している。
あらゆる入手できる情報を基に、委員会は25ベーシスの利下げが適当であると判断した。前回の会合での利下げに続くこの決定は経済の生産余力の下げや、失業率低下のより速い進展を助けるだろう。低金利は豪州人により多くの仕事を供給し、インフレ目標に向かってより確かな進行を達成できるだろう。委員会は引き続き労働市場を注視し、必要とあらば経済成長を支えるべく金融政策を調整し、インフレを目標値達成することを継続していく。
委員会はキャッシュレートを25ベーシス下げ1%と決定した。
(以上)
(注)本文はあくまで英文の一部を訳したものですので、和訳はあくまで便宜的なものとしてご利用頂き、適宜、英語の原文をご参照して頂きます様お願いします。
豪ドル米ドルの相場は議事録公表前後、小動きでした。NY時間に入り、予想を上回る米小売売上高などで、米10年債中心に金利が高くなると、豪ドルは売られて0.7010米ドル付近で終わり、現在もその辺りの水準で推移しています。
昨日の高値は0.7045米ドル絡みまでで、やはり再度0.7050米ドルの抵抗線に止められています。短期的な流れは豪ドルが切り上げておりまだ底固い展開が続いていますが、もし下値の0.6990〜0.70を割ると、0.6940米ドルのサポートが見えてきます。一方で上値は0.7050〜60米ドルの抵抗線を越えていくことが続伸の鍵になっています。
(2019年7月17日10時55分、1豪ドル=0.7018米ドル)
オーダー/ポジション状況
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