ドル円見通し ポンド安ユーロ安によるドル高圧力で反発するも高値切り下がりの範囲(7/17)

17日未明高値も12日高値には届いていないため、今のところは高値切り下がりパターンの範囲での小反発というイメージだ。

ドル円見通し ポンド安ユーロ安によるドル高圧力で反発するも高値切り下がりの範囲(7/17)

【概況】

6月25日安値106.75円から7月10日高値108.98円まで上昇幅2.23円の円安ドル高だったが、7月10日夜の米連銀パウエル議長の下院議会証言から反落に転じ、7月11日昼には107.85円まで下落、12日午前高値108.60円まで戻したものの13日未明には11日昼安値を割り込んだ。週明け15日午前も107.77円まで安値を若干切り下げたもののその後は新たな底割れを回避して小持ち合いとなり、16日は英ポンド安やユーロ安、さらに米小売統計が良好だったことでドル高感が強まって小持ち合いを上放れして17日未明には108.37円まで戻した。

15日午前への続落時点では11日安値を割り込んでさらに一段安入りしてゆくイメージだったが、16日午前までの丸1日を底堅く推移したために小規模な三角持ち合い型となり、15日昼高値を超えたところからは売り方の買い戻しにより反発に弾みがついた印象だ。ただし、7月10日高値から12日高値へと高値ラインは切り下がり、17日未明高値も12日高値には届いていないため、今のところは高値切り下がりパターンの範囲での小反発というイメージだ。

【ポンド安ユーロ安、米小売良好でドル高だったが、利下げ観測も継続】

7月16日午後から英ポンドが「合意無きEU離脱」への懸念拡大を背景に一段安に入り、1月3日安値を割り込んで2018年4月高値以降の安値を更新、2017年4月以来2年4か月振りの安値を付けた。
英国ではメイ首相の後継を決める保守党党首選が終盤に入っており、候補者は2名に絞られているが、優勢にあるジョンソン前外相はブレクジットに関しては「合意無き離脱」も辞さずの姿勢を強調しており、市場も徐々にブレクジットによる混乱懸念が強まっている。

ポンド安はユーロ安へも波及した。16日夕刻に発表されたドイツの7月ZEW景況指数はマイナス24.5となり市場予想のマイナス22.3及び前月のマイナス21.1を下回る悪化となった。EUの経済指標、特に景況感の悪化傾向が続いており、ユーロドルは5月23日から6月25日まで戻していたものの7月1日の失速から下げ再開感が強まっている。

21時半に発表された6月の米小売売上高は全体で前月比0.4%増となり市場予想の0.1%増を上回った。また自動車を除く売上高も同0.4%増で予想の0.1%を上回った。午後からのポンド安と夕刻からのユーロ安ではドル円も大きくは戻せていなかったが、米小売売上高が良好だったことをきっかけに15日午前高値を超えたために買い戻しに勢いがついた印象だ。

しかし、米小売統計は良好だったとはいえ、その後に発表された6月の米鉱工業生産は前月比0.0%で予想の0.1%及び5月の0.4%に届かず、設備稼働率も77.9%で予想及び前月の78.1%を下回っており、必ずしも米経済指標全般が強かったわけではない。米連銀による利下げ姿勢も継続しているため、目先の米経済指標の数字だけでは12日高値108.60円を超えるところまでは進めなかったというところと思われる。
パウエル米連銀議長は16日にパリで講演したが、米景気の見通しは底堅さを保つとしながらも、「貿易摩擦や世界経済成長に関して不透明感が強まった」として「成長持続へ適切に行動する」と述べて7月末の利下げ姿勢を改めて示している。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、12日午前高値を直近のサイクルトップとして弱気サイクル入りしていたが、16日午前安値からの反発で12日午前高値からの下げ幅の半値以上を解消したため、16日午前安値を直近のサイクルボトムとする。16日午前安値割れ回避のうちは17日の日中から19日午前にかけての間への上昇余地ありとするが、ボトム形成が短かったためにトップ形成も短縮される可能性があるとみて、108円割れからは下げ再開を警戒し、16日午前安値107.81円を割り込むところからは新たな弱気サイクル入りとして次の安値形成期となる19日午前から23日午前にかけての間への下落を想定する。

60分足の一目均衡表では17日未明への上昇で遅行スパンが好転(実線を上抜く)、先行スパンも突破した。このため遅行スパン好転中は高値試し優先とするが、遅行スパン悪化からは下げ再開を警戒、先行スパン転落からは弱気サイクル入りの可能性ありとして遅行スパン悪化中の安値試し優先とする。

60分足の相対力指数は17日未明高値形成時に70ポイントを超え、その後も50ポイント以上で推移しているのでまだ上昇余地ありとするが、17日未明高値を上抜くところで指数のピークが切り下がる弱気逆行が見られる場合やポイントを割り込んで続落する場合は下げ再開を疑う。

以上を踏まえ当面のポイントを示す。
(1)当初、108.10円を下値支持線、17日未明高値108.37円を上値抵抗線とみておく。
(2)108.10円を上回るか一時的に割り込んでも切り返すうちは上昇余地ありとし、108.37円超えからは7月12日午前高値108.60円試しを想定する。108.50円以上は反落注意とするが、108.60円超えから続伸に入る場合は7月10日高値108.98円を目指す可能性も出てくると注意する。
(3)108円割れからは16日午前安値107.81円試しとし、107.81円割れからは新たな弱気サイクル入りとしてまず107.50円前後への下落を想定する。107.50円前後では押し目買いも入りやすいとみるが、リスク回避的な円高材料を伴って下落する場合及び米10年債利回りが大幅低下する場面では107円台序盤へ下値目途を引き下げる。また107.80円以下での推移が続く場合は18日の日中も安値試しを続けやすいとみる。(了)<9:45>

【当面の主な予定】

7/17(水)
先進7カ国財務相・中央銀行総裁会議(G7)(仏シャンティイ、7月18日まで)
17:30 (英) 6月 消費者物価指数 前月比 (5月 0.3%、予想 0.0%)
17:30 (英) 6月 消費者物価指数 前年同月比 (5月 2.0%、予想 2.0%)
17:30 (英) 6月 消費者物価コア指数 前年同月比 (5月 1.8%)
17:30 (英) 6月 小売物価指数 前月比 (5月 0.3%、予想 0.1%)
17:30 (英) 6月 小売物価指数 前年同月比 (5月 3.0%、予想 2.9%)
17:30 (英) 6月 生産者物価コア指数 前年同月比 (5月 2.0%、予想 1.7%)

18:00 (欧) 5月 建設支出 前月比 (4月 -0.8%)
18:00 (欧) 5月 建設支出 前年同月比 (4月 3.9%)
18:00 (欧) 6月 消費者物価指数 改定値 前年同月比 (速報 1.2%、予想 1.2%)
18:00 (欧) 6月 消費者物価コア指数 改定値 前年同月比 (速報 1.1%、予想 1.1%)
21:30 (米) 6月 住宅着工件数・年率換算件数 (5月 126.9万件、予想 126.1万件)
21:30 (米) 6月 建設許可件数・年率換算件数 (5月 129.4万件、予想 130.0万件)
27:00 (米) 米地区連銀経済報告(ベージュブック)
モラー元米特別検察官がロシア疑惑めぐり公聴会で証言

7/18(木)
未 定 (南) 南アフリカ準備銀行 政策金利 (現行 6.75%、予想 6.50%)
08:50 (日) 6月 通関ベース貿易収支・季調前 (5月 -9671億円、予想 4060億円)
08:50 (日) 6月 通関ベース貿易統計・季調済 (5月 -6091億円、予想 -1409億円)
10:30 (豪) 6月 新規雇用者数 (5月 4.23万人、予想 0.90万人)
10:30 (豪) 6月 失業率 (5月 5.2%、予想 5.2%)
17:30 (英) 6月 小売売上高・除自動車 前月比 (5月 -0.2%)
17:30 (英) 6月 小売売上高・除自動車 前年同月比 (5月 2.2%、予想 2.7%)
17:30 (英) 6月 小売売上高 前月比 (5月 -0.5%、予想 -0.3%)
17:30 (英) 6月 小売売上高 前年同月比 (5月 2.3%、予想 2.6%)

21:30 (米) 7月 フィラデルフィア連銀製造業景況指数 (6月 0.3、予想 5.0)
21:30 (米) 新規失業保険申請件数 (前週 20.9万件、予想 21.6万件)
21:30 (米) 失業保険継続受給者数 (前週 172.3万人)
22:30 (米) ボスティック・アトランタ連銀総裁、講演
23:00 (米) 6月 景気先行指数 前月比 (5月 0.0%、予想 0.1%)
27:15 (米) ウィリアムズ・ニューヨーク連銀総裁、講演

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