今週の週間見通しと予想レンジ
ユーロドルは前週に1.13台から1.12目前の水準へと下げたところに、先週はドラギ総裁が追加緩和の可能性について言及したため、一時1.1181レベルと今月3日以来の安値をつけました。しかし、トランプ大統領の苦言もあって下値を攻めきれずに反転、そしてFOMCでは明確に緩和へ舵を切る方向性が示されたことで、米欧間の金利差縮小によるドル売りの動きが、週初までユーロを売っていた向きのポジションを吐き出させた週と言えます。
米金利の低下は米国株にとっては好材料ですが、米国株の上昇がストレートに他国の株価指数上昇に影響し続けるとは限りません。
また、やや意外であったのが週末に発表された18日時点の通貨先物のポジションです。週間安値は翌19日とはいえ、前週から18日までユーロは既に水準を切り下げていたにもかかわらず、シカゴの投機筋はユーロ売りのポジションをかなり減らして(約4割減少)いました。下げている中で大口の投機筋が売りポジションを減らしていたわけですから、それに向かって売っていたのは実需もしくは短期筋の動きと言えます。おそらく先週は短期筋が突っ込んで売ったところにFOMCでドル全面安となり、ユーロドルはレジスタンスを次々と抜け、ストップオーダーを巻き込みながら思いのほか上昇してしまった、というのが真相ではないかと考えています。
英国ではジョンソン元外相が与党党首選に勝利する見込みとなっていて、同氏がブレグジット強硬派であることを考えるとハードブレグジットの可能性が高まります。そうした中でEUのユンケル委員長は条件の見直しはしないと改めて金曜に発言しています。このことはポンドだけでなく、ユーロにとっても悪材料となりますが、決選投票の結果がわかるのはまだ1か月先であることを考えると、ドル売り=ユーロ買いと素直には考えにくく、現在のユーロを取り囲む材料はニュートラルであると考えています。
テクニカルにはどうかですが、これもまた悩ましいチャートとなっています。
日足チャートをご覧ください。
6月に入ってからの動き(緑の楕円内)を振り返ると、3日に4月高値からのレジスタンス(青のライン)を上抜け、その週末には終値で年初からのレジスタンス(ピンクのライン)を上抜けと、テクニカルには下降トレンドから上昇トレンドへの転換を考える流れでした。しかし後が続かず、先週はドラギ総裁の追加緩和発言もあり、大いなるダマシを発生させた可能性があるチャートです。
黄色のラインマーカーで示した先週安値は青のレジスタンスライン(=抜けたレジスタンスはサポート)で下げ止まり、年初からのレジスタンスが機能していない中で、強い存在感を示すチャートパターンとなりました。この場合、年初来安値を起点に、6月上旬高値までの上げ、その後の先週安値までの押し、そして6月上旬高値を上抜けたことで中期的な上昇N波動(ピンクのN)を完成させたと見ることができそうです。そうすると、100%エクスパンション(青のターゲット)が1.1423となっていることから、現状は1.14台前半をターゲットとする上昇トレンドの中にあると考えたいところです。
一方で下値は先週木曜に上昇トレンドの中で挟んだ押しの水準(1.1271レベル)があり、同水準程度までの下げが限界でしょう。ということで、今週は方向感を確定させるほどの強い材料がファンダメンタルにもテクニカルにも見当たらないのですが、1.1275レベルをサポートに、1.1425レベルをレジスタンスとする流れを見ておきます。
今週のコラム
ユーロドルの流れが二転三転していますので、改めてユーロ円のテクニカルな立ち位置を分析し直します。
ドル円もユーロ円も基本はドル全面安の中での動きですが、FOMC以降の米国株高のリスクオンでユーロ円の買いが強まったことと、ポジション調整によるユーロドルの買い戻しがあったことからユーロ円は122円台へと乗せてきました。しかし5月以降の動きを見ると、ピンクのラインで示したトライアングル(三角もちあい)の中での動きをしています。また6月の戻り高値が4月高値と6月安値の38.2%戻しで止められていることからも、上側のレジスタンスは強いレジスタンスであると考えた方がよさそうです。
下側のサポートは6月の安値2点を結んだだけですが、当面はこのサポートラインも効いてきそうです。現在の水準はこのトライアングルの中で収束し始めていて、どちらかに抜けるのを待っている準備段階にあると言えます。つまり、ユーロ円に関して言えば122円前後を中心としたもみあいとなりやすい段階と読むことになるでしょう。
今週の予定
6月27日(木)
18:00 ユーロ圏6月消費者信頼感
21:00 ドイツ6月CPI速報値
6月28日(金)
**:** 大阪G20サミット(〜29日)
15:00 ドイツ5月輸入物価指数
15:45 フランス5月CPI速報値・PPI
17:30 英国1〜3月期GDP改定値
18:00 ユーロ圏6月CPI速報値
前週のユーロレンジ
上記表の始値は全て東京午前9時時点のレート。
為替の高値・安値は東京午前9時?NY午後5時のインターバンクレート。
先週の概況
6月17日(月)
ユーロドルは前日の下げに対する買いが先行したものの東京後場に改めてユーロ売り、しかし欧州市場序盤につけた安値が金曜安値を抜けられず、日計り組の買い戻しが入りました。NY市場の朝方には弱めの米国経済指標も手伝って1.1247の戻り高値をつけましたが、上値も重たく引けにかけては東京朝方の水準へと押し、方向感は出ないままに終わりました。
6月18日(火)
ユーロドルは、東京市場ではドル円同様にドル売りユーロ買いの動きとなっていましたが、欧州市場に入りドラギECB総裁が追加緩和の可能性に言及したことから、ユーロは急落、1.12台半ばから1.1181レベルまで値を下げました。しかし、1.11台では買いも出てくること、またトランプ大統領がドラギ総裁の発言に対して苦言を呈したこともあり、1.12台を回復した後はもみあっての引けとなりました。
6月19日(水)
ユーロドルは前日の売りに対する調整もあってFOMCまではじり高の展開を辿っていましたが、FOMCの結果を受けドル全面安となり一時1.1254レベルの高値をつけました。引けにかけてはポジション調整から若干小緩んでの引けとなりました。
6月20日(木)
ユーロドルは、ドル全面安の動きの中で順調に水準を切り上げ、NYの朝方には1.1317レベルの高値をつけました。しかし、1.13台では売りが見られたこと、また米国とイランとの緊張の高まりからリスクオフの動きも加わり、ユーロ円が水準を切り下げたことで50pips弱の下げを挟んだ後に引けは1.12台後半へと戻しました。
6月21日(金)
ユーロドルは、欧州市場序盤までは方向感がはっきりしない展開が続いていましたが、前日高値を上回るとテクニカルな買いが目立ちました。その後強めの経済指標も買い要因となり、ユーロドルだけでなく主要通貨に対してユーロが全面高の動きへとつながりました。NY市場では7日高値の1.1348レベルを上抜けストップオーダーも巻き込みながら一段高、1.1378レベルの高値をつけそのまま高値圏での引けとなりました。
ディスクレーマー
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オーダー/ポジション状況
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