今週の週間見通しと予想レンジ
先週のユーロは、1.12割れの買いと1.12台半ばとの売りに挟まれて方向感がはっきりしない展開が続きました。週間レンジもわずか72pipsと100pipsにも満たない狭いレンジとなっていました。これは全てブレグジット問題の不透明さが増していることによるものと考えられます。英国側は離脱期限の再延期を求め、EU側は現行の修正案での合意を求めと双方平行線が続いていますが、メイ首相は最後の望みを与野党超党派による合意にかけました。
しかし、3日に開かれたメイ首相とコービン労働党党首との会談では「建設的」という発言はあったものの、具体的な提案や合意があったわけでは無く、しかも12日の期限までには時間的に間に合わない状況のまま、メイ首相は明日の臨時EUサミットに出席することとなります。メイ首相は既に6月末まで離脱再延期の要望書を送っていますので、それに対してEU側が全会一致で認めるかどうかが最大の焦点です。
またEU側からは、短期の離脱延期を繰り返すよりは一年程度延期するほうが現実的との声がある一方で、英国が現行修正案で合意できないのであれば合意無き離脱もやむを得ないという声があり、10日の臨時サミットでどのような結果が出てくるのかは全くわからない状況です。しかし、本来ならば警戒してしかるべき状況で、ポンド売り、ユーロ売りとなってもおかしくないのですが、今朝の日経朝刊にあるようにポンドは「奇妙な安定」を示し、市場参加者は合意無き離脱は無いだろうという楽観的な見方をしています。
もし明日の臨時サミットでEU側の全会一致が無ければ4月12日の離脱となるでしょうし、仮に6月末までの離脱延期を認めた場合でも、本当にそれまでに英国側がまとまるのかどうか、前回と同様にEU側が現行修正案で合意するならば延期すると言ってきた場合、英国議会はどのように対応するのか、現状では合意無き離脱、延期を認めるもののEU側のこれ以上の譲渡は無いケース、延期を認めかつその間にもう一度EU側と協議する可能性と、どれも同程度の可能性ではないかと見ています。
ただし、EUとの再協議を含む場合には、そのための時間も必要でしょうから期限を1年程度延期する長期延期という可能性のほうが高いかもしれません。そして、その提案は英国として受けられるのか、あまりにも可能性が多すぎて、ポンドをどうすればよいのか判断しかねるが故の奇妙な安定と見た方がよいのかもしれません。
私自身は、現在の不透明な情勢を考えると当然売り、と考えるのですが市場参加者はそうは取っていませんので、実に悩ましいところです。また今週は臨時EUサミットと同日の10日に(訂正×翌日11日に)ECB理事会もあります。ECBは既に前回の理事会まででハト派寄りなスタンスへと傾き、利上げの時期を来年以降としていますので、今回はさらに景気見通しが下振れしてくるかどうかが注目でしょうか。
見通し自体が悩ましく、これ以上グダグダ書いても仕方ないのでチャートに移ります。
日足チャートをご覧ください。
日足チャートは、ローソク足の足型をそのままに陰陽の着色のみを平均足と同様とすることで、短期的な方向性(白=上昇、黒=下降)を見やすくした独自チャートとなっています。また、一目均衡表を併せて表示することで上下のチャートポイントもわかりやすく示しました。
1月以降は高値、安値とも切り下げる下降チャンネルの中での推移を続けていましたが、少し見方を変えてみようとラインの引き方を変え、レジスタンスラインは昨年9月高値を起点に、平行チャンネルはいったん消し、サポート側は11月安値と3月安値を結んだラインとしてみました。どちらも太いピンクのラインで引いてありますが、上側は若干狭まり下側はかなり現行水準に近づきと下方向のポイントが近づいたことで、自身の見方に近づいた感じはします。ここからどう考えるかですが、ブレグジットの現行修正案合意の場合には上方向に余裕(170pips程度)があり、下方向はそれ以外のケースで売られやすい展開を考えたラインになっています。
今週はレンジを書くことも困難ですが、コアレンジを1.1180〜1.1280と現行水準から上下50pips程度を考えた上で、上放れした場合は1.1400レベルまで、下放れした場合には1.10の大台割れも視野に入れておく必要がありそうです。
今週のコラム
今週はユーロドルの月足チャートを見てください。
2006年以降と長期のチャートですが、ユーロドルにはリーマンショック前の高値である1.60台からの大きなレジスタンス(ピンクの太線)があります。またここ数年では昨年高値は2014年高値と2017年安値の61.8%戻し(赤の太い水平線)で止まりましたし、現在の安値は2017年安値と2018年安値の61.8%押しで止まっています。
ここで止められるのか、あるいは抜けて78.6%(61.8%の平方根)押しの1.0815まで行くのか。いまの英国とEUの状況や、多くの参加者の楽観を見ていると、個人的には後者に警戒したいと考えています。
今週の予定
今週注目される経済指標と予定はドル円週報に示してあるものと共通です。ドル円週報の「今週の予定」をご参照下さい。なお、その中でユーロの値動きに特に影響が出ると考えられる予定は以下のものです。重要な予定として注意しておきましょう。
4月8日(月)
15:00 ドイツ2月貿易収支
24:45 フランス中銀総裁講演
4月9日(火)
**:** IMF世界経済見通し公表
4月10日(水)
15:45 フランス2月鉱工業生産
17:30 英国2月貿易収支
17:30 英国2月鉱工業生産
20:45 ECB理事会
21:30 ドラギECB総裁会見
**:** 臨時EUサミット
4月11日(木)
15:00 ドイツ3月CPI改定値
15:45 フランス3月CPI改定値
**:** G20(〜12日)
4月12日(金)
18:00 ユーロ圏2月鉱工業生産
**:** 英国離脱期限(合意無い場合)
前週のユーロレンジ
上記表の始値は全て東京午前9時時点のレート。
為替の高値・安値は東京午前9時〜NY午後5時のインターバンクレート。
先週の概況
4月1日(月)
ユーロドルは、東京前場はユーロ円の買いがきっかけで上昇、その後はドル円でのドル売りに沿って底堅い展開を続けました。NY市場に入ってからも対ドルの動きが目立ち、一時1.1204レベルまで水準を下げ安値圏での引けとなりました。
4月2日(火)
ユーロドルはドル円ほどではありませんでしたが、値動きは限定的でこれまでのユーロ安の流れを継続しつつも、引けにかけては若干戻してと方向感がはっきりしない引けとなりました。
4月3日(水)
ユーロドルは東京前場は株高によるリスクオンの動きからユーロ円の買いに沿って上昇、欧州市場以降は英国で与野党党首会談が行われることをきっかけにポンド買いとユーロ買いの動きから上昇しましたが、先週末以降1.1250より上での売りが残っていて、同水準では止められる動きとなりました。
4月4日(木)
ユーロドルは東京市場では動きはなかったものの欧州市場に入りイタリアの成長率が大幅に下がるとのニュースをきっかけに下落、また英国議会ではEUに離脱再延期を求めることは決まったものの現状ではEUが認める可能性は低く、ポンドが売られた動きもユーロの売りにつながりました。NY市場ではドル買いも重なって1.1206レベルまで下落後、若干戻して引けました。
4月5日(金)
ユーロドルは、欧州市場まではじりじりと水準を切り上げていましたが、前日の下げに対する数字前のポジション調整の面が強かった様子でした。その後の米国雇用統計では上下に振れたものの、引けにかけてはブレグジットの不透明感からポンド売りが強まり、それに沿ってユーロもじり安の引けとなりました。
ディスクレーマー
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オーダー/ポジション状況
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