今週の週間見通し
先週もドル円は週を通してじり高の展開を辿りましたが、日々の取引は狭い値幅で新年度入りにもかかわらず冴えない一週間となりました。2日には19銭幅と歴代の中でも狭いレンジを記録しましたが、週間の値幅も1円ほどのレンジで日々少しずつ水準を上げる動きで、ディーラー泣かせと言えるでしょう。
今週はそろそろ動きが出てきてもおかしくはありませんが、リスクは円高と考えています。明日10日には英国の離脱に関して臨時EUサミットが開かれますが、それまでに英国内がまとまれるとは思えません。もしEU側が離脱延期を認めないとなると今週末に合意無き離脱となり、来週以降の混乱が予想されます。そうはならないだろうという楽観的な見方が主流ではあるものの、ここでEU側がNOと言った場合のリスクを考えると、ドル円、クロス円とも買い(円売り)には回りにくいと言えます。
また、円相場が静かな動きをしていることもあって、シカゴの通貨先物の円売りポジションもここ2か月ほど徐々に増えてきています。水準的には危険水域とは言えませんが、世界的にリスクオフ材料に鈍感な流れになってきていると思わざるを得ない状況です。こうした市場参加者の見通しが正しいのであれば、明日の臨時EUサミットで英国・EU双方に都合がよい落としどころを見つけるのでしょうが、こればかりは蓋を開けてみなければわかりませんし、これまでのEU側の動きを見ている限りにおいては楽観視できません。
こういう状況下で予想を書くのも無理がありますので、今週は純粋にテクニカルな観点から書いていきます。
先週金曜のドル円月足チャートのコラムで「2015年高値からのレジスタンスを抜くことは無いだろう」という見方を示しました。このレジスタンスは現在112.70水準を下降中です。
次にいつもの日足チャートをご覧ください。
このチャート内にも上記レジスタンスラインの赤の太線で示してあります。
既にこれまで引いたチャンネル、ライン、フィボナッチによるターゲットなど、ほぼ全てが中途半端に抜け、短期的な見通しは上にも下にもはっきりしないため、改めてラインの引き直しを行いました。レジスタンスは上記の2015年からのレジスタンスライン(赤太線)が大きなラインとして、またかなり近い水準ではあるものの3月高値からの平行線(青)を引きました。またサポート側は、年初のフラッシュクラッシュ翌日安値は変えず、3月安値を結んだサポートライン(ピンク)を引き、それに平行なラインを3月高値に合わせて上昇チャンネルとしてあります。
こうして見ると、テクニカルには上昇トレンドを継続しているものの、3月高値112.14から長期レジスタンスラインが位置する112円台後半が、今回の上昇トレンドのターゲットかつゴールとして機能し、もし112円台後半を上抜けて113円台に入るようなことがあれば、ファンダメンタルな部分も含めてすべてのシナリオを考え直す必要が出てくるかもしれません。個人的な見方がそこまでずれているとも思えず、当面は112円台半ばが上昇の限界点として、それよりも上はバッファという見方をします。
また下値に関してはすぐにではないにせよ、年初来安値104.90と高値112.14の半値押しにあたる108.52、つまり108円台半ばにはいつ押してもおかしくはないというスタンスを取っています。短期的にはどちらもまだ距離がありますので、今週は111.00レベルをサポートに、112.00をレジスタンスとする週を見つつ、リスクオフ方向へのバイアスをかけて構えているつもりです。
ドル円(日足)チャート
このチャートは、ローソク足の足型をそのままに陰陽の着色のみを平均足と同様とすることで、短期的な方向性(白=上昇、黒=下降)を見やすくした独自チャートとなっています。また、一目均衡表を併せて表示することで上下のチャートポイントもわかりやすく示しました
今週の予定(時刻表示のあるものは日本時間)
今週注目される経済指標と予定をあげてあります。影響が少ないものはあえて省いています。FRB地区連銀総裁講演の内、2019年FOMCメンバー(ニューヨーク、シカゴ、ボストン、セントルイス、カンザスシティ)ではない地区連銀総裁はカッコ付で示しました。また、わかりやすさ優先であえて正式呼称で表記していない場合もあります。
4月8日(月)
**:** 豪州・NZ市場冬時間移行
08:50 本邦2月国際収支(貿易収支)
**:** 黒田日銀総裁挨拶、地域経済報告
15:00 ドイツ2月貿易収支
23:00 米国2月製造業新規受注
24:45 フランス中銀総裁講演
4月9日(火)
**:** IMF世界経済見通し公表
4月10日(水)
07:45 クラリダFRB副議長講演
**:** 黒田日銀総裁挨拶
09:30 豪州4月消費者信頼感
15:45 フランス2月鉱工業生産
17:30 英国2月貿易収支
17:30 英国2月鉱工業生産
20:45 ECB理事会
21:30 ドラギECB総裁会見
21:30 米国3月CPI
23:30 週間原油在庫統計
27:00 FOMC(3月20日)議事要旨公表
**:** 臨時EUサミット
4月11日(木)
10:30 中国3月CPI・PPI
15:00 ドイツ3月CPI改定値
15:45 フランス3月CPI改定値
16:00 トルコ2月経常収支
21:30 米国新規失業保険申請件数
21:30 米国3月PPI
22:30 クラリダFRB副議長講演
**:** G20(〜12日)
4月12日(金)
**:** 中国3月貿易収支
18:00 ユーロ圏2月鉱工業生産
21:30 米国3月輸入物価指数
23:00 米国4月ミシガン大消費者信頼感速報値
**:** 英国離脱期限(合意無い場合)
前週の主要レート(週間レンジ)
上記表の始値は全て東京午前9時時点のレート。
為替の高値・安値は東京午前9時~NY午後5時のインターバンクレート。
先週の概況
4月1日(月)
ドル円は新年度入りして上昇した株価に沿って東京前場はドル円もドル買いが先行しました。111.19レベルをつけた後は株価反転とともに下げに転じ、NY市場が始まる時間帯には週末引け水準へと押していました。NY市場では強い経済指標をきっかけに改めてリスクオンの動きとなり、ドル円は朝方の高値を抜けると111.44レベルまで上伸し、その後若干押して引けました。
4月2日(火)
ドル円は終日静かな一日となりました。一日のレンジも19銭と111円台前半での小動きに終始しましたが、この19銭という値幅は過去20年間で第14位の狭いレンジとなっていて、2月18日に続いての19銭幅取引となりました。
4月3日(水)
ドル円は東京前場に株価が上昇した動きに沿ってドル買いが先行しましたが、それ以降はほぼ40銭以下の買いと55銭以上の売りに挟まれ高値圏での狭いレンジの中でのもみあいのまま終わりました。
4月4日(木)
東京市場のドル円は前日レンジの中で上値の重たい展開を続けていましたが、海外市場に移り対ユーロでドル買いが先行、NY市場に入ってからはダウ上昇に引っ張られる形でリスクオンの動きから111.66レベルまで上昇し高値引けとなりました。
4月5日(金)
ドル円は日経平均上昇とともにリスクオンの動きが先行したものの、すぐに上昇前の水準へと押し様子見のまま米国雇用統計待ちとなりました。雇用統計は、NFPは強かったものの平均時給は弱くミックスした内容となり、111.55へ押し111.82へ上昇と10分間に上下に振れる展開となりましたが、その後は数字前の水準で小動きのままの週末クローズとなりました。
ディスクレーマー
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オーダー/ポジション状況
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