豪州中銀議事録・3/5開催分(19/3/19)

今回の議事要旨も過去の内容と大差ありません。3月の議事録も全般について細かく記載しており、従来見通しの修正部分や将来の見通し部分を中心に箇条書きにて抜粋します。

豪州中銀議事録・3/5開催分(19/3/19)

豪州中銀議事録・3/5開催分(出所:豪州中銀HPから)

今回の議事要旨も過去の内容と大差ありません。3月の議事録も全般について細かく記載しており、従来見通しの修正部分や将来の見通し部分を中心に箇条書きにて抜粋します。

以下は豪州中銀の金融政策の議事録要旨の抜粋です。

(議事録要旨)
@ 貿易の緊張が続き、世界経済の先行き見通しは不確実性の高い状態が続いている。
A 3月1日の米中交渉期限に幾分楽観的な見通しがでたが、2018年に実施した米中間の関税上げは継続されており、とりわけ中国の輸入が減少し、国内の需要減、輸出品の生産が落ちている。
B これにより東南アジアからの先進国向け輸出は伸びているが、2019年の東南アジアの新規輸出注文の調査では急激に落ち込んでおり、2019年初は平均以下となった。

C 特に自動車輸出に影響を与えることになり、ドイツ・日本は影響受けよう。
D 米国は2018年の景気刺激策(減税など)でGDPを押し上げたが、主要な米国製造業の調査では先行きその状況が弱まっている。
E 米国とは対照的にユーロ圏の2018年下半期の経済は緩んだ。この緩みは域内に幅広く波及しているようだ。とりわけ中国からの需要の落ち込みで減速し、2019年の調査みても外需は弱い状況。
F 中国は当局が景気刺激策を公表した。それでも2019年前半の経済は緩み、物価圧力も低いままになっている。
G 豪州の2018年下半期の経済状況は減速したにも関わらず、国内の労働市場は改善を続けている。2018年のGDPは予想よりも下がった。企業投資は12月末期に上昇したが、これは鉱山関連企業の投資によるもので、先行きは減速することが予想されている。

H Capex調査(企業投資に関する調査)によると、投資は2019年〜20年は緩やかに上昇すると見ている。一方で、農業はまだ厳しい状況の中にいると予想されている。例えば、東南クイーンズランドは降雨が記録的に少なく、北クイーンズランドは洪水になっている。
I 住宅価格は下落を続けている。シドニーの住宅価格は2017年11月と比べ13%もの下落を記録した。メルボルンは同時期10%の下落である。住宅価格は2006年水準になっている。にも関わらず賃貸住宅の空室率は下がっている。これは人口増と雇用改善による。
J 消費は12月末期に成長へ貢献した。消費センチメントは底堅い。これは労働市場改善による。しかしながら、消費動向は成長の主要ポイントであり、先行きは不確実である。小売売上高は12月末期で僅か0.1%のプラスである。中銀地区支店の報告では12月期の消費はクリスマス商戦が11月に前倒しになって12月が緩やかになったとしている。

K GDP減速とは対照的に労働市場は堅調のままである。失業率は5%付近で安定的である。先行き示すデータを見ても、雇用の伸びは平均以上になると見られる。但し、幾つかの最近のデータは幾分減速しているが。
L 賃金の伸びは年率2.3%で変わらなかったが、民間企業の年末の伸びは過去4年で最も強かった。賃金の伸びは大多数の企業や州で、年初の予想よりは高かった。(金融市場の部分は略)
M 世界経済は2018年後半に減速したが、それでもトレンド以上だった。2019年も緩やかな成長が見込まれている。中国の景気減速は当局によって対応しているものの、金融部門のリスクには注視する必要がある。貿易の緊張による景気減速が、世界経済の伸びを下げており、先行き見通しを不確実にしている。
N 委員達は世界的に金融市場が緩和基調であることを確認した。豪ドルは依然狭いレンジ内で推移している。

O 国内生産高の伸びは2018年後半に減速したが、企業投資の先行き見通しやインフラ整備投資の伸びは依然ポジティブ。消費は可処分所得の伸びに準じて拡大を支えていると予想される。ただ、幾つかの地域での住宅価格の下落による消費への影響は懸念される。
P 委員達はこれまでの低金利が経済を下支えしてきたことを確認した。労働市場の改善やそれによるインフレへの影響により、中銀目標のインフレ中間値(2%)に向かうと予想している。先行きGDPの見通しは、中央値で2019年に約3%になるとの見通しを堅持している。失業率は4.75%方向の見通しである。
Q 現状利用できるデータを見ると、委員達は現状の金融政策スタンスを維持するとし、それにより雇用を下支え、インフレが徐々にあがると見ている。しかしながら、見通しに著しい不確実性が生じた時はキャッシュレートを適切な水準までにする…すなわち上げも下げもある…ことを確認した。
R 委員会はキャッシュレートを1.5%のまま据え置いた。
(以上)

(注)本文はあくまで英文の一部を訳したものですので、和訳はあくまで便宜的なものとしてご利用頂き、適宜、英語の原文をご参照して頂きます様お願いします。

相場は発表前に0.7095〜0.7100米ドル付近で推移していましたが、発表後に10ピップス程度上げただけで、その後は0.71米ドル絡みで推移しています。当面は上値抵抗線0.7130、下値は0.7070米ドルのサポートの抜けをウォッチする形になります。
尚、今回の議事録に新味はなく、若干先行き経済の不透明性に関して議論しただけで、暫く世界経済の推移を見守る内容になっています。
またGDP見通しもこれまでの2019年3%の伸びを踏襲しており、もしこのまま推移すれば、世界的に成長を下げている国が多い中で、非常に好内容となります。暫くGDPの内容を積み上げていく以外に無い様です。
(2019年3月19日12時45分、1豪ドル=0.7105米ドル)

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