ドル円見通し 三角持ち合い上放れ再び失敗(12/18)

週明け17日の序盤は日経平均と上海株がともに確りだったことでやや戻していたが、NYダウが崩れたことで夜間に大幅下落に入り、18日未明には112.67円の安値を付けている。

ドル円見通し 三角持ち合い上放れ再び失敗(12/18)

ドル円見通し 三角持ち合い上放れ再び失敗

【概況】

12月3日からの1週間は米中関係改善期待後退による株安円高、10日からの1週間はその揺れ返しでの上昇となり14日未明には113.70円まで戻したが114円には届かず、14日夜のNYダウが大幅下落で終了したことにより113.21円まで反落して終了していた。
週明け17日の序盤は日経平均と上海株がともに確りだったことでやや戻していたが、NYダウが崩れたことで夜間に大幅下落に入り、18日未明には112.67円の安値を付けている。
12月のNY連銀景況指数や全米住宅建設協会の景況指数が予想を下回ったこと、18日から始まるFOMCを控えてのトランプ大統領による利上げ牽制ツイート等から株安ドル安となった。

12月のNY連銀景況指数は10.9となり前月の23.3から低下して市場予想の20.6を大幅に下回った。米住宅建設協会(NAHB)の12月住宅市場指数は56となり前月の60から低下して市場予想の60を下回った。
トランプ米大統領は17日のツイッターで「(FRBが)いまだに追加利上げを考えている」と批判した。またナバロ大統領補佐官もCNBCテレビのインタビューで「FRBが利上げを決めるべきでない理由は景気が減速しているからではなく、景気がインフレのない状態で拡大しているからだ」と述べた。これら発言も米連銀の利上げペース鈍化を市場に意識させてドル安要因となった。

【三角持ち合い上放れの挑戦は再び失敗】

10月4日以降のドル円はレンジ縮小型の三角持ち合いであり、下値支持線を104日移動平均としつつ、高値は10月4日114.54円、11月12日114.20円、11月28日114.03円とほぼ1直線で切り下がってきた。12月10日からの反発でこの高値切り下がりライン突破に挑戦したのだが、12月13日高値113.70円では突破に至らず、その後の反落で12月10日からの戻り幅の半値以上を削っているため、今回も挑戦は失敗で逆に12月10日安値112.23円試し、底割れなら下値支持線の104日移動平均を割り込んで三角持ち合い下放れへ向かう可能性が出てきている。徐々に三角持ち合いのレンジは縮小しており、すでにその角に来ているため、20日未明のFOMC反応で三角持ち合いを上下いずれへ抜けるのかの決着も付くと思われる。

【FOMC始まる】

米連銀(FRB)の連邦公開市場委員会(FOMC=金融政策決定会合)が18日から始まり、日本時間20日未明には金融政策の発表、議長会見がある。今回の会合で今年4度目の利上げが決定されるであろうと市場は見ているが、それ以上に来年以降の利上げペース、あるいは利上げの終点が見えるかどうかが焦点となっている。
FOMCは9月会合時点でメンバーの2019年利上げ予想中央値を3回としたが、今回の会合ではこのペースが鈍化するのではないかとみられている。
パウエル米連銀議長は11月の講演で「金利は歴史的な水準に比べて依然低く、中立と推計されるレンジを引き続きわずかに下回る」と述べて目標とする中立金利水準に迫っている=利上げの終点が近い印象を与えている。その他のメンバーでは利上げペースを維持すべきとの見方や中立金利まではまだ距離があるとの見解も示されてきたので、議事録骨子が示されるのを待つ必要がある。

【株安は深刻さを増す】

ドル円にとってはNYダウの一段安も警戒すべき要因だ。17日のNYダウは前週末比507.53ドル安となり14日の496.87ドル安と合わせて2日間で千ドル以上の続落となった。12月10日にはザラバ安値で10月暴落でつけた10月29日安値を割り込んだものの長い下ヒゲで切り返したが、12月14日の下落では終値ベースで10月3日天井以降の安値を更新しした。17日はザラバ終値ともに10月3日以降の安値更新となった。
今年2月暴落では2月9日安値23360.29ドルの後で4月2日に23344.52ドルの安値を付けたが、安値更新幅はわずかだった。しかし今回は10月29日安値24122.23ドルを割り込んでの二段下げ型だが、その二段目が11月8日から11月23日へ一段目、12月3日から現在までを二段目として三段下げ型へ発展してゆく可能性もあり、2月暴落時よりも規模が拡大しつつある印象だ。
NYダウにとっては米連銀の利上げペースが緩むことはプラスだろうが、それ以上に景気鈍化懸念があっての下落であり、株安によるドル安の加速としてドル円にとっては売り圧力となっている印象だ。

【60分足一目均衡表、サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、13日未明安値を直近のサイクルボトムとして強気サイクル入りしていたが、17日夜の下落で13日未明安値を割り込んだために底割れによる弱気サイクル入りとなった。今回の安値形成期は13日未明安値を基準として18日未明から20日未明にかけての間と想定されるのですでにボトムを付けての反騰注意期には入っているが、113円台を回復できないか回復しても維持できないうちは18日夜、19日にかけては安値試しを続けやすい時間帯と思われる。強気サイクル入りは113.25円を超える反騰入りからとする。

60分足の一目均衡表では週末の下落で遅行スパンが悪化、先行スパンから転落したが、17日夜の一段安で両スパン悪化が継続している。このため遅行スパン悪化中は安値試し優先とする。遅行スパン好転からは先行スパン試しとするが、その手前での反落警戒とし、強気転換は両スパン揃って好転するところからとする。

ドル円見通し 三角持ち合い上放れ再び失敗

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、12月10日安値112.23円を下値支持線、113.00円から113.25円までを上値抵抗帯とみておく。
(2)113円を下回るうちは10日安値試しとし、底割れからは111円台後半試しへ向かうとみる。また113円以下での推移中は19日午前にかけても安値を試しやすいとみる。
(3)113円を超えても維持できないうちは一段安警戒を優先するが、113.25円超えからはいったん強気サイクル入りと仮定して113.50円前後への上昇を想定する。113.50円以上は反落警戒とするが、113.25円を超えた後も113.00円以上を維持する場合は19日午前も高値を試しやすいとみる。(了)<9:30執筆>

【当面の主な予定】

12/18(火)
米連邦公開市場委員会(FOMC)1日目
18:00 (独) 12月 IFO景況感指数 (11月 102.0、予想 101.8)
22:30 (米) 11月 住宅着工件数 年率換算件数 (10月 122.8万件、予想 122.5万件)
22:30 (米) 11月 建設許可件数 年率換算件数 (10月 126.3万件、予想 126.0万件)

12/19(水)
英中銀金融政策委員会(MPC)1日目
日銀・金融政策決定会合(1日目)
06:45 (NZ) 7-9月期 四半期経常収支 (前期 -16.19億NZドル、予想 -59.35NZドル)
08:50 (日) 11月 貿易統計(通関ベース、季調前) (10月 -4493億円、予想 -6300億円)
08:50 (日) 11月 貿易統計(通関ベース、季調済) (10月 -3027億円、予想 −3076億円)

16:00 (独) 11月 生産者物価指数 前月比 (10月 0.3%、予想 -0.1%)
18:30 (英) 11月 消費者物価指数 前月比 (10月 0.1%、予想 0.2%)
18:30 (英) 11月 消費者物価指数 前年同月比 (10月 2.4%、予想 2.3%)
18:30 (英) 11月 小売物価指数 前月比 (10月 0.1%、予想 0.1%)
18:30 (英) 11月 小売物価指数 前年同月比 (10月 3.3%、予想 3.2%)
18:30 (英) 11月 生産者物価コア指数 前年同月比 (10月 2.4%、予想 2.3%)
22:30 (米) 7-9月期 四半期経常収支 (前期 -1015億ドル、予想 −1245億ドル)
24:00 (米) 11月 中古住宅販売件数 年率換算件数 (10月 522万件、予想 520万件)
28:00 (米) 米連邦公開市場委員会(FOMC)政策金利 (現行 2.00-2.25%、予想 2.25-2.50%)
28:30 (米) パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長、定例記者会見

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