豪州中銀議事録(2018/7/17)

今回の議事要旨も大差ありませんが、現状では先々に利下げを実施する環境にはいないニュアンスの内容を議論しています。

豪州中銀議事録(2018/7/17)

豪州中銀議事録

今回の議事要旨も大差ありませんが、現状では先々に利下げを実施する環境にはいないニュアンスの内容を議論しています。この点が豪ドル買いに繋がった模様で、議事録公表前の為替は0.7403〜05米ドル付近で推移していましたが、公表後は0.7435〜40まで買われ約30ピップス強の豪ドル買いになりました。


尚、以下は豪州中銀の金融政策の議事録要旨の抜粋をお送りします。今回も箇条書きにしています。

(議事録要旨)
(国内経済)
1 委員達は6月6日に公表された第1四半期GDPの+3.1%の伸びについて議論を開始した。これは3ヶ月前の中銀予想よりは若干強めであった。
2 非農業部門GDPが3月末前年比で+3.6%伸び、一方で最終需要も2013年以降の拡大を続けている。
3 消費は3月末期で幾分下がった。これは前期の消費が大きく伸びたことによる影響と思われる。しかし、この先、消費は3%に近い伸びで拡大することが予想されている。
4 過去20年に亘る平均と比較して、家計収入はここ2〜3年、平均より低下したままになっている。にも関わらず、労働者収入は増加し2012年以降は最大となっている。(注:人口増により拡大と思われます)また時間給も増加している。

5 住宅市場に目を移すと、会計局からのデータを見ると、2016年がピークだったことを委員達は確認した。
6 また中古住宅をみると、シドニーやメルボルンで住宅価格が下がった。シドニーではここ1年で5%の下落だった。
7 労働市場は緩やかなペースで伸びている。2017年に直近の強い失業率を記録している。労働参加率も直近ピークからは下がっている。5月の失業率は5.4%となり、過去1年の5.5%に近い水準を維持している。
8 委員達は労働需要を示す指標が高い水準にあることや、豪州統計局の求人率が非常に高い水準にあることを確認した。
9 公共部門は引き続きGDP成長に貢献を続けている。過去1年間の公共投資は力強く拡大した。

10 民間部門では非鉱山関連部門が3月末期で拡大した。これは前年比10%の伸びになっている。鉱山関連は1年前と比較して下がった。但し、鉱山関連部門の機械設備投資は増加した。
11 輸出は大きく伸びた。特に石炭輸出が再拡大し、LNG輸出も力強く伸びた。4月になってもLNG、鉄鉱石、石炭輸出が拡大した。豪州貿易は3月末期で3.3%の伸びとなった。
12 委員達は高水準に登る個人債務について詳細に議論した。多くの国で、過去30年間、家計債務は家計収入よりも増加した。とりわけ豪州はそうなっている。
13 これには2つの要因があり、通常金利が低下していること、特に低下するインフレや金融の規制緩和を反映しており、これらにより、家計が金融市場に関わり易くなったことが挙げられる。豪州では特に住宅ローンの拡大が目立った。

14 シドニーのデータによれば、これまで、より高収入の世帯で中年クラスの家計債務の割合が大きく、これらの人はより安定した雇用と貯蓄の担保があった。しかし、委員達はより低収入の世帯の家計債務が増え、収入よりも債務が大きいことを確認した。
15 家計債務は経済情勢で大きく変わることであり、例えば、高い債務水準を持った家計は経済的ショックを受けやすく、それゆえ、不確実性が出てきた場合には、将来の消費を抑えることになる。委員達は今後も十分に家計債務を注視していくことを確認した。
16 (国際経済は略)最近の各国中銀のスタンスは今までと違った局面にきている。FRBは最も緩和政策を引込め、対照的にECBやBOJはまだ債券購入の緩和政策を継続している。依然としてこの両国はマイナス金利である。
17 カナダや英国中銀は先々の引き締めステップに入った様に見られる。

18 豪州の金利は他の先進国と比較して、米国を除きまだ高い水準にある。金融危機以降の中銀のバランスシートは、金融危機以降に多くの中銀が採ったバランスシート拡大と比較して、ほとんど変わっていない。
19 国際貿易の緊張が高まる中で、世界株価の動向が注目される。アジア市場の株価は最も高く、米国の株価も高いままになっている。
20 いくつかの新興国の経済問題が表面化している。アルゼンチン・トルコ・ブラジル等である。
21 国内金融市場を見ると、5月の住宅貸出は低調だった。これは投資家への貸出が大きく下がっているからである。

22 この要因は大きな家計債務と住宅価格が軟調に推移しているからと思われる。しかしながら、委員達は貸出基準の厳格化により、引き締められた資金供給により貸出が低迷していることを確認した。
23 豪州の企業債務は拡大したものの、まだそれは緩やかであり、先々の投資環境次第となっている。
24 豪州株はここ数年他国の株価上昇に沿った伸びとなっている。但し、6月は他市場よりは上昇したようだ。企業業績は一般的に今後も拡大予想になっている。とりわけ資源部門が良い。
25 豪州経済の最近のデータを見ると、中銀の2018年・2019年のGDP予想は3%を少し越えると見ている。

26 低金利は経済を下支えている。インフレは依然低く、これは低い労働コストと小売部門価格競争力の強さよると見られる。
27 しかしながら、低失業率やインフレが中銀目標の中間値に近付く動きが徐々に強まると思われる。直近ではまだ政策金利を調整する強いケースにはなっていない。むしろキャッシュレートを維持することで、安定的に推移すると思われる。
28 現状の環境や取り得るデータを勘案し、委員会は現状の金融スタンスを維持し、これにより持続的成長に繋げ、インフレを中銀目標値内に達成できると見ている。
29 委員会は現行のキャッシュレートを1.5%のまま据え置くことを決定した。
(要旨は以上)

(注)本文はあくまで英文の一部を訳したものですので、和訳はあくまで便宜的なものとしてご利用頂き、適宜、英語の原文をご参照して頂きます様お願いします。

(2018年7月17日16時00分、1豪ドル=0.7431米ドル)

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