ドル円見通し111円到達も維持できず下値不安感(7/3)

7月6日からは米国が中国製品に対する制裁的な追加関税を発動する予定となっている。

ドル円見通し111円到達も維持できず下値不安感(7/3)

【概況】

6月26日安値109.36円から上昇してきたが、先週は27日午前、27日夜、29日朝、29日夜と高値を切り上げ、その後の安値も切り上げるパターンを繰り返してきた。貿易戦争全面化への懸念がドル円でドル高となり、クロス円ではリスク回避の円高となり、円高がドル高を超えるところでは6月26日への下落時のようにドル円も下落するのだが、6月26日以降はドルストレートでのドル高が勝ってきた。
週明け7月2日昼前にはドル高を背景に111.06円をつけたが、その後は日経平均が一時500円を超える下落となり、上海総合指数も前週末比2.5%安と大幅下落、人民元の対ドル相場も昨年8月以来約10か月半ぶりの安値水準に下落したため、ドル高圧力とこれらの円高圧力に挟まれて110円台後半に留まった。また7月2日早朝安値を割り込んでいないため、高値更新後の安値切り上がりパターンも今のところ維持している。
ただ、既に上昇も丸5日を経過していること、7月4日の米独立記念日を前に連休ムードも出てくること、7月6日には米雇用統計、さらに米国による対中国制裁関税発動の予定もあるためこれまでの上昇に対する修正的な動きとして円高に傾きやすいのではないかと警戒する。

中国国家統計局が6月30日に発表した6月の製造業PMIは51.5となり前月の51.9から低下した。特に輸出受注指数は49.8と50を下回った。これらは中国株安、米中貿易戦争への先行き不安を示唆するものと受け止められた。
日銀短観では大企業・製造業DIがプラス21で市場予想のプラス22を下回り、前回調査から3ポイント悪化した。大企業・非製造業DIはプラス24で前回のプラス23から改善したが9月見通しはプラス21へ低下が見込まれている。ドル円には中立だった。
米サプライ管理協会(ISM)が2日発表した6月の米製造業景況指数は60.2となり5月の58.7から上昇し、市場予想の58.4も上回った。景気の拡大・縮小の節目とされる50を22カ月連続で上回った。これは米連銀の年内あと2回の利上げ見込みに寄与する内容だった。

【貿易戦争全面化懸念】

7月6日からは米国が中国製品に対する制裁的な追加関税を発動する予定となっている。水面下で妥協的な交渉が進んでいる可能性もあるが、発動されれば中国も米国に対して報復措置を取る姿勢にあるため、米中貿易戦争全面化に突入する可能性が迫っている。上海株安もかなり深刻化しており、人民元の下落も6月15日から継続しており、投資マネーが流出している可能性と中国人民銀行が貿易戦争突入に備えて輸出企業防衛のために元安を誘導している可能性もある。また大手銀行に対する預金準備率の引き上げもなされてきたことで、金融緩和へ向かう可能性も出ている。

貿易戦争問題は米中以外でも拡大している。カナダ政府は7月1日、米国の鉄鋼・アルミニウム輸入制限に対する報復関税を発動させた。
米国は輸入車関税拡大を検討中であり、トランプ大統領は税率を20%となることを示している。
EUは米国の関税強化が実施されれば2940億ドルの影響が米国側に生じると警告している。
メキシコ大統領選挙では左派ポピュリスト勢力が勝利したが、これはNAFTAが瓦解するのではないかとの懸念を一部で強めているようだ。

【60分足 一目均衡表、サイクル分析】

【60分足 一目均衡表、サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、6月26日安値をボトムとして上昇してきたが、既に5日を経過しているため、28日夜安値を直近のサイクルボトムとして新たな強気サイクルに入ったと思われる。今回の高値形成期は27日深夜高値を基準として7月2日から4日夜にかけての間と想定されるが、既に1週間の上昇となっているので2日午前高値でサイクルトップをつけてしまった可能性もある。2日早朝安値110.55円を割り込まないうちは上昇余地ありとするが、割り込む場合は弱気サイクル入りと仮定して3日夜から5日夜にかけての間への下落を想定する。

60分足の相対力指数は6月27日高値形成時に70ポイント台をつけて以降は70ポイント台に乗せられずに逆行型の推移が連続しているが、50ポイント割れを切り返しているため、まだ上昇基調を継続する余地が残る。60ポイント超えからは上昇再開、高値更新の可能性を優先し、45ポイント割れからは下げ再開と仮定する。

60分足の一目均衡表では27日朝への上昇で先行スパンを突破してからは突破状況を維持してきた。先行スパンを上回る内は上昇継続余地ありとするが、先行スパンに潜り込むところからは弱気転換注意とし、先行スパン転落からは下落再開とみる。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初の下値支持線は7月2日早朝安値110.62円、2日午前高値111.06円を上値抵抗とみておく。
(2)2日早朝安値を割り込まない内は上昇継続性ありとし、2日午前高値超えからは111.15円から111.30円にかけてのゾーンを試す上昇を想定するが、111.25円以上は反落警戒圏とみる。ただし、高値更新後に111円台を維持して終了なら4日はさらに高値を試しやすいとみる。
(3)2日早朝安値を割り込む場合は下げ再開と仮定して110.35円から110.15円にかけてのゾーンへの下落を想定する。110.25円以下は突っ込み警戒、反騰注意とするが、110.50円以下での推移が続く場合は4日の日中も安値試しが続きやすいとみる。またその場合は110円割れまで下値目処を引き下げる。(了)<8:40執筆>

【当面の主な予定】

7/3(火)
NY市場 米株式・債券市場は短縮取引 (独立記念日前日)
10:30 (豪) 5月住宅建設許可 前月比 (4月 -5.0%、予想 1.0%)
13:30 (豪) RBAキャッシュターゲット (現行 1.50%、予想 現状維持)
18:00 (欧) 5月小売売上高 前月比 (4月 +0.1%、予想 +0.3%)
23:00 (米) 5月製造業受注 前月比 (4月 -0.8%、予想 -0.2%)

7/4(水)
NY市場 休場(独立記念日)
10:30 (豪) 5月貿易収支 (4月 +9.77億豪ドル、予想 10.00憶豪ドル)
10:30 (豪) 5月小売売上高 前月比 (4月 +0.4%、予想 0.0%)
16:55 (独) 6月サービス業PMI改定値 (速報値 53.9、予想 53.9) 
17:00 (欧) 6月サービス業PMI改定値 (速報値 55.0、予想 55.0) 
17:30 (英) 6月サービス業PMI (5月 54.0、予想 53.9))

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